表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/60

45




 どうやら私の自害は本当に序章に過ぎなかったらしい。


 その後、魔女が正体を表し、貴族の子供達が人質に取られ、単身乗り込んだ公爵によって魔女が倒され、魔女につけ込まれ国を危険に晒した罪で王子達が罰され、国王が退位し新王が立った。一大叙事詩じゃん。


「新たな王となったベッドリー公爵は魔女を恐れ、グリーンヒル公爵にルナマリアに協力した兵や貴族達の捜査を命じました」

「グリーンヒル公爵の魔女への恨みは凄まじく、新たな魔女が生まれないように少しでも魔術に関係する者は捕らえられました」

「国中に監視の目が置かれ、少しでも疑わしい者は密告され、「魔女狩り」の嵐が吹き荒れたのです」


 話がどんどん不穏になってくる。

 お父様はとっても穏やかな人なのに、私の死後にどうなってしまったのだろう。サリーナ様から聞いた武勇伝でお父様が意外とやんちゃだったのは知っていたけれど、「魔女狩り」を指揮して国を恐怖に陥れただなんて信じられない。


「いつしかグリーンヒル公爵は「血まみれ公爵」と呼ばれ恐れられるように……」

「お父様が!?」


 ううーん……一人娘の私があんな死に方してしまったせいで、お父様がそんな風になってしまったのかしら。


「密告されるのを恐れて誰もが息を潜めて生きる暗い時代でした……」


 なんか申し訳ない。


「皆、グリーンヒル公爵を恐れて、国王さえ何も出来ずにいたところを、ヒューイット・グレイ様は魔女と決めつけられて捕らえられそうになった者をこっそり逃がしておられました」


 おっと。まだヒューの出番があったとは。


「グレイ様はステラ様の純潔を守ったことでグリーンヒル公爵から信頼されていたのです」

「グレイ様が救った者達がやがて反乱軍を組織し、グリーンヒル公爵の元に攻め込みました」

「お、お父様……」


 まさかの、ラスボスは魔女ルナマリアじゃなくて私のお父様だったなんて。


「グリーンヒル公爵は鬼神のごとき強さで、反乱軍にも多くの犠牲者が出ましたが、ついにヒューイット・グレイ様がグリーンヒル公爵と相討ちに……」

「ヒューが!?」


 私はとうとう頭を抱えてしまった。いろいろと予想外すぎて何も言えない。

 彼女達がルナマリアをどうでもいいと言うのも無理はない。私のお父様が強すぎる。


「すべてが終わった時には、国は荒廃し王も貴族もない有様でした。私達三人は婚約者が身分を剥奪された後、修道院で過ごしておりましたが、ついに滅びた国を前にどうしてこうなってしまったのか茫然としていました。そして、思ったのです。すべてはあのパーティーで、ステラ様をお救い出来なかったことが原因だと」


 フアナがぐっと唇を噛んだ。


「グレイ様以外の誰も、ステラ様をお助けしようとしなかった。その報いなのだと」

「やがて修道院にも暴徒と化した民衆が雪崩込んできて、私達は一緒に毒を呷りました。出来るならやり直したいと願いながら」

「その願いが神に届いたのでしょうか。それとも、私達の中に眠る魔力がこんな奇跡を起こしたのでしょうか。私達は十歳の頃に戻っていたのです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 殿下の池もめちゃくちゃ笑ったけど公爵パパはっちゃけすぎて強すぎて笑う
[気になる点] むしろ主人公にその世紀末覇者の血が流れてるんだよね……?(((;゜Д゜)))
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ