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7. ほうしゅう の こうしょう

よろしくお願いします。

困ってる人に対して冷たいって思われるかもしれないけど、これ大事です。


こっちも自分の命をかける以上、無償奉仕というわけにはいかない。


しかも今回は敵が10人以上、こっちは1人とむちゃくちゃ分の悪い勝負。


無償で自分の命を危険に晒すとか、それはもうボランティアですらない、もっと他の何かだ。


ウルトラマンじゃあるまいし。



あと無償で助けて「タダで助けてもらえるもんなんだ」なんて思われるのもいけない。


そういう話が広まったりすれば、場合によっては今後この分野で仕事をする冒険者や傭兵など、皆に影響してくる。


目の前のロホスさんがそうだとは言わないけど、世の中正当な報酬を請求しても「別の人は無料で助けてくれたのに、あんたはお金を寄越せっていうのか」なんて文句言う人は必ずいる。


役人風に言うなら『悪しき前例を作ってはいけない』というやつだ。




ロホスさんは一瞬戸惑ったような顔をして、それから慌てて服のポケットから財布を取り出して僕に差し出した。


「ほ、報酬は……まず、これと……私が商業ギルドに預けているお金、金貨で15枚程ですが……それを、お支払いします。あとは盗賊に奪われた品物等も差し上げますので……」



あいにくと僕は盗賊討伐の報酬の相場を知らないので、とりあえずはそれで了承する。


ちなみに金貨1枚で一般の4人家族が大体2~3週間くらい生活出来る。


「わかりました。じゃあこのお金と金貨15枚をもらうことを前提に、後は盗賊からどれだけの物を回収出来たかで決めることにしましょうか。契約書を作ってほしいところですけど、今の状況じゃ厳しいと思うので、そこはロホスさんを信用します。それから」


僕はロホスさんに少し顔を近づける。


ある意味これが最も大事。



「僕は1人で盗賊は10人かそれ以上、やりあうなんて普通に考えれば自殺行為です。勿論出来る限りのことはしますが、それでもこれ以上は危険だと少しでも感じた場合は、その時点で救出を諦めて引き返します。ロホスさんと町まで行って軍に訴えましょう」


危険に陥っている人を助けようと無謀なことをして、結果自分が死んでしまいましたなんて、笑い話にもならない。


お金を払ってもらえるとはいえ、それでも出来ないことというのはある。


「それからもうひとつ、手遅れだったりして奥さんと娘さんに万が一のことがあった場合も、申し訳ないけど責任は負えません。ただしどちらの場合も報酬はいりません。それでかまいませんか?」


正直な話、これでも僕にとってはかなり譲歩しているつもりなのだけれど、一般的な冒険者としてはどうなのだろう?




ロホスさんは少しの間黙って考えていたけど、やがて苦渋の表情で首を縦に振った。


ここから領都まで2、3日。


領都まで行って軍に訴えて、訴えが受理されて討伐隊が編成されてここに駆けつけるまで、どれだけ早くても1週間くらいはかかるか。


それだけ時間が経てば奥さんも娘さんも間違いなく無事ではないし、最悪生きてない可能性だってある。


可哀想だと思うし助けてはあげたいけど、だからって命を捨てて特攻してあげるわけにもいかないし。


僕は出来る範囲でやれることをやるしかない。


今の盗賊達が、略奪が成功したと思って浮かれてることを祈ろう。


あとはそこにどれだけつけこめるかがカギになるか。




「それじゃあロホスさん、僕はこれから行動に移りますので、ここに隠れて待っててください。もし商隊か軍隊が通ったら助けを求めてください。手を貸してもらえなさそうだったら、せめて町に着いてからの通報を依頼してください。冒険者風の人の場合は、盗賊の仲間の可能性があるので気をつけて。半日以上経って僕が戻らなかったら、その時は自力で町に向かって軍か警備隊に訴え出てください。何か質問は?無い?それじゃよろしく」


僕は話を終えると、藪の中から出て襲撃場所に向かった。




先程の馬車が事故っている場所に着くと、僕は改めて馬車と周囲の様子を確認する。


盗賊達はまだ荷物の回収には来ていない様だった。


今頃は隠れ家で打ち上げでもしているのだろうか。



辺りを見渡すと、森の中に大人数が乱雑に歩いた後が見つかった。


蹄のものっぽい足跡もあるのでどうやら馬も連れている。


あまり痕跡を隠そうとはしていないみたいだ。


こんな森の中を、わざわざ念入りに確認する通行人などいるわけも無し。


歩いた跡などすぐに消えるとでも思ってるんだろうか。


それともこの仕事を最後に拠点を移すつもりなのか。


どちらにしても敵はどうやら素人のようだ。


野盗のプロってなんだろう。




森に入る前に最後の準備。


武器の状態に問題が無いかを確認し、ボウガンに矢を装填し直す。


服に光を反射する部分や、引っかかりやすい部分が無いかをチェック。


気になる部分は布や紐を結びつけるなどして、反射や引っかかりを極力減らす。


額に汗よけのバンダナを巻きつけ、顔には泥を塗り付ける。


最後にそこら辺から背の高い草を何本か採って、服の隙間に差し込んで準備完了。



このスタイルについては、前世でテレビで見た戦争映画や、猫だった時の狩りの記憶などを参考にしている。


動物の毛皮というのは、あれは天然の迷彩服なのだ。


今の僕は人間の身体でもう毛皮は無いので、工夫でそういった迷彩になるものを作らなければならない。


今はなるべく地味な、森や草の中に紛れられそうな色合いの服を着てるけど、これが片付いて町に行ったらそうした装備品なんかについても考えたいな。




さて、準備が出来たところで行動だ。


僕は森の中に入り、盗賊の追跡を開始した。

お読みいただきありがとうございます。


猫科の動物に関しては、毛皮は体温調節と迷彩と鎧、尻尾はバランス調節、耳と鼻はレーダー、髭はソナー、爪は武器の他に地面を掴むアンカー、肉球は足音消しの消音器と、正に全身が武器のようなものですね。


全ては狩りのため、生き抜くための能力です。



それでは、次回はまた説明回になります。


主人公の能力についての話です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 金貨一枚で四人家族が2、3週間生活出来るほど金貨の価値が高いのなら15枚はボリすぎでは?
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