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サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
17/21

第十四話 下調べという名の慰安旅行 -中編-

まさか、二話で完結しないとは、思ってもいませんでした。

今話は、主に翔視点の物語になっています。

それでは、第十五話中編、お楽しみください。

「おい、お前ら...もしもーし、着いたぞ。」


爆睡してやがる。


夜にねれなくなるパターンのやつじゃないか?


「起きろ、旅館。」


「...あ、悪い悪い...。すっげぇ寝心地良かったものでな。」


「あ、着いたんですね...運転お疲れ様です...。」


「...じゃあまず、荷物とか全部部屋に運んじまうぞ。」


「餌あげていいっすか?」


「部屋行ってからな。ミチルは軽いやつ持ってくれ。...アケチのケージって重いのか?」


「いや、そうでもないはず。」


「それじゃあ、アケチはミチルに任せた。」


「あ、うん。」



________________________________________________

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■■□□□□□]50%

2019/9/30 A.M.11:00


「ふぅ...これで荷物の移動は済んだわけだけど...さぁて、それではこれからの予定を話しておこうかな。」


「なんとなく分かるけどな。」


「当然、行くんですよね?」


「あ、あぁ。その通りだ。G-ioの本社ビルに行って、どんな場所なのか、とか、入り口の場所とか、侵入できそうな場所、とかを探す。」


主の言葉を聞いていうか侵入することはもう確定なんだな、と思った。


穏便に済ませたいんだけどな。


「まぁ、曖昧なことしか言えないよな。どうせ改装されたら、今回の下調べはほぼ無駄足になる。てことで、普通に楽しむことも忘れるな。だろ?」


「合ってるよ。話が早くていいね。でもな、それは俺の口から言わせてくれ!かっこ悪いじゃないか!」


「...悪かったな。でもかっこ悪くはないぞ。」


「ふふ、主って、そういうところを気にするんですね。」


「当たり前だろ。誰だってかっこよくなりたいものさ。」


「ふん、予定って、それだけか?」


「それだけだ。あしたの昼頃に旅館を出て、いろいろ寄り道をして帰ろうと思う。」


「本当にただの旅行だな。」


下調べはあくまでついでになっているような気がした。


「下調べもするけどね。それにしても、東京を出たの久しぶりだなー。この旅館って、翔が見つけたんだよね。」


「そうだ。前から来たかったんだよ。ここ。温泉たまごがうまいって評判がいいんだよ。」


と、主には言っておくが...実は、ミチルには話しておいた別の目的が存在する。


「ふむふむ...お風呂上がりに温泉たまごを食べることができるのか...素晴らしい旅館だな!」


「だろ?こないわけにはいかないだろうよ。」


「おー、早く温泉に入りたくなってきた...。」


「下調べが先だ。まぁ、もう少しゆっくりしてもいいとは思うけどな。」


別の目的、それは、ミチルと隼くんペア、主と進藤ペアを遠ざけること。


そうすることで、もしかしたら敵組織のメンバーが明らかになるかもしれないからだ。


まぁ、簡単に言えばそういうことだ。


「...温泉旅館といえば...あれがあるよな?わかるよね、二人とも...。」


「なんだ?マッサージチェアか?」


「...麻雀?」


「ミチル、大正解!!」


「...さすがにやってると日が暮れるだろ。」


「お願いお願い!東戦だけでいいから、な?」


「三人しかいないので一色抜かなきゃいけないですね。」


「ぜんっぜん気乗りしねーけど...なんかミチルもやる気っぽいし...。」


「よっし、じゃあやるか!内線どーこだ...発見!」


「なんか、主って急に子どもっぽくなるときあるよな。」


「同感です。でも、麻雀なんてゲームでしかやったことないな。ちゃんとできるかな...。」


「牌つんだことないのか?」


「つむってなんですか?」


「まじかよ。そこだけやってやるよ。」


「あ、ありがとうございます...。」


「今、持ってくるってさー。」


「あー、まぁ、いっか。」


だがしかし、主のこの行動は意外にもファインプレーだった。


まさか、こんな都合よく出てきてくれるだなんて、思ってもいなかったな。


コンコン。


そいつは、扉をノックした。


「あ、はいー。今出ますよー。」


「お待たせ致しました。麻雀セットです。」


「どーも、ご苦労様ですー。」


「あ、あれ...進藤君じゃない?」


「へ?...あら、進藤君じゃないか!ほー、奇遇だな。バイト?」


「え、あ...どうも、こんにちは。まぁ、そのようなものですけど...。」


「あ、あれ、仕事は?」


「今月のノルマがちょうど終わって、やることがなくなったので帰っていいよと言われたんですけど...。」


「あれ、ここ実家?ん、でも進藤君の実家って、北海道じゃなかったっけ?」


「いや、親戚がここで働いてるんですけど、たまにお仕事を手伝わせてもらってるんですよ。」


おー、すっげー都合いいこと言ってやがる。


進藤、こいつは確実に黒だな。


「えっと、社長と、扇さんと、そちらの方は?」


ま、話を振ってくるよな。


俺のこと、知りたいよな。


「こいつの弟の隼ってんだ、よろしく。」


「あぁ、弟さんでしたか...。よろしくお願いします。」


あんまり普通の反応をされても困るんだよ。


「ほう、なるほど。」


「どうした、主。」


「今思ったんだけどさ、進藤君を誘えば、四人で麻雀できるよね?」


そう言って俺にウィンクする主。


主も何かに気づいたのか...。


「おお、そりゃあいいな。どうだ、進藤さん。」


「......お受けしたいのは山々ですが、仕事中ですし...。」


返答に多少の間があった。


間違いない。誰かと通信している。


「まぁまぁ、いいじゃないか、進藤君。」


「負けず嫌いさんか?それとも、麻雀ができないのか?あ、でも受けたいのは山々って言ったよな...?」


「...いや、ですから、仕事中ですので。お掃除とかも任されているんです。」


プライドはあまり高くない方なんだな。


常に冷静でいれる人間だな。こいつは。


なかなか相手にしたくないタイプのやつだってことははっきりわかった。


「そっかぁ、残念だな。」


「なんだよー、つまんねぇな。」


「ふふ...失礼します。」


「お仕事頑張ってねー。」


ーーガチャ


廊下に、進藤が遠ざかる足音が聞こえた。


「...翔、どう思った?」


「まっくろ。」


「だよな。これから気をつけないとね。」


「もう、びっくりしましたよ、急に私の弟だなんて言うんだもん。」


「ワリィワリィ。」


「あれ、もしかして翔も進藤君と隼君のつながりを疑ってた?」


なんだかんだ言って、主の勘も冴えてるじゃないか。


「ああ。でも、あの反応を見る限り、その線は薄いようだ。よかったな、ミチル。」


「あ、うん。それはよかった。でも、翔は私の弟に見えないよ...さすがに。」


「俺の名前が向こうにバレなかっただけでよかったんだ。勝手に隼君の名前借りて悪かったな。」


「そこは、仕方がなかったと思いますけどね。」


「いやー、麻雀をやろうと思っただけで、まさかここまで大きい獲物が釣れるとは...。」


「釣ろうとしてもいなかったのに、釣れるってどういうことだよ。」


「魚が勝手に手元に飛んできた感じ?」


とはいえ、大収穫だ。


進藤が明らかに黒だ。ということがわかった。


その上、進藤と隼君のつながりもないということがわかった。


これだけでも、今回の下調べは意味のあるものだったと言えよう。


「超絶ご都合主義の棚ぼたといったところですか?」


「そうだな。もう理想の頂点に立った棚ぼただわ。」


「翔もミチルも、言ってることわけわかんなくなってる。」


「はは、そうだな。」


「それで、麻雀はするんですか?」


「え、するけど?」


「あ、そこは曲げないんだな。」


「あったりまえよ!ほら、準備するぞ!」


「...はいはい。」







ここまできて、まだ下調べを始めない主、翔、ミチル。

果たして、そんなにのんびりで大丈夫なのか。

といったところで、今話はここで終了です。

計画的に動いているように見えて、実は無計画だというこのアンバランスさ加減...。嫌いじゃないです。

それでは、次回も良しなに。

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