4. やまみち の であい
よろしくお願いします。
「いきなり何なんだこいつら!!」
怒鳴りながら、ガンユさんが飛びかかってきたヴァンプラクーンを剣で斬り捨てる。
「騎獣が止まったのはこれが原因ですかね!?」
叫びながら僕はククリを二刀流に、突っ込んで来るパイルパロットの群れを斬り払う。
僕達は現在、前方から押し寄せてきた大量の小型の魔物の襲撃を受けている。
強力なものはおらず、ホーンラビットやヴァンプラクーン、パイルパロットその他色々と小物のモンスターばかりではあるのだけど、とにかく数が多い。
更に僕達は今森の中にいるので足場も悪いし障害物も多く、多数を相手に剣を振り回すのには不向きな状況。
「道に出るぞ!森の中じゃ分が悪い!!」
「分かりました!!」
ガンユさんの指示に僕は頷いて、襲撃の波が一瞬切れたところを狙い2人で道のある方へダッシュ。
街道に転げ出ると、そこで背中を合わせて襲ってくる魔物達を次々に斬り倒していく。
魔物は全てが僕達に襲いかかってきているわけではなく、こちらを素通りしてそのまま走り去っていくものも多い。
魔物は種類もバラバラで、単なる群れの移動というわけでもなさそう。
これはやっぱり、何かから逃げようとしている?
数が多いのが面倒だけど特に強いものもいないので、油断は出来ないにしてもそこまで危険という程でもない。
少しの間2人で戦っていると、押し寄せていた魔物達は現れた時と同様に突然途切れ、道の後方に向かって走り去って行った。
「やれやれ、いきなりだったな」
軽く息をつき、斬り倒した魔物の毛皮で剣の血汚れを拭いながらガンユさんが呟いた。
魔物はいなくなったけど、なんだろう、先程から感じ始めた首筋の毛が逆立つような嫌な感覚は無くならない。
まだ他に何かがいるってことなんだろうか。
「連中、皆がいる方に向かったんで、ちょっと合図しますね」
僕はマジックバッグから紐を結び付けた木笛を取り出し、振り回して勢いをつけてから上空に向かって思い切り放り投げる。
ひょーう、という音を立てて飛んでいく笛を見ながら、ガンユさんが感心したように口を開いた。
「なるほどなあ。そうやって仲間に合図してんのか。軍隊で太鼓やら銅鑼やら使ってるのは見たことあるが、あれみたいに連絡内容で音を変えて使い分けたりしてんのか?」
「いえ、笛もあれ1種類しかないので、今決めてるのはさっきの『異常あり、警戒しろ』のひとつだけです。それより場所を変えましょう。音を出したから、なんか変なのが寄ってくるといけない」
この笛は、ホウロの町で売られていた子供用の玩具。
ただし森の中での作業中の合図用に使われたりもするそうで、雑貨屋の主人に「こんな使い方をしたいんだけど何かないか」と鳴きついて見繕ってもらった物。
当然僕以外にアリサとユーナも同じ物を持っている。
なんとも漠然とした合図しか決められてないけど、まあ何も無いよりはマシと使うことにしている。
僕達は再び森の中に戻り、周囲を警戒しながら今後の打ち合わせ。
もう少し先に進んで河の跡地辺りまで見に行ってみるか、それとも異常が発生しているのを確認出来たということでここで引き返すか、僕としては出来れば引き返した方が良いのではないか。
そんなことを話し合っていると、ガンユさんが道の方にちらりと視線を向けた。
「どうやら、向こうの方から来たみたいだな」
「そうですね」
そう言いながら僕も道に目をやると、そこには周囲を見回しながらこちらに歩いてくる、冒険者風の人達の姿があった。
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