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第52話 決着

「いよいよ対局が揃ってきたみたいですわ。殿下ここを乗り切って帰りましょう」


「エレメナを放ってはおけない」


「勿論、一先ず目の前の問題解決から」


「あなた達に何かできるの」


 緑陰の魔女の対抗手段は未来の私から教えてもらった。


 作戦に不足はないのである。


「何をしようと結果は同じなんですよ」


 緑陰の魔女はお馴染みに茨をだしてきた。


 しかしこの茨は精神に作用するものだった。恐れなければ自然と消えるのである。


「な、なんで」


「干渉力を無視して生まれた未来の私の力、そう生易しいものではありませんよ」


「嘘」


 どうやら未来の私がいなくなったエレメナはこのような運命をたどっていたのか。


 緑陰の魔女は取り乱す。


「どう足掻いても結果は同じです」


「この!」


「殿下」


「分かってる手筈どおり」


 殿下は剣を自身の背後に向けてふった。


「うわあああああ」


 同じタイミングで緑陰の魔女は背後に現れたのである。


「どういうこと? こんなことが」


「これは未来の私と間に生まれた奇跡的な干渉力の歪み、数多のパラレルワールドで唯一無二のあなたの敗北するルートなのよ」






 未来の私は緑陰の魔女の攻略法を数多の未来で手に入れていたが、対抗手段がなかった。対抗には殿下と私が仲直りするシナリオが欲しいのである。


 無数のループにより幾多もの敗北を重ねたことで、たどり着いた攻略法、いったいどれほどの苦労を重ねれば済むのだろうか。


 見えないループの連鎖が広がっていく。その先の光景を私は見るのである。


「あなたはどこまで壮絶な光景を目の当たりにしてきたの」


「全ては殿下のためにここまで私は捧げてきたのだから、殿下と信頼を関係を築けてこそ成功するこの作戦だけど、数々のルートで一番築けているものを探す」


「そんなに頑張る必要はないじゃない。背負い過ぎる必要もない」


 そんな心の声を無視して私は進み続けた。


 攻略不可能な緑陰の魔女の数々の技にあてられながら、数多の犠牲と痛みを伴ってきたのである。


 記憶もどんどん曖昧になっていく。このままでは存在自体が消えてしまうのではないだろうか。どんどん私が私でなくなっていくと感じたのである。


「迷いはあるかい?」


「うんうん…」


「どうしたんだ」


「全然! もう心配ないよ! これで私の勝ち」


 最後のピースが揃った。数多の失敗を繰り返して殿下の末路を知っても尚、気持ちは変わらなかった。だからこそ気分が心地よくなって笑顔がこぼれたのである。


「さよなら」


 私は最後にあったルートでの殿下の最期を見届けて、記憶を過去に飛ばした。


 絶対に運命を変えるとそう誓って。





「未来の私の努力が今の私に伝達されているの。負けるわけない」


「やめて」


「さよなら」


 緑陰の魔女は殿下の抜刀で消え去った。







「やったねミケレ」


「そうですね。やっと終わりました」


「そういえばここは過去じゃなかったか」


「そうでした。あまりにも没入してしまったので、私もうっかり」


「お嬢様ああああ~!」


「ポリューシラじゃないの。あなた何をやってたの」


「エレメナさんに隠れててと言われて」


「エレメナが」


「あれ、エレメナさんは?」


「やりましたねお嬢様!」


「ええ、あなたもありがとうポリューシラ」


「みんなのおかげです」


「殿下?」


「ミケレ、やっぱり僕は君が欲しかった」


 殿下が私の顔に触れてきた。


「こんな冒険を僕は求めてたんだ。本当にありがとう」


「え、ええ」


 二つの線が交わる時、それは新たな局面を生み出す。私とあなたの頑張りが一つの希望のルートにつながる。








「よかったですよ。殿下とこうして何事もなくもう一度対面できて」


「そう思うのはこっちもそう」


「皆さん!」


「っ! あなたは」


 全てが終わったかのように見えたその場に、いきなり元のエレメナが現れて戦慄した。


「ど、どういうこと」


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