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ある結末、あるいは転換点。
落ちていく。
ひたすらに、落ちていく。
おぼろげに目を開けば、闇があった。
この耳は無音すら拾わない。
薄ぼんやりとした意識だけが、この身が落ちていく事を伝えていた。
そうか。
――まだ、消えていない。
僅かに意識が覚醒する。
それでも闇以外は見えない。
暗闇とはもっと寒いものだと思っていた。
寒さなど微塵も感じない。
もちろん熱いわけでもない。
何も感じないのだ。
ああ、そうか。
冷気すらその存在を許されていないのだ。
この手は何も掴めず。
きっとここには何もない。
ただ一つあるのは落ちていく感触だけ。
嗚呼……。
これが終わりか。
――ただ、消えていない。
きっとそういう事なのだろう。
もうこの身が成せることなど有りはしないのだ。
ここでは誰も私を認識せず、私は誰も認識できない。
故に『無』
嗚呼、それでも。
願わくば、この身が開いた道が誰かの歩む道となってくれれば。
ここではもう何も分からないけれど。
私が生きたあの世界で。
誰か私を見つけてくれ。
――だが、消えていない。