6. きけん の しょうたい?
よろしくお願いします。
藪をつついてティタノボア!?
そうだ思い出した、さっき聞こえてたあの音、あれはヘビが草むらをかき分けて移動する時の音!
大蛇は驚愕に固まる僕達の目の前で、巨体を思わせない滑らかな動きでするりと道に出てくると、そこでくるくるととぐろを巻いた。
こちらをじっと見つめ、口からしゅるしゅると二股に分かれた舌を出し入れしている。
「なんなのよこいつ、冗談じゃないわよ……」
「こんな大物が、こんな近くに来るまで気配に気づけなかったとは……!」
武器を構えて冷汗を流す皆。
僕もククリを大蛇に向け、相手から目を離さずにガンユさんに尋ねる。
「ガンユさん、こいつの種類とランクはわかりますか?」
「大蛇の魔物は色々いるが……この大きさに、身体の鎖の形の模様。おそらくだがタイタニックアダーだ。だとするならランクは2級」
「2級……ランクは高いだろうなとは思ったけど……!」
以前戦ったシャドウタイガーと同ランク。
そこそこの大きさの町なら、1頭で落とせる力を持つとされる魔物。
なんか僕旅に出てからというもの、やたらと高ランクの魔物と遭遇してない?
シャドウタイガーといいワイバーンといいオークの上位種といいこいつといい。
何か祟られてでもいるのだろうか。
機会があったらお祓いでも受けようかな。
こんな今はどうでもいいことばかりが次々頭に浮かぶのは、やっぱり僕も混乱してるってことなのか。
僕が余計な考えを振り払っている一方で、ガンユさんのランク2級という言葉に、『斬羽ガラス』の人達の顔が更に青ざめる。
「2級って……アタシ達……5級……」
「無理だってこんなの……」
「は、早く逃げなきゃ……」
震え声で後退る女性達。
恐怖のまま逃げ出したりしないのは、背を向けた瞬間に敵は襲いかかって来るということを理解しているからなのか。
それとも単にすくんでいるだけか。
彼女達に合わせて、僕とガンユさんも少しずつ後ろにさがる。
勝負を挑んだところで勝ち目は無いに等しい。
僕が以前同じランク2級のシャドウタイガーに勝てたのは、相手の油断と、元猫である僕がトラの習性や嫌がることをある程度わかっていたから。
でも今回はそうはいかない。
ヘビの習性なら多少は知ってても、何が弱点かとなると僕あんまり知らないぞ?
こいつにとって僕達は単なる獲物。
今はなんとか生き延びる道を探さなくては。
僕達がタイタニックアダーとにらみ合いつつ考えを巡らす中、1人だけ皆とは違う反応をした人がいた。
「な、ならこいつをここで仕留めりゃあ、俺達も一気に2級にアップってわけだ!!」
声を上げたのはキョウさん。
キョウさんが何を思ってその考えに至ったのかは分からない。
よほど自分の腕に自信があったのか、それとも他に何か勝算があったのか。
「いくぜヘビ野郎!!」
とにかく彼は手にした大剣を大上段に構え、彼の言葉に戸惑っていた僕達が止める間もなく雄叫びを上げて、タイタニックアダーめがけて突進して行った。
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ティタノボア・セレジョネンシス
今から約6000万年程前に南米に生息していた、体長12~15m、体重1tにも及ぶ超巨大ヘビです。




