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二人の戦い

 年も明けて寒さにも慣れてしまった頃、三学期が始まった。

「めぐ、誠二にはいつ?」

「バレンタインデーに告白するよ。美香ちゃんも同じ日に」

「そっかぁ…。頑張るんだよ」

「うん!」

 登校中とか紗耶香ちゃんと二人で居る時はそんな話しばかりしてた。紗耶香ちゃんは心配してくれて、応援してくれてた。

 あっ…。

「おはよ。恵ちゃん」

「おはよう」

 美香ちゃん…。じゃあ誠二くんも…。

「おはよう。相田さん」

「お、おはよう。誠二くん」

 いいなぁ、美香ちゃん。いつも登下校は一緒だもんな。なんか、悔しいな。

「じゃあね、誠二」

 そうだ…、私は同じクラス。負けてないよね。

 教室の前で紗耶香ちゃんと美香ちゃんと別れて誠二くんと二人で教室に入る。

 教室の中では私の独壇場!ふふふ…。

 ・・・・・・

 キーンコーン…。

「…………」

 も、もう昼休み。ひ、人が多くて誠二くんと話せない…。そう考えれば誠二くんと二人になる時間なんてないんだ…。

 美香ちゃんは登下校中に堀川くんがいるとしても、気兼ねなく話せるだろうし…。

 むむぅ~…。

「せ、誠二くん。お、お弁当一緒に食べない?」

 頑張れ!私!

「ごめん相田さん。美香と屋上で食べる約束しててさ」

 なっ…!さ、さすが美香ちゃん。本気なんだね。負けないもん!

「お、屋上なんて、さ、寒いんじゃないかなぁ?」

「うーん、今日は天気もいいし。そうだ、相田さんも行く?」

 ふふ…。

「せっかくだしー、行こうかな!」

 学校でまで二人になろうなんて…欲張りさんだなぁ、美香ちゃん。

 ふふふ…。

 それから誠二くんに連れられて屋上に。

「あっ、誠二。…と、恵ちゃん…」

「ふふふ…お邪魔するね。美香ちゃん」

「あ、あれ?屋上は寒いよ?教室の方があったかいと思うけどなぁ」

「じゃあ美香ちゃん戻ってみる?私は誠二くんと!ここで食べるから」

「や、やだなぁ。私は寒くないよ。恵ちゃん寒くないのかなって」

「大丈夫だよ…ふふふ…」

「そ、そう。…うふふふ…」

 ひきつった笑いを見せる私たち。

「な、なんか怖いぞ。二人とも」

「そ、そんなことないよ!ねー恵ちゃん」

「そ、そうだよ!変なこと言わないでよー。誠二くん」

「そ、そう?じゃあ食べようか」

 ・・・・・・

 もぐもぐ…。

 そのまま三人でお弁当を食べてたんだ。三人で三角形の形で座ってる。

「やっぱ天気が良くっても寒いな」

「じゃあ、はい。誠二、あったかいお茶」

 むっ…!

「サンキュー、気が利くな。美香」

「屋上なんだから。これくらいは準備するよー。ね、恵ちゃん」

 むむむ…。

「ね、ねぇ誠二くん。やっぱり少し寒いな。近くに寄っていい?」

「あ、あぁいいよ。こっちが風当たらないから」

 そして誠二くんに寄り添うように風下に。

 美香ちゃんはその様子をわなわなと驚いて見ていた。

「ちょっ…相田さん、近いよ」

「あ、あらぁ恵ちゃん。誠二がお弁当食べにくそうだよぉ?」

「誠二くん。離れた方がいい?」

 私は甘えて上目使いで言ってみた。

「い、いや、大丈夫…だけど…」

 顔真っ赤だな、誠二くん。

 ふふ…。

「だって!美香ちゃん!」

「そ、そう。よかったね………うふふ…」

「ありがとう。美香ちゃん……ふふ…」

「うふふふ…」

「あははは…」

「な、何がおかしいの?二人とも」

 この場は私の勝ちだね。美香ちゃん。

「あっ、いた!誠二くーん!先生が呼んでるよー!」

 クラスメートの人が誠二くんを探しに来た。

「いけねっ!プリント出さないといけないんだった!二人ともゴメン!」

「あっ…!」

 誠二くんは急いで行っちゃった。美香ちゃんと二人取り残される。

「…………」

「…………」

 き、気まずい…。

「け、結構やるね。大胆だったんだね、恵ちゃん」

 むっ…。

「い、美香ちゃんこそ。登下校だけじゃなくて学校でも二人になろうなんて、欲張りさんなんだね」

「…うふふふ…」

「…あはは…」

 顔は笑ってるけど…。

「ま、負けないよ!」

 美香ちゃんが立ちあがりながら言う。

「わ、私も!」

 負けない!

 ひゅおぉぉぉ…。

 風…。

「さ、寒いね…」

「う、うん、戻ろうか」

 決戦は二月十四日。

 それまで美香ちゃんと激しい戦いが続くことになる。

 …かも。


「誠二くん図書室行こうよ」

「誠二、ちょっと部室に……」

 ………

「うふふふ…」

「あはは…」

「…………」

「…………」

「な、なんなんだよー!」



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