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サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
19/21

第十五話 家に着いてただいまって言うまでが遠足 -前編-

今話は、もともと番外編で出す予定だったお話ですので、前編会話になっております。少々場面を読み取りにくいところもあると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

それでは、第十五話前編、お楽しみください。

「なんか、下調べというより、ただの旅行みたいでしたね。」


「そうだな。下調べ頑張ったなーって記憶よりも、温泉気持ちよかったなー、とか、たまご美味しかったなー、とか...麻雀面白かったなー、って記憶の方が目立つよな。」


「麻雀はもういいだろ...ああ、あれは悔しかったなー。」


「ふふ、終始緊迫した空気でいるより、これくらいフワフワした感じの方が、居心地良くていいと思いますけどね。」


「時に、それが仇となってしまうこともあるがな。まあでも、今回はこれでよかったと思うぜ。」


「だよね。俺たち、仲良くなれたよな?」


「そうですね。前よりも話しやすくなりましたよ。随分と。」


「だな。なんか、信用できるようになってきた。主のことを、な。」


「え、じゃあ今までは信用されてなかったの、俺?」


「最初会った時は、すっごく胡散臭かったけど、今は違うな。なんか、考え深い人っていうか...。」


「私から見ると...うーん、一言で言い表せば、知将、ですかね。」


「さすがミチル。やっぱ、こういうことを言えないとダメだよ。翔、見習うんだぞ?」


「人様に言うってことは、自分は完璧なんだろうな?いいぜ、今日1日の中でさっきのミチルみたいな上手いことを主が言えなかったら、また...こちょこちょな。」


「え...?それガチで言ってる?」


「おふこーす。」


「うへぇ......頑張ってみるよ。」


「ああ、是非そうしてくれ。おら、そろそろ最初の寄り道ポイントだ。」


「おお、カメラ準備しなきゃね。」


「おいおい、車の中で構えてどうする。降りて、近くまで行くんだぜ?」


「私...高いところは...苦手なのですが...。」


「え、ここ高いところなの?」


「高いといえば、高いかな。えっとな、岬だな。海のすぐ近くで、風が強いかもしれないから、帽子とか飛ばされないように気をつけとけ。」


ーーバタン


「わぁ......高い、ちょっと怖いです...。」


「写真撮ろうぜ、な、いいだろ?」


「こ...怖くて、あまりうまく笑えないかも...。」


「...ミチル、三人で手つなぐか?」


「わー、翔君セクハラー、謝りなさいよー。」


「え、セクハラ?なんのことです...?」


「ですってよ、主さん。」


「うう、そうか...。マジレスしないでくれよ...。じゃあ、自撮りみたいな感じで、三人並んで撮ろうか。」


「と、とりあえず、早く取りましょう。」


「おう。じゃ、テキトーに笑え。」


ーーパシャ


「あ、あれ?はいチーズ、とか、なんかないの?」


「そんなものはない。ミチルが車に戻りたがってるんだ。いやー、想定外だったよ。高いところ苦手なんだな。」


「すいません...。翔が帰り道のルートとか、ちゃんと考えてくれていたことは分かるんだけど...。」


「ああ、気にすんな。大丈夫だ、この先行くところで、高いところはもうない。」


「あ、はい。わざわざありがとうございます。」


「よっし、じゃあ次行こ!」


ーーバタン


「ちゃんと乗ったか?発進して大丈夫か?」


「大丈夫ですよ。後ろ、車来てないです。」


「サンキュー。じゃ、次行くぞ。」


「...ねえ、翔。あと何箇所あるんだ?」


「...3箇所だ。つまり、お前はそれらを全て回り終える前に、例のことを達成しなくてはいけない...。」


「な...なんて試練だ...。」


「ふふ、期待してますよ。」


「...緊張してきたー、なんで俺がこんな目にあってるんだよ。おかしくないか?」


「残念だけど、主が蒔いた種だ。自分で回収してくれ。」


「確かに、そこはそうかもしれませんね。」


「...くうう...つらいぜ、今の状況...!」


「あ、次の場所はどんなところなんですか?」


「えっとな...道の駅ってところだ。」


「あ、知ってる。お土産とか帰るところでしょ。」


「...うーん、だいたいそんなところかな。だがな、今から行く道の駅には、ある特殊なものがあってな。そいつが目当てなのだ。」


「た...楽しみだ。興味が出てきたぞ...。」


「まあ、いずれ着けば分かることだ。今は内緒にしておこう。」


「道の駅にある特別なもの...。なんでしょう、ワクワクしますね。」


「でしょ?旅館の帰り道に寄る、ってなると、また?ってなるかもしれないけど...それも想定内だ。」


「翔って、普段、色々考えているんだね。俺、尊敬するわ。すげーなー、翔って。」


「褒めたところでさっきの話はチャラにならないぞ。」


「やっぱり通用しなかったか...。」


「あと、どれくらいかかる距離なのですか?」


「すごくスピード出して走り続けてるから、もう少しだな。会話してればすぐ着くはずだ。」


「...あ、そうだ。えっとね、話しておくことがあってね、ちょっといいかな。」


「あ、はい。どうぞ。」


「なんだよ、急に。」


「あのね...。実は......やっぱ言うのやめた。また次の機会にするよ。なんか今のタイミングじゃない気がしてきた。」


「あ?言えよ。そこまで言われたら気になるだろうが。着く前に話してくれよ。」


「そこまで言うなら、言って欲しい気がしますが...ここは、詮索しないほうがいいのでしょうか?」


「いずれ、時が来たら...伝える。ただ、まだそれまで、かなりの時間があるってことに気づいた。」


「そうなんですか?じゃあ...そっとしたほうがいいですね。私としても、とても気になりますが...。」


「うわー、モヤっとする。おい主、お詫びとしてソフトクリーム奢れよな。俺に。」


「あ、私もご馳走になっていいですか?」


「俺の財布が寂しくなってくなあ...。まあ、帰れば補充できるんだけどね。」


「そうかそうか。それはいいことを教えていただいた。俺、二個食べるわ。」


「わ...じゃあ、私は、丸いアイスが三個積み上がったやつ...あれ、一度食べてみたかったんです!」


「そこで、より金を搾り取ろうとするとは...なかなかやるな、お前ら...。」


「へっへっへ。ほら、いいチャンスだぞ?」


「あ、そうですね。」


「へ、チャンス?なになに?」


「...あーあ、もったいない。今このタイミングでやればよかったのに...。」


「ん...あ!そういうことね、このタイミングか。あー、分かった分かった。次からもう大丈夫だ。」


「果たして、次のタイミングなんてあるのでしょうか?」


「ないと辛い...ところで、結局俺は何を言えばいいの?」


「おい、全然次からもう大丈夫じゃないだろうが。」


「はは、なんか、お笑いを見ているようですね。」


「ほんとそれなんだよ。俺は真面目なのに。」


「ねぇ、結局なんて言えばいいの?」


「相手を何か一言で言い表して、褒める。これだけだ。」


「なんだなんだ、簡単じゃん。よっし、次はもうタイミングを逃さないぞ...!」


「張り切ってるな。だが先に到着してしまった。」


「あ、ここがその道の駅ですか?」


「ああ、そうだ。なかなか綺麗な景色だろう。とりあえず、車を降りるぞ。」


ーーバタン


「あ、温泉か!って、またかよw」


「ふはははは、甘いな。ここはただの温泉ではない!」


「な、なんだってー!?」


「随分と安っぽい茶番ですね...。見たところ、これは足湯ってやつですね。足だけ入るお風呂。」


「ミチル、大正解。さらに、なんとここでは...温泉たまごを食べることができるのだ!」


「いや、またかよ!」


「翔、お前、温泉たまご大好きなんだろ。」


「ああ、そうだ。温泉たまごとゆでたまごが大好きだ。」


「お、おう。それで、この足湯には入っていいのか?」


「ああ、問題ない。タオルとかは用意してあるから、心配なく湯につかれ。」


「周到ですね。さすがですね。こういうことに慣れているんですか?」


「ああ。昔は、よく家族を乗せて色々なところに行ったもんだよ。」


「へぇー、それでここまで気を遣えるんですね...。すごいことだと思いますよ。私は。」


「そうかい。どうもな。」


「ねぇねぇ、二人ともー、アイス売ってたよー!」


「おお、すげーな。三段盛りって初めて見たけど、結構でかいんだな。」


「おおおお!す...すごい。かなりのボリューム...!これは食べ応えがありそうです。」


「いま、翔のやつも買ってくるから。何味がいい?」


「二つともストロベリーで頼む。」


「はいよー。待っててね。」


「あ、とってもいい感じの湯温ですね。」


「そうかそうか、よかったわ。実は、ここきたの初めてなんだよ。」


「あ、ここも初めてなんですか?」


「ああ、初めてだ。調べたっけ出てきてよ、すごく来たかったんだよ、だいぶ前から。」


「やっぱり、旅行とかが好きな人なんですね。飛行機で海外に行ったこととかはあるんですか?」


「海外は行ってないな。国内でどうにかなってる。」


「翔、はいよ。ストロベリー。」


「おう、サンキュー。それでお前は、ココアか。お前はバニラのイメージだったんだがな。」


「あ、その気持ちわかります。子どもっぽい感じが、そういう雰囲気を醸し出してるのかも...。」


「まあ、子どもっぽいってのは、認めちゃうけど...。」


「よっしゃ、やっと足湯はいれるぞ。」


「三人揃って、アイスを食べながら談笑...それだけでもこの景色がいい環境じゃ十分なのに、足湯まで付いてくるだなんて...最高だな、ここ。」


「...そうだな。またいつか来ようぜ。」


「私は賛成です。また来てみたいです。」


「俺も賛成。実家のおばあちゃんみたいな翔をまた見てみたいしな。」


「あ?俺が実家のおばあちゃん?」


「うん。俺のおばあちゃん、とても用意がいいんだ。あと、優しいし。そこらへんがなんとなく翔と似てるなぁって思った。」


「なんだよ、それで褒めてるつもりなのか?これでノルマ達成か?」


「え、俺としては渾身の一撃だと思ったんだけど。あ、そうだ。俺のおばあちゃん、アイスを食べる時、いっつもストロベリーだぜ。」


「なんか、翔がおばあちゃんに見えてきた...笑える、ふふ、あはは、面白いですね、まったく、主ったら。」


「うーん、微妙だが...まあ、アイスも奢ってくれたことだし、オーケーとしよう。おばあちゃんみたい、って褒められたの、初めてだわ。もはや褒められてるのかどうかさえ分からないんだけど、俺。」


「大丈夫だ、翔は褒められているんだ。だだ褒めだよ。だだ褒め。最初から最後まで愛たっぷりで褒めてるよ。」


「ごめん、今の発言にどう反応していいのかわからん。」


「ふふ、そうですね。私もそうなりました。...なんだか眠たくなってきました。」


「もうそろそろ上がるか?」


「次のところまでどれくらいあるの?」


「次も道の駅なんだけどな、少し時間がかかるから、主とミチルは寝てても大丈夫だぞ。」


「まだ余裕ある?時間に。」


「ああ、このまま行くと、7時頃にはもう東京だろう。」


「ふーん、あれ、今日って何日だっけ?」


「10月1日だ。」


第十五話前編、いかがだったでしょうか。

今話は、これまでにない書き方をさせて頂きましたが、お楽しみいただけたでしょうか?新たなことに手を出すと、やはり前までと比べたくなってしまうものですね。もしよろしければ、今話に関してのご意見、ご感想をお聞かせください。次話に活かそうと思います。

それでは、次回も良しなに。

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