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第4話 入学式 《一》

 掃除も終わり──入学式の会場へ足を運ぶ。

 寮からはおよそ10分で着くが、時間もあるので、風景を見ながらのんびりと進む事にした。


 日常用品が揃うコンビニと寮の間を通り抜け、橋を渡る。

 巨大なコートや戦闘訓練用ドームなどの新鮮な建物に目をやっていると、何やら奥の通り道が騒がしくなって来た。


 何やら野次馬がわらわらと集まっている。その中心には、睨み合っている2人の生徒が居た。


 なんだ……? 


 そう何気なく呟く。と、突然後ろから返事が返ってきた。


「アレは決闘です。王立学園ではそう珍しく有りませんよ」 


「……え?」


 振り向くと、アニメに出てきそうな金髪ショートカットの美少女が微笑んで立っていた。


「君は……えっと」 


「あっ……いきなりですみません。 私、王立学園3年生の那須なす莉音りおんと言います。貴方はもしかしてこれから入学する新入生ですか?」


 彼女は那須莉音と言うらしく、この王立学園の先輩らしい。

 10年間修行漬けだったからか、敬語は不細工だが許してくれ。


「そうですね、俺は1年生の神楽ジンと言います。これから宜しくお願いします」


 多分、当たり障りのない挨拶をしておき、思い浮かんだ疑問をぶつけてみる。


「ちなみに決闘って、一体どういうもの何ですか?」


「決闘と言うのは、同意した2人の生徒が魔法や自身の持つ武器を使用して闘う事です。そして、決闘専用コートがあるようにかなり頻繁に行われていますね。理由としては、様々ですが一番多いのはやはり──」


『ギャァァァ〜』『うわぁァァ……』


「単純な喧嘩……ですね。あはは」 


 野次馬が吹き飛ばされたりして、散っていっている。

 どうやら2人の決闘は周りを巻き込む程、激しいらしい。


「青髪の剣士は風魔法、金髪メッシュの優男は土魔法を使用してますね。どちらも練度が高い。流石は王立学園の生徒って事ですかね」


「凄い戦いだね。だけど……あの校章は1年生の物。つまり新入生同士の決闘みたい」


 同じ新入生か……あのレベル奴がわんさかいるなら、魔王軍との戦争も楽になると思うが、そうはいかない。

 あのレベルに到達出来るのは、ごく僅かだ。


 そもそも魔法を発現させる事の出来る人間は、世界でも少数。

 しかもその中の8割は、タダの飾りで終わってしまう。


 だが、残りの2割は少なくとも戦闘で使用出来る程、練度を上げられる。

 才能で練度を上げた者や修行で上げた者。 

 そしてその素質がある者が、この王立学園に集まっている。


「……那須先輩は、どんな魔法を使用なさるんですか?」


「私は、回復魔法を使用出来るの。練度は上級まで扱えるわ」 

 

 上級ってことは、かなり上澄みだ。

 魔法の練度には、階級があって無級から始まり……初級、中級、上級、超級、聖級、神級。

 と、7段階に分かれている。


 無級とはいわゆる、魔法を発現させたものの、タダの飾りで終わってしまった人の階級を指している。

 そこから、練度を上げていく度に初級中級とレベルアップしていく。


 が、上級まで達するには……並外れた努力が必要になってくる。

 この事から、那須先輩の努力が伺えるだろう。


「成る程……あの2人はどのくらいの位置にいるんですか?」 


「2人共、あの魔法を見るに上級じゃないかな〜確証は無いけどね。あっでも安心して! 入学式で最後のプログラムの時、ついでに魔法属性とその練度を測るの! きっと貴方の練度も分かるはずだわ」


 え……マジ? 全員の魔法属性と練度を測る?


「それは……本当ですか……?」


「……? 本当よ、私も入学式の時に測ったもの。まあ、あの時は無級だったから少し恥ずかしかったけどね、ふふっ」


 嘘だろ。俺は《《測る》》ものなんて無いぞ。いくらやったって変わらない。

 だって、だって俺は……無級ですらない、無能力者なんだから……。


 本来、無級ですらない無能力者は、選考と入学試験で弾かれる。

 だが俺は、武術と剣術を高く評価されて学園長直々に招待状を受け取ったから入れる事が出来たんだ。


 もし……無能力者とバレたら、確実に目立ってしまう。

 ソレだけは避けなければ。


「ありがとうございます先輩、それでは時間も時間なので、行きますね」 


「うん、また会ったら宜しくね!」


 那須先輩には悪いが、挨拶も早々に入学式の会場へ向かった。

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