第10話 炎帝 《二》
巨大な魔力反応は──あそこか!
奴の頭上に魔力が集めている。
あんな巨大な魔力を地面にぶつけられでもしたら……大変な事になってしまうぞ!
──仕方あるまい。
この技はあまり使いたく無かったが、生徒会長として俺は学園を護る責務がある。
魔力消費は激しいが、出し惜しみはしていられない。
堕ちる前に──空中で破壊させる。
俺はいつもいつも考えていた。
この炎魔法をもっと高みへ到達させるにはどうすればいいか。
長い間試行錯誤し、失敗する。
その繰り返しの中で、ようやく見つけた最終地点。
この技は、周りを巻き込んでしまう程に強力で危険が伴う。
普通の戦闘では、まず使えないような欠陥品だが……最終地点と呼ぶように威力に関しては最高の出来。
この状況下で、あの魔力弾がもし……地面に落ちていた場合、被害は俺の技と比にならない。
だから、落ちる前に破壊する。
今回の場合のみ使える──必殺で。
魔法陣を展開……赤い光を放つ魔法陣の上で右腕を上げ、手のひらで炎を創り、集める。
あれに匹敵する炎の弾を創り出せ!
周りの空気は蒸発し、息はもう出来ない。限界ギリギリのその瞬間まで、止まるな。
──いくぞ。
撃ち抜け──あの魔力の塊を。
炎の弾丸──『大弾炎』。
魔力の塊目掛けて、一直線。
炎の弾丸は、奴の魔力弾を正確に撃ち抜いた。
──魔力と炎の激しい衝突。
それによって拡散した魔力は、光となって降り注ぎ辺り一帯を崩壊させた。
──ぐっっ……。
防ぎきれなかった──。
迫りくる拡散魔力を炎の壁で防ぐ算段だった。
だが、『大弾炎』を撃ったせいか防御が弱まったか。
これは大怪我だ。
しかし、まだ動けはする……今奴はどうなっている?
姿が見当たらないどころか、魔力の反応すら無い。
ド真ん中で爆発したから、奴もタダでは済まなかったと考えるべきか。
この魔力の拡散は、ここら一帯どころか学園の敷地内殆どに広がった。
中心地に居た人間はまず重症は免れないだろう。
最悪の場合……死者が出るかも知れん。
早急に、状況を確認しなければ……。




