3. おおもの の ていしゅつ
よろしくお願いします。
「よく来たわね。私はこの支部でギルドマスターを任されているキサイ・ハリエです。簡単にではあるけど、話は聞かせてもらいました」
「はい申し訳ありません。すべて僕がやりました。他の2人はなし崩しに付いて来ただけですので、どうか許してあげてください」
「……待って、何のことを言っているの?」
職員達に捕まって表に連行された僕達。
連れて行かれたのはギルドの建物の裏手の、別の入口から入った場所。
中は広い倉庫のようになっていて、正面に長身で髪の長い女性が先程の受付嬢さんを伴い立っていた。
その後方にはガタイの良い男女が数名、床にシートを敷いたり、何か道具や水ダライの用意をしたりと作業をしている。
僕達に自己紹介をしてきた女性はなんとギルドマスター。
口調は柔和だけど僕達を見る目はやや鋭い。
僕達を連行してきたギルド職員達はギルドマスターの前に僕達を置くと、そのまま倉庫の奥にある扉から次々に出て行った。
なんか皆してやたらと淀みの無い流れるような動きだったけど、彼らはこのギルドの特殊部隊か何かだろうか。
ギルドマスターと受付嬢さんは、僕の返答に怪訝な顔でこちらを見ている。
「ホウロからここまで来るのに乗った魔獣車の料金、まだ払ってない件ですよね。別に踏み倒すつもりはなくて、この後すぐに運輸ギルドに行ってちゃんと払うつもりでしたので……」
「そう、それは忘れずに払うようにね。でも今はその話ではなく」
「もしかしてホウロのギルドから何か苦情でも?でもあれは手助けになりこそすれ邪魔をしたわけでは……」
「何をやったのかは気になるところだけど、苦情は来ていないしその話でもなくて」
「まさか山火事でも起きました?確かに油をばらまいて火を付けましたけど、でもどこも燃え移っていないのはちゃんと確認を……」
「誰か警備隊を呼びなさい。ここにテロリストがいるわ」
「冗談ですごめんなさい!!」
さすがに悪ふざけが過ぎたようで、僕は大慌てでギルドマスターに土下座をする。
危うく一緒にテロリスト認定されかけたアリサとユーナからポコポコと叩かれる僕を見て、キサイギルドマスターはため息をひとつ。
「……話を戻すわね。先程このソランから、あなた達がランク1級の魔物を討伐してその死骸を持ってきたと報告を受けました。これは間違いない?」
「見かけは大きいんですが実は6級くらいかも……」
じろり
「はいございません」
正座したままギルドマスターの問いに答える僕。
「なるほど。それではまずここで出して見せてもらえる?ここは当ギルドの解体場です。ここで自分達で討伐した魔物を解体することも出来るし、あそこにいる彼等職人に解体を依頼することも出来ます。今は私の権限で、私達と彼等以外は立ち入り禁止にしているので、誰かに見られる心配はありません。1級の魔物を衆目の前でいきなり出したら騒ぎになるから」
「わかりました。ではちょっと失礼して……」
僕は立ち上がって解体場の中央辺りに拡げられたシートの側に行って「ここでいいですか?」と確認を取ってから、シートの上にマジックバッグからブラッドレクスの死骸を出した。
「……!!」
「……ひっ!」
「マジかよ……」
現れた巨体に僕達3人以外の、その場にいた全員が息を飲む。
「え~と、実はもうひとつありまして」
僕の言葉にユーナが進み出て、ブラッドレクスの隣にマジックバッグからタイタニックアダーの死骸を出してみせる。
「……な!?」
「嘘……」
「……ちょっと、これは聞いていないんだけど?」
驚愕の声を上げる職人さん達と受付嬢さん。そして僕達を睨み付けてくるギルドマスター。
「言う前にここに連れてこられてしまって」
最初に死骸が2つあるって言っとけば良かったかな?反省だ。
冷や汗を流しながら必死にペコペコと頭を下げる僕達に、彼女は大きなため息を吐く。
「それではこの2頭共解体と買取りで良いのね?解体は彼等に任せて、あなた達にはこの後私の部屋で詳しい話を聞かせてもらいます。クシオ、ここは今日1日立ち入り禁止。それから当面、この件に関わる者全員に箝口令を敷きます。人手が足りなければあなたの判断で増やしても良いけど、その者にも徹底させるように。ソランも、わかったわね?」
「了解しました。おい、アウユとインとヨッツを呼んでこい。こんな大物2つも、俺達だけでは無理だ」
ギルドマスターの指示を受けて、早速動き出す職人さん達と受付嬢さん。
僕達からも彼らに、タイタニックアダーはおそらく毒ヘビであること、ブラッドレクスは毒などは無さそうだけど、皮膚に再生能力があるらしいこと、2匹揃ってやたらと皮膚が硬いことなど注意事項を伝える。
指示を出し終えるとギルドマスターは僕達に向き直った。
「それでは話を聞かせてもらいます。付いてきて」
「あの〜、素材は全部売却じゃなくて、一部で装備品とか作りたいと思ってて……」
「それについても部屋で話を聞きます。こっちへ」
ギルドマスターの有無を言わせぬ口調。
僕達3人は顔を見合わせ、彼女の後をとぼとぼとついていった。
◇
「ねえ、なんか気がついたら僕が矢面に立ってない?」
「実際ブラッドレクスを倒せたのはお前の力が大きいからな。適任なんじゃないか?」
「信頼してるよコタ!」
「あらららら」
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