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負うた子に道を教えられ

生徒との”お願い回り”を始めた。

最初は、放送局。係りの和歌山は、いきなりドアを開けようするので、

すんででとめた。「録音中とかだと迷惑かかるだろう?」

”ドアをノックする。”これって常識だよな。

和歌山は無邪気というか、子供というか”ごめんなさ~い”と、

言葉とかわいい仕草でアピール。


最後に、放送局の生徒から、お願いされた。

”先生は、去年の4月に転勤されてきたのですよね。1年たち、この学校の

当初の印象とか実態など、いろいろインタビューしたいのです。是非、お願いします”

”もちろんですよ。定期演奏会が終ったあとで”

と答えざる得ない。ギブアンドテイクだ。まあ、それほど難しくないだろう。


次は美術部。ここで部長の飛鳥井も加わって、3人でお願いする。

飛鳥井は、”去年は、本当に申し訳なかった。ウチの2年は1年の

時から、不平不満だけは、一人前なんです。”

やっぱり今の2年か。。今年の2年の特徴なのかもな。

シルクスクリーンで印刷するポスターのためにか、飛鳥井は定期演奏会のメモを

渡した。万が一間違った面倒な事になるので、日時と場所、入場料(500円)を

書き出してある。もちろん、西岡高校 吹奏楽部定期演奏会 という題名も

忘れずに。飛鳥井は慎重なんだ。

いや、俺が大雑把だったか。もし、事務仕事を頼むとしたら、俺は事務に

ていねいに、メモを渡したろう。部活とはいえ、俺は未熟だな。


後はPC同好会。部長と顧問が応対してくれた。

「PC入力原稿は、なるべく早くもってきます。部の紹介のための写真が

入ることになったときは、どうしましょうか?」

「はい、これ。うちのアドレス。ここにスマホで撮った写真を送ってくれて

いいよ。直接、simカードを持ってきてくれてもいいし。」


言葉は古いが、ハイテクの時代もここまできたんだな~


「プログラム係りのほうで、どうするのか早急に決めさせます。

それで、文字のフォントやレイアウトなんですが、そちらにお任せして

いいでしょうか?」

「大きさはA4と聞いてますが、枚数は?」

「早急に原稿を、出さないといけないですね。その分量をみてから

ですかね。これは、去年のプログrムですが、今年はかなり構成が

違うので、あまり参考にならないかもしれません」


うmmm。ここでも俺は 実務で飛鳥井に負けた。

自分で自分の至らなさに、腹がたつ。俺は部活を甘くみてたのか?


ここでは、各部の高体連にむけた活動状況を、PCでブログの形で

連載する計画があるそうだ。その事を俺のほうからも、バックアップ

してほしいとお願いされた。

PC同好会の考えてる企画は、本来、学校でするべき事のきがするが、

生徒目線の活動記録も、いいと思った。


後は事務局と忘れてたけど、”校長先生の冒頭の訓話”

3人で校長室へお願いに行き、普段とちがうプログラムになりそうだと

伝えた。”きたか。で、写真はどうしたらいい?”

「すみません、校長先生、たぶん、去年と同じでいいと思うのですが、

プログラム作成係りに、確認します」

これは、俺が子供じみた対抗心から・・ではなく、

プログラムの中身がいくら変わろうと、校長の写真と挨拶は例年の、キッチリ

したもののほうが、いいかと、俺が独断したからだ。

演奏会にくる父母の目もある。


事務局にも挨拶。部長と和歌山は練習に戻った。

「国井先生、トラックの事なんですが、去年と同じ業者でいいですか?

たしか父母の関係の会社です。それと、去年は会場に9時に到着でしたが、

今年はどうですか?それと、生徒の輸送は?」

「トラックは去年の業者でOKです。時間は会場前10時で間に合うと思います。

生徒は、高校から会場まで自力できてもらいます。まあ、歩いても20分

かからないでしょうから。重い楽器と打楽器類だけ積むことになります」


事務局からのお願いはなかった。ホ・・。

おっと、そういえば、退部した3年生10人のうち、今日は最後の3人を

呼び出してたんだ。今頃、相談室の前でうろうろしてるか、

まずい、あせって行かないと。


10人にいっぺんに話を聞くと、本音が聴けないので、3にんづつ、時間を

ばらして呼び出して、話を聞いてみた。


どの生徒も、”部に帰る気はありません。説得ならお断りです”と

最初に言ってきた。

”いや説得じゃなくて、俺は去年から浜岡先生が怪我で入院するまで

の吹奏楽部の事は、まったくわからないんだ。今後、浜岡先生が帰ってくるまで

なんとか部を維持してくために、情報がいろいろほしくてね”と、

毎回、生徒にニコニコしながら、下出にお願いしていった。


7人の聞き取りでわかったけど、部のイザコザだけの理由で退部した子は いなかった。


・勉強、頑張らないとと思って、いつもミーティングでもめるだけの雰囲気も

ちょっといやでやめた。

・親からうるさく勉強に専念するよう言われ、まあミーティングで。。以下同文


ミーティングでもめたのは、曲を決める時だ。

浜岡先生、生徒に意見を自由にいわせていたんだ。

生徒の話によると、雰囲気の悪くなったのは、去年のコンクールお後からだそう。

去年は、代表どころか銀賞どまりで部員たちは、かなり落ち込んだらしい。


そんな中、部員の間には、”先生の選曲ミス”って声もではじめた。

課題曲と自由曲で間合いをいれて、合計20分以内だそうで、それをオーバー

すると失格。去年は若干時間がたりなくなり、曲想を無視して、無理にテンポアップ

したのがよくなかった。と、ささやかれ、公然の事実になってしまったらしい。

これでは、浜岡先生の信用は失墜しただろう。

浜岡先生は、慎重なタイプだから、絶対に時間内におさまるはずだったと、

俺は推測する。先に演奏した課題曲に何かあったか、何かおこったんだ。

で、浜岡先生は一切の言い訳はしなかった。


推測にすぎないけどな。

その後は、酒井と飛鳥井が 課題曲をめぐって激しく対立。

難しくても、それをこなすことで、技術をアピールする事のできる課題曲3

押したのは、飛鳥井だそうだ。慎重な部長は、この時は燃える男だったのか?

それにたいして、先生のおした課題曲1は、3より易しく練習しやすい曲。

これには、酒井が賛同。

それで二派に分かれるのではなく、”本当は5がいい”とか2が楽でいいとか

収集つかないくらいだったそうだ。


さて、残りの三人だけど以外な答えがかえってきた。

出来るなら吹奏楽部はやめたくないけど、音大受験のため、楽器の個人レッスン

を受け忙しい、また、教育大の音楽科を受けるのに、偏差値がたりないので勉強する。


ってのだ。吹奏楽で音楽をはじめたものも、音楽の大学を目指すため、吹奏楽部を

辞めないといけない。なんて皮肉なんだ。

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