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出来ぬ堪忍するが堪忍

次の日から、俺の”お願い回り”が始まった。


まず、事務局には本当にお世話になるので、あらためてお礼した

それと、美術部にプログラムの表紙のデザインをお願いした。

出来れば、小さなカットも欲しいとこだけど。

プログラムは、校内で印刷する。A4サイズの簡単なものにしたいと、伝える。

もちろん、美術の先生には朝、お願いしておいた。


「わかりました、で、ポスターなんですけど、シルクスクリーンっていうのを

使って作ってはどうだ?と顧問から言われました。枚数は10枚も出来ない

かもしれませんが、やってみますね」

俺はもう、何度もお辞儀してお願いした。


後は放送部。ここは、メカニックに強い生徒の集まりで、担当の先生も

生徒も快く受けてくれた。もちろん、当日の場内アナウンスもお願いした。


さて、問題のPC同好会。。。

PC室で活動してるらしい。担当の先生にお願いすると、快諾してくれた。

PC同好会が部に昇格できるきっかけになるかもしれないと、喜んでた。

俺は、おそるおそるPC室を訪れ、生徒に吹奏楽部の事情を話し、

PC入力とデザインをお願いした。

”そのくらい出来ないと、社会にでてから困りますから”と

これも簡単に引き受けてくれた。


はぁ、ひと段落、放課後のほうが、なまら忙しい。

そういえば、名簿を集めて、今日の夜でも入力しておくか。

少し空いた時間に、音楽準備室で、コンクールの自由曲になった 「惑星」の中の木星のCDをさがし、

試しに聞いていた。うm、よくわからん。何度か聞けばわかるかな。


一旦、職員室に戻ろうとしたら、となりの楽器保管室から 話し声が聞こえた。

酒井の声と、男子は3年サッカー部の川野だ。

川野は優秀な部員だったけど、どうも個人プレーが多くて、顧問によく注意されてた。


「あのさ、国井って先生、まじムカつくじゃん。

自分はわからないからって、生徒にばかり押し付けてさ。

死にもの狂いで、外部のコーチを探せっつうの」


「まあ、美香ちゃん。あまりブーブーいわない。

しょせんは、間に合わせの顧問じゃん。へいへいっていう事聞いてれば

いいのに、それにパー練行かなくていいの?」


「いいの、私、間違った事いってなのに、外部のコーチ発言でさ、saxパート

で浮いちゃってさ。それに私、上手いから。今更、基礎練習できっかってところ。

曲の練習にはいったくらいに、”ちょっと呼び出しくらって”って言い訳して行けばいいの」


「国井先生はさ、サッカーは実はあまり上手じゃないよ。

今度の若い顧問の先生のほうが、何倍も上だね」

「国井のやつ、何かあれば、”サッカーでは”なんてたとえるけど、

それほどじゃないんだね、は」


俺は頭にきた。キレすぎて体が硬くなって動けないでいる。手だけが震えてる。

俺は、確かに得意中の得意は羽級だ。

高校の時のシゴキがきいてる。

比べてサッカーは好きなだけで、自分なりに努力しただけだ。

中学生の時のサッカー経験だけじゃどうしようもない。


でも、俺はいい。あの、基礎練習に対する酒井の態度はなんだ?

自分が出来るなら1年の指導に力を入れればいい。

最初は、リーダーの力があるかと思ったが、なんの事はない。

自分の思い通りにしたいだけの、我儘女子だ。


俺は、なんとか平常心をもどして、職員室にもどり、

すぐ、音楽室にもどり合奏を見学した。


ある曲の途中、生徒指揮の太田が何かしらsaxに指示を出した。

パートが揃ってないらしい。


酒井は指摘されると、猛然と抗議して ”だから生徒指揮なんて”と付け加えた。


なるべく、口に出さないが、行動は起こす。

見学してわかった事があったんだ。


「酒井、ちょっと前に来い。」俺は酒井を俺の横に立たせた、

「太田、今の曲、最初からもう一度」

今度は、最後まで通った。

「酒井、今度は元の席で聞いてみろ。楽器は吹かずに。太田、もう一度」


酒井は、わかったようだ。

そう、吹いている真っただ中にいると、案外わからないんだ。リズムのズレとかが。

前にきて聞くと、それがまるわかりになる。

だから、指揮者が”あってない”っていえば、その通りなんだ。


ついでに、さっき、saxがあわなかったのは、お前のせいだ酒井。

これで、パートの練習にまじめになってくれればいいけど。

もちろん、俺は何もいわずに、そのあと、酒井をもとにもどし、合奏を続けさせた。


その日の合奏はそれで終わった。


プログラムの担当係りには、入力はPC同好会にレイアウトをふくめ、お願いした

とつげると、全員、ホっとした顔になった。

俺もそこは、ホっとしたんだけどな。


夜、家に帰って名簿をPC入力する。

さすがに疲れた。

明日は、お願い係りと一緒に お世話になる処に、回る予定だ。部員が直接頼む事に意義がある。

まあ、、根回しはすんでるけどな。


その後、合奏も調子にのったのか、なんとか順調にいってる。

俺はパート練習とやらも見学したい。

酒井のパートでの疎外感は、なんであれ、よくない。

それと、退部した生徒にも話を聞きたい。

2,3月と吹奏楽部は、いったいどうなってたのか知りたい。

浜岡先生のためにも。


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