黒い石
――これはどこかの世界のある小さな孤児院の話。
その孤児院には100人の子供たちがいました。その子たちは皆仲良く、元気に遊んでいます。
今、その孤児院では「石集め」というものが流行っています。石を集めてその中から一つお気に入りの石を見せ合うのです。――しかし、その石集めで少女ミラは浮いていました。
――なぜなら、ミラのお気に入りは真っ黒な石だったからです。
「…あら?まだそんなゴミ持ってたの?」
「何を言うの⁉これは私の宝物だよ!」
ミラはどんなに周りから石を悪く言われてもくじけず、ひたすら黒い石を愛し続けました。どんなに友達との距離が遠のいていても絶対に――涙をこらえて石を手放しませんでした。
そんなある日、孤児院に一人の身なりの整った年老いた男性が来ました。男性の名前はグスタフといい、世界各地を旅していました。そして、グスタフは子供たちの石集めに興味を惹かれます。
「…この石はどこがお気に入りなのかい?」
グスタフが問いかけると赤い輝く石を持つ男子がこたえます。
「そんなの綺麗だからだ!」
それを聞いたグスタフは顔を曇らせ、黙ってその場を離れました。
そして、そのとき偶然部屋の隅で丸くなって静かになっているミラを見つけました。
「…君、どうして皆と遊ばないのかい?」
ミラは涙ぐんでグスタフにこたえます。
「…ミラの石を皆悪く言う。あんなの友達じゃない」
すると、グスタフの目にミラの石が映るとグスタフは驚いた。
「…これは、オニキス!君はこの石を選んだのかい?この石を大切にする理由は?」
ミラは初めて自分の石に関心を持った人物が現れて喜びます。
「この石はね。ミラが森で迷子になったときに孤児院にまで転がって帰り道を教えてくれたの。そのときの月で光っているところ…今でも忘れられない。」
すると、グスタフは孤児院の部屋の中心に立ち、大きな声で語ります。
「ミラという少女が持つこの石は、一見真っ黒だがオニキスという価値のある石だ!だが、大事なのは石の価値じゃない、『石を愛する心』だ。ミラはこの孤児院の誰よりも石を愛していた。その心こそが、真の輝きなのだ!」
その後、ミラはグスタフに引き取られ共に旅をしました。
――そして、ミラは大きくなってどんな石の魅力を生かしてアクセサリーを作るようになり、やがて有名なストーンディーラーとなりました。
※この物語はフィクションです。




