表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
3/21

第三話 薄羽さんの話

今回は、Cこと薄羽さんのことが、少し明るみに出てきます。第三話にして、データはすでに40%インストール(?)されているようですが、さて、これは一体何のゲージなのでしょうか。

それでは第三話、お楽しみください。

Now loading...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/08/28 A.M.05:00


「...んん...。あぁぁ、朝か...。」


薄羽は、朝5時くらいになると、勝手に目がさめる。


「約束、11時だったな。六時間も暇しなきゃいかんのか、俺は。しゃあねぇ、チャート見て暇つぶ......!?」


薄羽 (カケル)は、FXが趣味で、高校の卒業研究でFXについて論文を書き、文部科学大臣賞を受賞した。FX界でも、知る人ぞ知るような存在になっている。


だが、彼はそんな自分に満足できていなかった。いくら名が知れようと、大儲けしようと、失敗はする。


なんでも一番を好んだ彼は、自分のできない部分ばかりを目立たせては、悔やんでいた。


「なんだよこれ、10万...いや2、30万損するぞ!?あっぶねぇ今見てよかった...。また判断ミスか。まぁ、咄嗟に方向転換できただけ、まだマシだったか。」


毎朝この調子だ。ただ、成功して大儲けするときも、あったりなかったり。


「朝飯、今日はいらねぇかな...晩に気合入れる。」


薄羽は大胆な性格に見えて、実は繊細な部分を持ち合わせていたりもする。趣味とは別に、料理が好きだ。中でも、パスタが一番の得意料理で、サラダの盛り付けにもこだわりがある。


「やっぱパスタの気分かな。うん。買い出しは帰りでいいとして...あ、そうだ録画してたドラマの再放送、確か昨日最終回だったよな。あれ見るか。」


薄羽の現在の仕事は、薬物カウンセラーだ。依存症から抜け出そうと努力する人に手を差し伸べ、また、依頼があれば全国の小中学校を回って、薬物の危険性を伝える講義をする。そういった仕事をしている。


「あ、そういや今日、一人カウンセリング入ってたな...。9時からだな。」


薄羽は手帳に、一週間の予定をまとめている。周りからはガサツな奴と見られがちな時もあるが、やはり繊細でマメなのだ。


「溜まってる分を見終わったらちょうどそんくらいの時間かな...。約束の時間には間に合うだろう。」


_____________________________________________

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/8/28 A.M.09:00


俺は、時間ぴったりに職場に到着していた。ジーパンに、灰色のワイシャツ、その上から白衣を着た状態が、俺の仕事モードだ。


時間通りに来たは良いものの、どうやら相手さんがまだ到着していないらしい。


「今日の人、ちょっと長引くかもしれないから。実は、前日別の人がカウンセリングしてたんだけど、途中で寝ちゃって...。」


「はい?患者さんがですか?」


正直、頭がいかれてると思った。俺は患者のために、立ち直れるように手を差し伸べてきた。だがそれは、今まで見てきた患者には立ち直ろうとするやる気が見られたからだ。


やる気の無い奴に貸す手など、無い。


「今日のその患者、俺に会わせてなんか変わると思いますか?」


「変わらないと思う。実際、この患者のカウンセリングは、僕と君に頼まれたものなんだけどね。昨日までやってた人がやる気無くしちゃって。」


無茶言うなよ。そんなこと言われても、もうやらないと決めたんだ。


「悪いですけど、今回のカウンセリング、変わってもらってもいいですか?俺、この後用事あるんで。」


「用事?参ったなぁ。じゃあ、今日のところは僕が引き受けるけど、次は頼むよ?それでいいかな?」


「はい。それじゃあ、俺は帰ります。お疲れ様でした。」


「お疲れ様。」

(それにしても用事ってなんだろう...デートかな...?)

「...行っちゃったか。ハァ実際僕も気乗りしないんだよなぁ、寝るってどういうことだよ...。えっと、扇...あれ、なんて読むんだろう。ミチルかな...?」



場所は変わって職場の外にて。


「ったく、忙しいのによお。よくよく考えたら、さっきの職場でのやり取り、電話で済むじゃねぇかよ。時間の無駄じゃねぇか。」


俺の職場は、都外にある。よって、移動に時間がかかる。車で一時間ほどだ。もともと職場は都内にあったのだが、風評とか、税金とか、そこらへんの事情で都外に移っちまった。


そして俺は、焦っていた。職場を出たのが10時。それはつまり、家に着いたら大体11時。そこからポチ公像まで移動する。


「少々まずいな。遅れるかもしれん...。」


遅れるかもしれない、誰もいないかもしれない、もしあの話がただの冗談だったら、といった不安が込み上げてきたのを覚えている。


「車は置いたし、後はさっさとポチ公像まで走るだけ...。急ぐか。」


俺は、運動がそこまで得意じゃ無い。あんなにムキになって走ったのは初めてだ。


5分ほど経った頃だろう。待ち合わせの時間には少し遅れたが、ポチ公像付近までやってくることができた。少し体を落ち着かせてから、主らしい人物を探した。


「なんだよ、こいつら全員カップルかよ。おめでたいねー(棒)」


そんなことを一人で言いながら、主を探した。そこで、ある男性と目があった。


「主か?昨日はどうも。初めまして。Cだ。」



_____________________________________________

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/8/28 P.M.06:00


喫茶店を後にした俺は、店外で扇に呼び止められた。


「あぁ、あのぉ...えっと、あ...。」


「んだ?ビクビクしないで、ハッキリ喋れよ。掲示板ではすごい元気だったよなぁ、お前さん。」


「いや、それは...あの...。」


「ネット弁慶(o_o)」


俺は真顔で言った。


「まぁ、そうですけれども...。何か問題でも...?」


「いや、ハッキリ喋ってくれれば何も問題無い。」


「え、いや、はい。わかりました...。」


「用があったんじゃ無いのか?俺、買い出し行かなきゃなんだけど。」


「あ、いや、そうじゃなくて、7INE、もしよければ友達登録、したいなと思って...グループだけじゃなくて...あの、ダメですか?」


「構わんよ。あと、キョドるな。こっちが申し訳なくなる。」


「あ、ぁぁ...すいませn...。」


扇は俺のIDを、ササっと打ち込み、俺のアカウントを登録した。俺もその時に扇を登録した。


「んじゃ、俺行くから。」


「あ、あの!あ、ありがとうございます!」


「おう。これからよろしくな。」



場所は変わってスーパーにて。


「お、なんだ?今日やっすいなぁ!!」


たくさんの人がいる前で思わず歓喜してしまった。それだけなら良かったものの、おばちゃん層の人たちの視線が俺に集まってきた。店内で小さな笑いが起こった。


そりゃ、身長高めでごつい20代の若者が、笑顔で「やっすいなぁ!!」なんて言っていたら。


「まぁ、笑われるよなぁ...//」


恥ずかしさのあまり、早めに買い物を済ませてしまった。



家に帰って携帯を確認すると、ちょうど夜10時を回った頃。食材を冷蔵庫にしまっていた時、グループのことをすっかり忘れていたのを思い出した。


「あ、やべ、早く入らなきゃ。誘い、きてるな。」


俺がグループに入ったあと、扇もグループに入ってきたようだった。


相田がグループノートに今後の予定を示してきたので、それにグッドスタンプを送った。


「ウィルス、ねぇ。世界征服って、本当にできるのかもしれないな...。」


そんなことを考えながら、俺はパスタを作った。


これで、俺の8/28は終わり。













次回はきっと、扇さんのことが分かる回になるでしょう。パスタ、私も大好きです。

それでは、次回も良しなに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ