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第21話 物語の世界

「ミケレ様どうしたんですか急に出かけたいとは」


 私の手紙を受け取ったポリューシラが予想通り現れた。


「裏ルートに行くんですよ」


「裏ルート?」


「ええ」


 向かう先は時計塔の頂上、そこで未来の私が編み出した逆転のロストアイテムを示して見せる。


「これでどうなりましたの」


「どうって」


「だから言ったでしょ。ロストアイテムの先にあるのは示された終わりの文字式よ」


「文字式?」


「うん、とにかく王城を取り巻く状況を一気に変えて見せる。ポリューシラ、あなた昔からおとぎ話のような話が好きよね」


「ええまあ」


「なら私がそれを示し合わせてあげるわ。知らしめてあげる」


「なるほどお嬢様が私の好きなおとぎ話のアイテムを見せてくれるのですか。それは具体的にはどういったことなのでしょうか」


「そんなこと言ってしまったらつまらないというわけよ、とにかくついてくるといいわ」


 



 王国南西部にある時計塔、そこではある時間になると時空が歪むとされている。しかしその時空の歪みについて実際に見たものはいないとされている。


「なぜ時計塔の歪みを認識するものがいないのか、私があなたに証明してあげますわよ」


「流石お嬢様です。そんなことまで思いついてしまうとは」


 ポリューシラは本当に飲み込みがいい私の自慢の侍女、説得の必要もなくここまで私の突拍子のない話を信じてくれるとは本当に助かりますわ。


「時計塔にはある一定の時刻に時空が歪むものの、その時刻はほんの一瞬なのです。つまり完璧にタイミングを計れるものがいなくてはその効力を確認することができない」


「でもその一瞬を見逃さなければよいのではないですか。これだけ有名な時計ですから一日中張り付いている人もいたかもしれません」


「確かにそうね。だとしたら張り付いても確認できないほど一瞬なのではなくて」


「そんなことがあるのですか」


「そうですよ。しかし私は例外ですがね」


 私は未来の私がくれたポートフォリオを読み込んだ、私にはどのタイミングで歪みに触れるかのシミュレーションが完全に頭の中に入っているのである。


「それがまさに今なのです」


 私は時計塔に手をかざすのであった。


 



 なんだろう、未来の私の思考が私の頭の中に入ってくる。今まで見えていた世界が、全く違うように見えてくる。こんなにありふれたことには、ありふれたものがたくさん含まれていたなんて夢にも思わなかった。私の知らないところで色々行動していたのね。


 まるで今まで自分が感じていたことのレベル全てが低すぎたのではないか。ここまで達観した次元にたどり着いてしまったら、もうあまりにも昔の私のいた世界全てが狭すぎて馬鹿らしく思えてくる。


 まるで幻想に思考を託すかのように、今の私は多分時間を超えた者にしてか味わえない思考を得ているに違いない。


 超越したように見つけた思考は、自分にとっては尊いもので、他の誰にも理解することはできないのであろう、最早そう考えてしまう程深くのめりこんでいったのである。


「不覚、こんなに見落としていたなんて」


「ミケレ様どういたしました」


「何でもないわポリューシラ、先へ急ぎましょう」


「しかし時計の先にあるもので何をするのですか」


「時間逆行により、物語を根本的から変えるのよ。時計塔の時間逆行は制限時間があるの。だからこそ、立ちどまってはいけない」


「なるほどですね。わかりました」


 未来の私が託してくれたのは緑陰の魔女の攻略法、ポリューシラが以前話してくれた物語こそ緑陰の魔女の過去、それを私が今から変えなくてはいけないのである。


「ポリューシラ、あなたの好きな逸話が目の前に現実となるわ」


「こ、これは」


 ついに時間逆行が完了した。


 ポリューシラの目は見とれて、羨望の眼差しに包まれたのである。


 目の前に物語の世界が映り込んだ。


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