表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
4/21

第四話 扇さんの話 -前編-

今回は、前回のあとがきで話しました通り、少しだけ扇くんのことが分かる...と、思います。きっと。多分...。

それでは、第四話-前編-、お楽しみください。

気付いたら朝。毎日そんな感じ。


「そろそろ朝...ね。寝るか。」


_____________________________________________

Now lording ...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/9/2 P.M.03:00


(ぬし)「そろそろ端末集まったかな...?」


(カケル)「ガラケー10台ちょい、あとよく分からん店で買ったスマフォ的な何かが3台」


(オウギ)「使ってないpcなら提供できるよ?」


主「そうかそうか!早速持ってきてもらおう。明後日、集まれるかな...?」


翔「あー午後に仕事入ってる」


扇「こっちも午後に用事が」


主「あーらら、じゃあさ」


翔「明々後日なら暇だぞ」


扇「こっちも」


主「 俺も、それ聞こうとしてた。じゃあ、11時にポチ公でいいかな?」


翔「またあの喫茶店か?」


主「そのつもりだったけど、何か問題でも?」


翔「問題っつーかよ、ちゃんとした話し合いとかできる場所を確保したほうが、絶対いい。」


扇「私も、それ思った」


主「ふむ、なるほどね。場所については検討しておく。また連絡する。」


翔「そこでだ。俺の家、一個使ってない部屋があんだよ。さて、主様どうしたい?」


扇「素直に使わせてあげるって言えばいいのに」


翔「うっせーな。こういうノリ、好きなんだよ。」


主「使わせてもらっても構わないのかな?」


翔「おう。俺の他に住んでる奴もいねぇし」


主「助かるよ。ありがとう」


翔「家の場所案内すっから、とりあえずポチ公で」


扇「結局ポチ公なのね」


主「わかった。じゃあ、明々後日にポチ公前で!」



やはり、7INEは便利なものだ。


「もうこれさえあれば、私外に出なくていいんじゃないかなー。」


引きこもりで何が悪い。誰にも迷惑なんかかけていない。別にいいだろう。


「打ち合わせ、明々後日か。これでみんなと顔をあわせるのは二回目だな。」


いつか絶対にバレる。早めに打ち明けろよ。


「...。明後日、行きたくないなぁ。でも、行かないといけないのか...。また寝ちゃいそうだなー。」


そんなんだから、社会復帰できないんだよ。


「......。私に合わない世界なんて......。」


終わっちゃえばいいんだ。



_____________________________________________

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/9/4 A.M.11:00


「そろそろ行かなきゃ。」


私が今日、行かなきゃいけないのは病院。でも、普通の病院じゃない。


どっちかって言うと、精神病院に近いかな。


「地味に遠いんだよなぁ。行きたくないなぁ。」


と、言いつつも、行かなかったら行かなかったで罪悪感に見舞われる。


それなら、最初からおとなしく行ったほうがいい。もちろん、気乗りはしないが。


「やっぱ、行かなきゃ。うん、行かなきゃ...。」



なんだっけ。そうそう、一時間もかかって病院に着いたっけ、すぐに個室に連れて行かれた。


先生がすぐ来るから、座ってて、と言って。


病院では、何個か質問をされるんだ。事務的なやつ。すぐ終わればいいのに、何時間もかけて、同じことを聞いてくる。


最後に、こう言われる。


社会復帰できそうですか?

社会復帰、する気になりましたか?


どうせまた、つまんない時間が始まる。


「あー、もう眠くなってきた。やっぱ来なきゃよかったかも。」


こういうところも自分の悪いところだ。


「早いとこ寝ちゃお...。どうせつまんないし。」


と、ここまでは思っていたんだ。私はこの数秒後、とてもびっくりした。それは、彼も。だと思う。


先生が部屋に入ってきた。


「あー、んと。今日お前の担当をするのは、この俺。よろしくな。」


「あぁ、へぇ!?え、あ...。え、ちょ...まっ!?」


「キョドんなよ。俺だってびっくりしてんだ。まぁ、俺も仕事だし来てやったが。」


薄羽。今日の先生は、薄羽。


「いやー、にしてもびっくりだわ。お前さん、この前集まった時はブカブカのパーカー来て、フードまで深く被ってたもんだから、よく分からんかったけどよ。」


この先はあんまり知られたくなかった。


「お前さん、女だったんだな。」


「...。そんなことどうでもいいでしょう。早く始めて欲しいんですけど。」


「はっきり喋れるんじゃねぇかよ。その調子だ。」


まるで薄羽の手の内だ。でも、眠くない。あんまり知られたくなかった事実を向こうに握られてしまったが、つまらないよりはマシだ。


「最初に聞かせてもらうけどよ、お前さん、社会復帰する気はあるのか?」


「...ある。」


「じゃあ、やる気はあんのか?」


「...ある。」


「じゃあ、寝たって本当か?」


「......本当だよ。」


「それって、やる気あるのか?」


「だって、」


「だってって言われてもなぁ、一応言っておくが、やる気ないならないでもいいんだぜ?」


「え...?」


「やる気ないならやんなきゃいい。カウンセリングって、無理やり相手をどうこうさせるためにあるわけじゃあないからな。」


なんだって?彼は何を言っている?


「あくまで、カウンセリングはやる気がある奴に手を差し伸べて、そいつが自分で頑張っていけるように手助けするもん。俺はそう思ってる。だから、大事なのはお前の気持ち。」


そんなこと、これまで一度も言われなかったぞ。なんだ彼は。


「じゃあ、事務的な質問から始めてこう、と思ったが、その必要はなさそうだな。単刀直入にいこう。」


これが、今日最後の質問。


「やる気が、あるか。もしくはないか。」


「......。」


「...ここまでだなー。帰っていいぞ。」


「へ...?」


「ん、あぁ、なんだ。短いってか?」


「え、うん。だって、他の先生はもっと長くて、面倒くさくて、つまんなくて...。」


「ひっでぇ言われようだな。まぁ、そう感じるのも無理はないだろうよ。そう思わせないためにも、俺はサクッと終わらせるんだよ。」


「え、これで、終わり?もう来なくていいの?」


「あぁ、来なくてもいいぞ。あとはお前次第だ。」


なんだ。こいつ、結構テキトーなやつだったのか?そう思った瞬間、その考えはぶち壊された。


「お前の人生だ。お前が道を選ぶんだよ。お前がどうするああするっていうのも、お前の判断だ。社会復帰したくなかったらしなきゃいい。まぁ、せいぜい正しい道を選ぶことだな。」


テキトーなんかじゃなかった。むしろ彼は見据えていた。自分でも分かってる。変わらなきゃ、って。だって、目に見えてる。


いつか、生活できなくなる。


「とりま早いとこ帰れ。次の患者もいるから。」


「あ、あの...。このことは内緒で...お願いします。」


「あ?お前が女だってことか?」


「いえ、私が薬でこんなことになっちゃったこと...。」


「誰が好き好んで他人の過去を言いふらすかよ。」


そこらへんはちゃんと言えばわかってくれるやつなんだ、と安心した。


「だけどよ、お前がそんな状態になってるのは、薬のせいじゃねーよ。紛れもなく、お前自身のせいだ。」


薄羽は、そう言って部屋を後にした。



_____________________________________________

Now lording ...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/9/4 P.M.2:00


いつもなら、6時頃までカウンセリングが続いていた。でも、今日は違った。


あまりにも早く終わりすぎたせいで、あの時間に家に帰れなかった。


サボった、と思われるかもしれないからだ。


久々に人が集まるところに行った。


A's電機。多くの電化製品や、パソコンの部品。照明などを販売している大手の企業だ。


「そういえば、そろそろパソコン組み替えなきゃ。」


二年前に、部品を買い集めて自分でパソコンを作った。そのパソコンも、性能が今では時代遅れになりつつある。


パソコンがないと何もできない生活を送っているわけだ。そろそろ、だとは思っていた。


「部品、買って帰るか。」



店内に入ると、久々に聞く店内BGMに、懐かしさを感じた。日頃、どれだけ外に出ないか、ということだ。


「部品おいてるとこ...場所変わったんだ。」


それなりに日が経てば、店内もそれなりに変わるものだろう。


配列とか、雰囲気とかがだいぶ変わったことに気づく。


「こんな風に、私も簡単に変われたら、いいのに...。」


店内を見て回っていると、見覚えのある人物を見かけた、ような気がした。


「あ、あれ?相田...さん、かな?」


きっと、ウィルスを育てるのに、何か必要なものがあったのだろう。と、思った。


単に、コンピュータウィルスと言っても、この世界には様々なウィルスが存在する。


プログラムを破壊することに長けたコンピュータウィルス。


情報を抜き取ることに長けたコンピュータウィルス。


他にも様々なウィルスの形態がある。


今回、私たちが使うウィルスは、


増殖することに長けたコンピュータウィルス。


このウィルスは、育てることで、成長する。


育て方は、いたって単純。


ご飯を与えること。朝、昼、晩にご飯を与えること。犬や猫のように、散歩などは必要ない。排泄などといったことも、しない。


餌を与えたら、与えた分だけ成長する。質のいい餌を与え続ければ、より高度なウィルスに育つ。粗悪な餌を与え続ければ、低度なウィルスに育つ。


相田がどんな餌を与えているかは知らないが、それでも、この電機店で事足りる低度の餌で、十分に育つと見込んだのだろう。


ただ、このウィルスには大きなネックがある。


成長する分、いつか寿命的なもので、死ぬ。


餌を与えず、放っておけば、死ぬ。


ごく稀な例だが、原因不明に、死ぬ。


ただ、育てきった場合、どこかのタイミングで一気に増殖する。


それで、色々と厄介なウィルスなため、2016年に法律で規制も入った。


そして、だんだん人から忘れ去られていった。


わずか3年の月日で、このウィルスは全世界で数人しか知らない存在になった。


なんで、私が知っていたかって。


相田が、教えてくれたから。







今回は、二編に渡って話が展開されます。

少し長くなってしまい、どうしても一話にまとめたかったのですが、結局、このくらいの長さの方が読みやすいかと思い、このような判断をしました。

色々な謎が見え隠れしたところで、今回はここまでです。

それでは、次回も良しなに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ