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エロゲ世界に転生したので、最推しの攻略不可能キャラをヒロインにしてみせる!~前世の記憶を頼りに、襲いかかる数多のバッドエンドを乗り越えろ~  作者: 紐育静
第一部 帚木大星編『私の願いが叶いますように』

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やっぱり巫女服は最高だぜ!



 レギー先輩が監督を務めた舞台『私が本当に欲しかったもの』はネブスペ2第二部のタイトルにもなっており、第二部のメインヒロインであるベガルートのシナリオが大まかに描かれている。


 第二部の主人公、鷲森アルタは月ノ宮が七夕祭で賑わう中、幼馴染の琴ヶ岡ベガを天体観測に誘う。しかしその道中、アルタは事故に遭い頭部に強い衝撃を受け記憶を失ってしまうのだ。

 第二部はそんなアルタに対し四人のヒロインがせこせこと彼女アピールを強めていくシナリオになり、九月半ばの林間学校でアルタがどのヒロインとの思い出を思い出すかによって個別ルートへと分岐していく。


 第二部での烏夜朧の立ち位置は記憶喪失になったアルタにちょっかいをかけながらも彼が記憶を取り戻せるよう尽力し、個別ルートに入った後は後輩のアルタに助言をする先輩である。なお第二部でもヒロイン達にもちょっかいを出すが丁重に断られてしまうのが朧というキャラの立ち回りのはずである。

 今は第一部のヒロイン三人とのフラグが立っている気がするが……。


 

 さて、この第二部の特殊な部分はやはり主人公のアルタが記憶喪失になってしまうという点だろう。ヒロイン達との全ての思い出が消えてしまった状態で進んでいくストーリーでは中々血みどろの争いが繰り広げられてしまうのだが、問題はアルタが記憶喪失になる経緯だ。


 七月七日、アルタはベガを天体観測に誘うのだが、急用が入り先にベガが待ち合わせ場所に到着し、アルタは急いで彼女の元へと向かう。その道中にアルタは車に轢かれてしまい、頭を強く打ってしまうのだ。

 作中なら確か数日間目を覚まさず、ベガがつきっきりで寝たきりの彼に寄り添ってアルタは目覚めるのだが、目覚めた彼は頭部へのショックにより記憶を失ってしまっていた。本当に作中通りに進むなら他に目立った外傷や障害はないのだが、もし……もし何かイレギュラーが起きて、アルタの身に何か起きてしまう可能性があるのなら、俺はどうするべきだ?

 

 俺は明日、アルタが交通事故で轢かれることを知っている。いくら原作通りに進めるためとはいえ、彼が事故に遭うのを知っていながら傍観できる程俺は非情じゃない。どうせ今まで何度もイレギュラーなイベントは起きているのだから、少しでも誰かの命の危険があるなら俺は事故を未然に防ぐべきだろう。

 俺の行動が後々に響いて良い方向に向かってくれたら良いのだが……こればかりは神のみぞ知ることだろう。



 さて、今日は七月六日。生憎の曇り空だがいよいよ明日に第一部の最終日を控える中、俺は放課後に月ノ宮神社を訪れていた。七夕祭の前日のため境内には屋台が立ち並び大勢の人々が忙しなく動いている。


 「あれ、朧パイセンだー! 何しに来たんですかー?」


 境内をうろついていると、巫女服姿のルナが俺に気づいて手をブンブンと振っていた。やっぱり巫女服って最高だぜ。

 ルナを見かけると先日の生徒会室のロッカーでの出来事を思い出してしまうが、彼女が気にしていないようなので俺も気にしないことにした。


 「やぁルナちゃん。コンクールの件で迷惑をかけちゃったからね、何か手伝えることはないかと思って」

 「そんな~迷惑だなんてこれっぽっちも思ってませんよ。でもお手伝いしていただけるならありがたいです。ならせっかくですし、コンクールの投票券を裁断してもらっていいですか?」


 境内にいくつか張られているテントの下へ向かうと、テーブルの上には大量の投票用紙とペーパーカッターが置かれていた。


 「ほら、コンクールの本選が明日になって、お客さん達に投票してもらう方式になったじゃないですか。それでその投票券は屋台や神社で品物を購入したお客さんに配布しようって形になったんです。入場料代わりみたいなものですね」


 成程。それなら屋台の人達も潤うしWin-Winだろう。


 「僕はその投票券を裁断していけば良いんだね?」

 「はい。実際にどれだけの人が投票してくれるのかわからないので多めに用意したんですけど、お願いしますねっ」

 

 もっと力仕事を任されると思っていたが、これも地味だが大事な作業だ。俺は前世でもペーパーカッターを使ったことがあるが、一度に大量の紙を裁断出来るとはいえ少しずれたら全部ずれてしまうことになる。

 そのため俺は慎重に調整しながら投票券を次々に裁断していった。



 「あ、烏夜先輩。こんにちは~」


 黙々とテントの下で作業をしていた俺に声をかけてきたのは、ルナの同級生であるベガ。紅白の巫女服に銀髪が映える。スレンダーなルナの巫女服姿も良いが、背は低めだがナイスバディなベガの巫女服姿も破壊力が半端ない。


 「やぁベガちゃん、こんにちは。ベガちゃんもお手伝い?」

 「はい。私は八月の本祭でお世話になるので、お手伝いに来たんです。絶対にお守りを作って欲しいってルナちゃんに頼まれちゃいまして……」


 そういえば来月の七夕祭の本祭でミニコンサートを開くとベガは言っていた。確かにベガが作ってくれたお守りって凄くご利益がありそうだな。別に神社のお手伝いをするからといって巫女服を着る必要は無いはずだが、未だにルナに騙され続けているのであろう。これからもずっとそうであってほしい。


 「そういえば突然なんだけど、ベガちゃんって明日アルタ君と何か約束した?」

 「えぇっ!? ど、どうして烏夜先輩がご存知なんですか!? 確かに明日、アルちゃんと二人で星を見に行く予定ですけど……」

 「月ノ宮神社の裏手にある小さな広場で?」

 「は、はい……地元の人もあまり知らない場所で、ゆっくり花火と星を見ることが出来るってアルちゃんは言ってました」


 月ノ宮神社の裏手は禁足地となっており、さらにその南側が月研の敷地になっている。

 実はその間に月見山の頂上にある天体望遠鏡などの観測施設に資材を運び込むための狭い道路が通っており、その中腹に小さな広場がある。地元の人にも知られていない天体観測スポットであり、アルタのお気にいりの場所でもある。

 七夕祭当日は花火の打ち上げもあり月ノ宮神社や月見山の展望台は多くの見物客でごった返すが、その小さな広場は誰にも知られていないためゆっくりと見ることが出来るのだ。


 「アルタ君が前にそんな話をしていたから、ちゃんとベガちゃんと約束出来たのか気になってね。何時ぐらいに行くんだい?」

 「花火の打ち上げが始まる七時ですね」

 「それはいいね。明日は折角の七夕なんだから、織姫さんと彦星君にはイチャイチャしてもらわないと」

 「わ、私は織姫なんていう器じゃありませんよっ」

 「でも道中には気をつけてね。あそこの道路は狭くて暗いし、月見山には月研から逃げた宇宙生物がうろうろしているからね」

 「きっとアルちゃんが守ってくれますっ」


 ベガのアルタに対する信頼感は絶大だな。さすが幼馴染。

 しかし作中と同じように約束しているとなると、待ち合わせに遅れたアルタが車に轢かれて頭部を強打し記憶喪失になる可能性が高い。事前に忠告するだけでは不安だし、俺も現地に赴いてそのイベントを防ぐ必要がある。折角だから二人の時間を大切に過ごしてもらいたい。


 

 ベガが自分の持ち場へ向かった後も俺は黙々と投票券をペーパーカッターで裁断していたが、目の前を見知った二人組が通りがかった。


 「あれ、朧だー」

 「烏夜さんじゃないですか」


 そこに現れたのは巫女服姿のスピカとムギ。

 な、なんで巫女服姿なんだ……? いやベガも巫女服姿だったけど、あれはルナに騙されているだけだったし。

 いや、すっげぇ似合ってて可愛いんだけども。もうヒロイン達全員に巫女服着てもらいたい。限定衣装でも良いから実装しろ。


 「やぁ奇遇だねスピカちゃん、ムギちゃん。もしかして二人も神社のお手伝いに来たのかい?」

 「はい。色々とご迷惑をおかけしたので」

 「頼まれたのはただの掃除だったけどねー」


 二人共竹箒を手に持っている。この二人が境内を掃除しているだけでお客さんを呼び込めるだろう。

 そんなことを思いながらスピカとムギの巫女服姿を堪能していると、俺の不埒な視線に気づいたのかムギがニヤニヤしながら顔を近づけてきた。


 「ははーん。朧~私達の巫女服姿に興奮してるんだね?」

 「そうさ、否定しない。とっても似合ってて最高だよ。後で写真を撮らせてくれないかい?」

 「タダでは撮らせないよ。一枚五千円でどう?」

 「……乗った!」

 「いや、ダメですよ烏夜さん!?」


 もう五百枚ぐらい写真に保存しておきたいぐらいだが、恥ずかしがるスピカに慌てて止められてしまった。スピカとムギの巫女服姿なんてネブスペ2のイベントCGとかにも出てこないからかなりレア物だ。


 「ていうか、どうして二人は巫女服を着ているんだい?」

 「お手伝いを申し込んだら、制服はこれだと渡されたので……」

 「神主さんに?」

 「いや、あそこにいる黒髪の子」


 ムギが呼び差す方向には、木箱を運んでいたルナの姿があった。ルナは俺達の視線に気づくと話の内容も理解したのか、遠くから俺に向かって笑顔でVサインを送っていた。

 ……今度ルナには高いケーキでも奢ってやらないとな。


 「いよいよ明日だね、コンクールも。ムギちゃんの自信はどう?」

 「何かもう次のを描きたい気分」

 「今度のお休みにたくさん画材を買いに行こうという話にもなってまして……」


 それだけ次の作品に対するモチベーションが上がっているということは、余程自信のある作品に仕上がったのだろう。前世で画面越しでも見たことがない作品だから気になるな。


 「明日はもしかしたら晴れるかもしれないですし、花火もよく見えるでしょうね。烏夜さんは神社に来られる予定ですか?」

 「勿論だよ。大星達も来るだろうし一緒に見よう」

 「いや、違うよ朧。スピカはね、大星とかレギー先輩とか私達と一緒じゃなくて『朧』と『二人きり』で見たいんだよ。その乙女心がわからないならスピカはまだ朧にあげられないね。だから私が朧を貰ってあげる。」

 「ちょ、ちょっとムギ!?」


 調子に乗ってニヤニヤしているムギをスピカがポカポカと可愛らしく叩いていた。そう恥ずかしがっているあたり本当にそう思ってくれていたのだろうか? 何だかむず痒いし、今までのシリアスな展開を全て通り越して甘々なラブコメが繰り広げられている。こんなに幸せなことはないな。


 「成程……僕もまだまだ朴念仁だったというわけだね。スピカちゃん、明日は僕の家で一緒に花火を見ない?」

 「い、いや行きませんよ!? いや、でも行ってみたいかも……」

 「待って、でも抜け駆けは許さない。だから私も呼んで。ついでにレギー先輩も呼ぼう」


 もうムギはただ面白がっているだけだろうが、流石に明日は俺も第一部の終わりと第二部の始まりを見届けなければならないため忙しいのだ。

 


 明日はいよいよ、最初の運命の一日である。第一部のヒロイン達のグッドエンドを回収し、そしてとうとうネブスペ2の第二部が、鷲森アルタを主人公とした物語が始まる。

 ていうか明日のスケジュールはどうなるのだろう? 大星は美空ルートのグッドエンドを迎えるだろうから最後は展望台でイチャイチャしているだろうが、レギー先輩とスピカとムギはどうなるんだ?


 もしかして明日、俺は三人から改めて同時に告白される……!?


 

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 何卒、よろしくお願いします!

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