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4 探索

 3度目にビーダマ達二人を起こした時には明るくなってきていた、時間が分からないから本当に適当だけど合計12時間位経ったのか?それだったら朝にもなってるだろう。


 腹も減り喉も渇いたが、もうひと踏ん張りだ、どうせならと大きく迂回して林の中に歩みを進めた。


 まだ朝になったばかりだ、昨日入った時より全然暗い、ゆっくり歩いて音をなるべく立てないように進む。


 暫く歩くと、少し音が聞こえてきた。


 ゴー スー ゴー ズーー


 ゆっくり近付いて覗くと、3体のゴブリンが木の幹に身体を預けて寝ていた、顔を見あわせた俺等は頷きゆっくり近付いた。


 ジャッキーがナイフで1体の目を一突きし、ビーダマがもう1体の頭に棍棒を落とし、俺とガイジンでもう1体の頭を打ち据えた。


 殆ど声を上げる前にゴブリン達は絶命した、スマンなこっちも意味の分からない世界で命が掛かってるんだ。


 木の幹に置いてあったナイフ3本と、粗末な布切れ、有り難い事に水の入った竹水筒の様な物まで見付けた。


 中身はまだ入っていた、無言でジャンケンの動作をしたら皆感づいて、小声でジャンケンをして負けたやつが最初に飲む取り決めをした。


 だってゴブリンが持っていた物だ、水かどうかなんて分からない、人柱になるやつを決めるジャンケンだ、何も無ければ何も無いで、全員水を飲めるだけの事。


 負けたのはジャッキーだった、決意を決めて口に含んだ、イケると親指を立てて知らしてくれた。


 ビーダマ、俺、ガイジンの順で飲んだ。


 黒い小石を忘れない様に拾って、竹水筒と黒い小石をジャッキーが布切れに包む、ナイフも全部ジャッキーが持った。


 更に林を進むとスライムの溜まり場があった、コイツラは核さえ破壊すればほぼノーダメージで倒せる、今の俺達にはとても都合の良い敵だ、6体程倒して黒い小石を拾った。


 驚くほど順調に進めている、こうなって来ると少し気が大きくなってしまう、小声だが話をしながら進んだ。


 グルルルルゥ゙


 嫌な感じの音がした先に大きな獣が居た!


 犬?じゃない狼か?デカい怖い!そいつは一気に襲いかかってきた、ヤバいヤバいソイツは、真っ直ぐ俺の方へ向かってくる。


 マジ怖い二メートルある長い棒を突く様にして前に出す、ガツガツと当たるがそのまま押されそうになった所へジャッキーがナイフを投げた!


 キャインと鳴いたソイツが距離を取った、ジャッキーが続けてナイフを投げる、外れた、また投げる、キャインと当たって鳴くソイツに三人が棒で襲いかかった!


 先に殴り掛かったビーダマの棍棒に噛み付いても、俺とガイジンの棒は防げない、残った1本のナイフを確実に当てたジャッキー、狼の身体が血に染まる。


 棍棒を噛みつく力も弱まり、目から光が失われる、口から棍棒を抜いたビーダマが頭に向けて棍棒を振りかぶった。


 ドゴッ


 鈍い音がして完全に動かなくなった狼は、消えて行くと思われたが消えなかった。


 初めての事にどうするか相談した、コイツはモンスターとか魔物とかじゃなくて獣の分類なのか?


 全く分からない、全員が、全員分からないのだ、そのままでは重すぎるので腹を裂いて内臓を出した。


 全員の意見は、コイツはきっと毛皮とかで金になるからコレを持って帰ろうだった。


 まだそこまで奥にも行ってないし、都合良く細いが長い棒を見付けた。


 丈夫そうな植物の蔓も何本か見付けてナイフで切った、獣なんか誰も解体した事がないから全員で行った、全員血だらけだ。


 ある程度上手く内臓を出して、木の棒に括る前に足を持って林の外まで運んだ。


 血の匂いに釣られて何が来るか分からないからだ、林を抜けて初めて足と棒に蔓を巻き付けた。


 もう一本は俺が槍代わりに使った長い棒だ、バンザイする形にした狼を其々が担いだ。


 内臓を取っても重い狼のお陰で、肩に棒が食い込んで痛むが我慢して、修練の村へ急いだ。

 

やっとの思いで村まで帰って来れた、迎えてくれたのは最初に会ったおばちゃんだった、血だらけの俺達を見て相当驚いたのか、ヒエッ〜と声を出した。


 ビーダマが 「水、水を貰えませんか?」


 と頼むとおばちゃんは水の入った大きなコップを2つ持って来てくれた、俺とビーダマ、ジャッキーとガイジンで半分に分けて飲んだ。


 おばちゃんは続けて


「この先に道具屋があるんだよ、そこにコレを、持って行けばいいさね、あんたら全員血だらけだから顔だけでもうちで洗って行くといいさね」


 そう言ってくれた、おばちゃんは宿屋の女将さんだった。


「有難う御座います。」


 全員で御礼を言うと


「金を手に入れたら泊まっておくれよ、あっはっはっ。」


 と、笑いながら送ってくれた。


 おばちゃんの教えてくれた道具屋を見付けて、先行してビーダマが中へ入ってから道具屋の主人が外に出て来た。


「大層な獣じゃないか、血抜きもしてあるな?解体は汚いが、まぁそこそこの値段を付けてやろう」


 そう言ってくれたので、主人に言われた通りの場所に置いた、一応あの黒い小石を見せたら魔石だと教えてくれた、それも買取してくれるようだ。


 査定を待つ間に皆で色々話をした。


「最初はどうなるかと思ったが、ワイら四人共男で良かったでぇ〜」


「本当にそうですね、僕もそれは同意します。」


「拙者ナイフ投げを学んでおいて良かったでござる」


「あぁ、一人でも欠けてたらこの獣も持って帰れなかったかも知れないな。」


 結論、俺達はヤレる!そう皆で称え合って笑った。


 この世界の貨幣の価値が分からないから、道具屋の提示した値段そのままで、狼と魔石を売った。


「魔石が合計30B 狼が110B 合わせて140Bだな、牙の状態と解体が上手けりゃ単体で140Bで買い取ったんだがね」


 この世界の貨幣の名前はバールと言うらしくBで表示されるのも知った。


 飯は何処に?と道具屋の主人聞いたら、宿屋か酒場しか無いと言うので酒場に向かった。


 何故か?酒場の女性が美人だからだよ!ふざけんなよマジでこっちは野郎4人なんだよ。


 誰に悪態をつく訳じゃない、何となく思ってるだけだよ、宿屋のおばちゃんの料理の方が美味そうだけどな、良いんだよ今回はコレで。


「あらーあんた達戻って来れたのね?思ったよりヤルジャン」


 そう言って声を掛けてくれたのはあの美女で名前はルーシーだと教えてくれた、何で教えてくれたかって?生きてるなら常連になるかも知れないからだよ、チクショウ!


「で、何?飯でも食べるの?」

「あっ、お願いしますメニュー見せてもらえますか?」


 ビーダマが代表して応対した、そこは、そこだけは俺でも良かったんだけど、な?


「はいよ」

 バサッと机の上に置かれたメニューを見た。


 オーサッパリ分からん、分からんと言うか大雑把過ぎて分からん、日本語で書かれてるから字は読めるよ?


 肉炒め、肉蒸し、焼き魚、煮魚、飯炒め、まぁこんな感じ?其々1Bだった。


「お任せなら5Bで腹が膨れる物作ってやるけど?」


 ルーシーがそう言ったので、全員で頷いた。


 ご飯を待つ間にこの先どうするか?を話し合った、取り敢えずもう少しちゃんとした武器は欲しいが、ナイフを投げて当てる事の出来るジャッキーの腕は惜しい。


 今は4本のナイフがあるから俺が提案した。


「3本はジャッキーに持たせておいて、1本は俺の長い棒の先に付けて槍にしたいんだが、どうだ?」


「あーウニオの持ってる棒の先ね、確かにそれは良い考えかも知れない。」


 ビーダマが話に乗ってくれたと思うと、残りの二人も頷いて決まった。


 取り敢えずこれで遠距離攻撃と、中距離、近距離が二人分けられた形になる、棒の先に切り込み入れて、このナイフの柄を外して、狼の足を縛った蔓で固定すりゃいけるか?


 あとゲームの世界なら絶対に武器屋はある筈だ、ご飯食ったら一応見に行こうか。


「賛成でござる」「それでええで」「うん」


 そんな感じてで上手くまとまった頃


「はいよ」

 がちゃっ、ごっ、ドサッ ドサッ バン


 と、ご飯が置かれた、ちゃんと見てなかったけど、どうやってこの量持って来たんだ?


「残したら、分かってるね?」


 それだけ言って戻って行った、ちょっと待ってせめてお水!


 すぐ戻ってきたルーシーはコップ4つと水の入った大き目の瓶を持ってきて、また乱暴に置いて戻って行った。


 まぁ良い匂いがしたから許せる気がする、見た目ワイルドだしな。





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