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エピローグ

よろしくお願いします。


4章エピローグになります。

クロウ共和国ウム山中にある町ホウロ。


近隣で発生したオークの集落の問題も解決し、普段の日常が戻ったかと思われたその町に突如激震が走った。



朝方に首都ドーヴへ向けて町を出発した乗り合いの魔獣車が、その日の夕刻に転がる勢いでホウロへと駆け戻って来た。


そして車に乗っていた冒険者達から、首都ドーヴへ向かう道の途中に、ランク1級モンスターが出現したとの報告がもたらされたのだ。



魔獣車の乗客と御者及び護衛の傭兵1人は魔物を直接目撃してはいなかったものの、同乗していた冒険者4名からの報告に加えその内の1人のランクが3級であったこともあり、冒険者ギルドは信頼性の高い情報と判断。


1頭で都市1つを落とせる力を持つと言われる魔物の出現という事態に、ギルドマスターのカルガンの命で職員が行政府及び警備隊へ報告の使者として走った。


冒険者ギルドは、ホウロを拠点とする冒険者達へ直ちに緊急依頼を出し、ドーヴへと続く道の封鎖及び町の警戒と防備を固めると共に、夜が明け次第2級冒険者パーティ『白鷹の翼』を中心とした調査隊の派遣を決定する。




翌朝「ブラッドレクスの姿を確認次第即撤退する」「魔物を発見しても絶対に手を出さない」ことを厳命の上、高ランク冒険者で構成された調査隊がホウロを出発した。


魔獣車からの報告では、乗客として乗っていた冒険者3人が、車を逃がすために囮としてその場に留まったとの情報も上げられていた。


当然、彼等の生存は絶望的と思われていたが、しかし現地に到着した調査隊は思わぬものを目にすることとなる。



それは戦闘の痕跡に加え、森の中に向けて街道の地面に大きく描かれた矢印と、その先にあった犠牲者の仮埋葬と魔物討伐完了について書かれた貼り紙。


調査隊はホウロに向けて伝令を走らせると共に、2日をかけて現場周辺を捜索。


しかし報告にあったブラッドレクスの死骸や逃走の痕跡、その場に残ったという3人の冒険者の遺体等はついに見つからず、調査隊は仮埋葬されていた4級冒険者キョウ・ケイスの遺体のみを収容し、ホウロへの帰路へ付くこととなった。



ホウロの行政府と冒険者ギルドはこの報告を受け、直ちに市会議や警備隊の主だった面々と対策の会議を開く。


「冒険者3人が魔物を討伐し、死骸を回収して立ち去った」「3人はブラッドレクスに殺害され喰われてしまっており、タイタニックアダーの死骸はブラッドレクスが後で喰うために運んでいった」「そもそもが見間違いであり、高ランクモンスターなど最初から出現していない」などのあらゆる可能性が検討された上で、対策会議はさらに大がかりな調査を決定。


衛兵40人冒険者50人を投入し1週間の捜索を行うも、特に新たな発見は無くそのまま調査は終了となった。



調査の終了と時期を同じくして、首都ドーヴの冒険者ギルドからホウロに伝令が到着する。


その伝令の上げた報告が、ホウロにさらなる衝撃をもたらした。


報告の内容は「数日前にドーヴの冒険者ギルドに現れた3名の冒険者より、ドーヴとホウロ間の街道に1級及び2級モンスターが出現したとの報告。同時にその出現した魔物2体の死骸が、ドーヴのギルドに提出された」というもの。


あの戦いの現場にあった貼り紙に書かれていたことは事実であったのかと、ホウロの町は再び驚愕し、またそんな魔物を討伐した冒険者は一体何者なのかと戦慄することとなった。



魔物討伐の報告が入ったことで、念のためさらに3日間の猶予期間を経た上でホウロからドーヴへと続く山道は解放となり、この件に関しては終了という形となった。


とはいえ1級モンスターの出現という前代未聞の事態ということもあり、ドーヴとホウロ合同で街道の警戒及び周辺の調査は継続されることとなっている。




最後に、ブラッドレクスと遭遇した際、魔獣車が逃げる時間を稼ぐべくその場に残って囮となり、さらにはその魔物の討伐に成功したという冒険者3人。


誠に勇敢であり英雄的といえる行為であったのは皆が認めるところではあったが、なぜかその3人の名前及び特徴を聞いた冒険者ギルドホウロ支部の関係者や冒険者達は、皆異口同音に声を上げたという。


「またあいつらか!!」


と。

お読みいただきありがとうございます。


また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。



クロウ共和国は共和制の国ということで、平民でも名字を持っています。

ただし共和制に移行してまだ間もないということもあり、平民は名字を使わず名前だけで呼び合うことが多いです。

一方で王制のアト王国、ドルフ王国、グランエクスト帝国などは平民に名字はありません。

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