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考えてみれば、ヒューイット様が呼ばれるお茶会に私も必ず呼ばれているとは限らないのよね。
グレイ侯爵家は派閥の上ではベッドリー公爵家の縁戚だ。ベッドリー公爵家と我がグリーンヒル家の関係は悪くなかったし、私がヒューイット様の下僕になっても我が家と敵対することにはならないだろう。
お茶会に招かれたいのなら出来るだけ多くのお茶会に参加して、繋がりを持たなければならない。
ベッドリー公爵家の派閥でお茶会を開くとして、伯爵家以上で社交に力を入れていて私を招いてくれそうな家は……
うわ。
一つ思い浮かんでしまった。ホルムズ侯爵家。
嫌だなぁって思ってしまうのは、ホルムズ侯爵家の嫡男バーナードが私に冤罪を着せた殿下の側近の一人だからだ。今回は絶対に近づきたくない。
でも、バーナードの姉のアリシアが社交好きで、よくお茶会を開いていたのよね。
「うーん……」
私は頭を悩ませた。
正直、前回のトラウマでヒューイット様以外の人にはあまり近寄りたくないのよね。裏切られるの嫌だし。
でも、あのド外道どもに対抗するには、人脈を作っておく必要はあるかもしれない。
私はノートにド外道リストを書き込んでみた。
ジュリアス殿下 第一王子殿下。絶対に許さない。
ルナマリア・ムーン 元平民の男爵令嬢。四年生の途中で編入してきた。その後、殿下他高位貴族の令息を籠絡する。死んでも許さない。
バーナード・ホルムズ 侯爵家嫡男。社交的な姉アリシアと違って陰険。確実に許さない。
アダム・モーガン 伯爵家嫡男。モーガン伯爵は騎士団団長。何があろうと許さない。
コリン・ブライム 伯爵家三男。グリーンヒル公爵家の養子。私の従兄弟。公爵家を継がせるために養子にした。微塵も余すところなく許さない。
カナリア・ザフィリ 侯爵令嬢。私の取り巻きだったけれどルナマリアの味方をして嘘の証言をした。何から何まで許さない。
マーゴット・シャイデン 伯爵令嬢。上に同じ。何が何でも許さない。
ふう。
やけに怨念のこもったページになってしまった。まあいいわ。
新しいページに移って、新たな人の名前を書き込む。
フアナ・ワトソニア 伯爵令嬢。バーナードの婚約者。
イベリス・レモニー 子爵令嬢。アダムの婚約者。
エリーナ・コーレア 伯爵令嬢。コリンの婚約者。大人しい性格。
エリーナ以外とは話したことがないけれど、三人とも、婚約者がルナマリアに夢中になってしまって困っていたはずだ。
彼女達とは仲良くなっておいた方がいいかもしれない。
もしかしたら前回で、私が死んだ後に彼女達も殿下達に何かされたのかしら。殿下とルナマリアならやりそう。彼女達に魔の手が及ぶ前に陛下が殿下達を捕まえてくれていればいいけど。
よし。自分の身を守るため、そして何より、ヒューイット様を幸せにするために、頑張って人脈を広めよう。