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7. ぎるどで の さいかい

よろしくお願いします。

冒険者ギルドにて、3日間の礼儀作法講習と試験を終了した僕達。


貴族として学んだ経験のある僕やアリサと違ってユーナはこういうのは初めてらしく、終わった後は気疲れでげんなりとしていた。


そんな彼女を2人で慰めながら1晩明けて、気晴らしに簡単な採集依頼でも受けようかとギルドに顔を出した僕達に、不意に声がかかった。




「あ、アンタら!」


声を上げて駆け寄ってきたのは、ドーヴに来る途中の山道で一緒に戦った『斬羽ガラス』の人達。


ああ、こっちに戻って来てたのか。



「おはようございます。えーと、ケイさんと……リヴさんとシュナさん。無事で何より」


「どうも、久しぶり。今回はお互い大変だったな」


「やあ、ご無沙汰だね」


『斬羽ガラス』の皆は僕達の目の前まで来ると、そこで3人そろって頭を下げる。


「今回はアンタらのおかげで助かったよ。本当にありがとう」


「あんた達が戦ってくれなかったら、間違いなく私達みんなあいつに食い殺されてたよ。命の恩人だよ」


「心から、お礼申し上げます」



聞くところによると彼女達、ガンユさんと一緒に魔獣車で逃げた後は、ブラッドレクスの件をホウロに報告した。


その後は聴取やら調査やら何やらで、1週間程ホウロに足止め。


先日封鎖が解除されたのでホウロを発って、昨日の夕方頃にここドーヴに帰って来たのだそう。


ガンユさんはというと、冒険者でも運輸ギルドで護衛を専門にやってるような人なので、報告やまた次の仕事のこともあってそちらの方に行ってしまったとのこと。


「あの人も、あと車に乗ってた人達も感謝してたよ」とケイさんが言っていた。




せっかくなので僕達は、ギルドのホールに並べられたテーブルの1つで少し話をすることにする。


「キョウさんは……本当に残念なことで」


僕は売店で買ってきたお茶を皆に配りながら『斬羽ガラス』の人達に声をかけた。


仲間を失ったということで彼女達も少し沈んだ様子ではあったけど、すぐにケイさんが笑顔を見せてくる。


「ああ……あれは相手が相手だったし、仕方ないさ。でも調査隊から話を聞いたけど、キョウのこと仮埋葬してくれてたんだって?ありがとうね」


「ええ。簡単なもので申し訳ないですが」


「いや十分さ。キョウはホウロまで運んで、そこで改めて埋葬してきたから」


「それは良かった」


「あ〜、さっきから気になってたけど、冒険者同士なんだし、アンタらの方が強いんだからそんな敬語なんか使わなくったっていいぜ?アタシらだってこんな感じなんだしさ」


「そう?じゃ遠慮無く」



どうやらもう気持ちの切り換えは済んでいるらしく、僕としても一安心。


仲間が死んでしまったのは悲しくても、そうでなければ冒険者はやってられない。


僕とケイが話してる隣では、ユーナがリヴに話しかけている。


「キミ達は、これからどうするの?新しいメンバー探す?」


「そうだね……キョウが死んでパーティとしても5級になっちゃったし、しばらくは簡単な依頼を受けながら食いつなぐよ。新しいメンバーは、良い人がいればって感じかな。……ちなみになんだけど、あんた達ってパーティメンバー増やすつもりとか……ない?」


「う~ん、私達はちょっとやりたいことがあって、ここを拠点にするつもりは無いんだ。2ヶ月くらいしたら、ここを発つ予定なんだよね」


「そっか……残念だけど、それじゃちょっと無理だね」


「うん、ごめんね」


「いやいや、謝ることじゃないって」


なんでも彼女達は皆実家がこの町にあるそうで、家族がいることもあってドーヴを離れるつもりは今のところ無いらしい。



「それにしても、本当にあの1級モンスターを倒してしまったんですね。低ランクと聞いていましたが、お強いのですね」


「ああ、やったのは主にこいつなのだがな。今はあの大蛇と合わせて、ギルドに解体と買い取りを頼んでいるところだ」


シュナの言葉にアリサが僕を指差す。


「あ〜、話には聞いてたけどやっぱりそうなんだ。アンタ6級だっけ?よく勝てたね?」


「まあ、罠にはめて体勢崩して、後はとにかく急所狙いでなんとか。んで今僕とアリサは3級で、ユーナは2級に昇格の予定なんだ」


僕がそう言うと、彼女達は皆で感心した目を向けてきた。なんかこそばゆいというか。


「まあ、あんなの倒したんだから当然だよね」


「ああそれからタイタニックアダーなんだけど、素材の売却額の3分の1ずつ、『斬羽ガラス』とガンユさんに払ってもらうようギルドにお願いしてあるんだ。大体半月くらいで支払われるみたいだから、楽しみにしててね」


「「「へ?」」」



僕の言葉に、一斉に呆けた顔をする彼女達。


最初に我に返ったのはケイ。


慌てて椅子から立ち上がると僕に詰め寄ってきた。


「い……いやいや、アタシらが3分の1って、なんでだよ!?」


「ブラレクはともかく、タイアダは皆も戦ったじゃないか」


「倒したわけじゃねえだろ!?戦ったっていっても大したことしてねえぞ!それからなんだよその略し方!?」


「いや、そろそろ言うのが面倒になってきてさ、ブラッドレクスとかタイタニックアダーとか。あとその倒した人が偉いって理屈で言ったら、タイアダの買い取りのお金はブラレクに払わなきゃいけなくなってしまう。それはいくらなんでも無いでしょ?皆もちゃんとその場にいて戦ったんだからもらってよ」


「いや、だってそれじゃ……うぐぐ」


「じゃ、じゃあ……本当に、良いの?いくらになるのか知らないけど、相当なお金になるよね?」


何か言いたいけど言葉が見つからないという様子で頭をかきむしるケイと、口を開けて呆けているシュナ。


皆より若干冷静そうなリヴは、上目遣いでおそるおそる問いかけてくる。


「うん、3人で決めたことだしね。これからキミ達も何かと物入りになるでしょ?」


ユーナの返答に僕とアリサも頷いた。


まあ僕達は、ブラッドレクスの方をまるごともらうわけだしね。



リヴにも促されて少し落ち着いた『斬羽ガラス』の3人。


一度席を立って、再びそろって僕達に頭を下げてきた。


「じゃあ、ありがたくもらいます」


「「「本当に、ありがとうございました!」」」



まあまあと彼女達を席に座らせて、今後のことなどについて話をしていた僕達に、横から声がかかったのはそんな時だった。

お読みいただきありがとうございます。


また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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