表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/453

20. ありさ の なやみ

投稿日を1日間違えました。


大変失礼いたしました。



よろしくお願いします。

「私も以前から、ソマリ男爵様に誘いを受けていてな」


「誘いって……え、側室?」


これはさすがにユーナさんも驚いた様子。




ちなみにこの世界では、アト王国を含めたほとんどの国で一夫多妻制を採っている。


理由としては、女性の方が男性よりも生まれてくる割合が多いということと、男性は冒険者を始めとして軍や船乗り・力仕事の労働者などの体力を使う仕事、言い換えれば死にやすい仕事に着くことが多いので、どうしても女性の数に対して男性の数が足りなくなりがちだからということらしい。


この世界にいくつかある宗教でも、特に奥さんが何人もいることは禁止されてない。


せいぜいが「不倫はダメよ」くらいの話。




結婚についての話はまた改めて詳しくするとして、さてそろそろ行くとしようか……もがが。


「側室というか……まあ妾だな」


再び祟り装束に着替えて、ソマリ男爵を噛み殺しに行こうと席を立った僕の首根っこを掴んでソファに押さえつけながら、ユーナさんの問いに答えるアリサさん。


「そうなんだ……で、どうするの?貴族様に見初められたなら、確かに凄いことではあるけど……」


「普通に考えればそうなんだがな……」


「反対です」


アリサさんの手からなんとか脱け出して、即座に食らい付く僕。


「だってソマリ男爵夫人ってめちゃくちゃ気位が高いって話じゃないですか」




そう、ソマリ男爵の妻グロリア・カル・ソマリ夫人は非常にプライドが高く、その苛烈な性格で有名。


夫のソマリ男爵が入り婿で恐妻家であることは前に言ったかもしれないけど、噂によれば夫人に対しては「はい」か「承知しました」か「喜んで」しか発言出来ないなんて話も聞いたことがある。


そんなソマリ男爵にも何人か側室はいるのだけど、その全員が夫人によって親類縁者の中から選ばれた女性らしい。


それがどういうことかというと、男爵が側室とした雑談や愚痴などのちょっとした話、何日の何時から何時まで側室の所にいたか、下手したら夜の営みのプレイ内容まで全部夫人に筒抜けということ。


これではさすがに気の休まる隙が無い。


夫人の目の届かないところで、羽目を外したいという気にもなるのかもしれない。


これまではそういう愛人がどうのという話は聞かなかったけど、今回は夫人から離れたコモテの町でしばらく生活していて気が弛んだとでもいうところか。



とはいえ、出張先で無断で愛人囲ったなんてことが夫人にバレたらどうなるか。


男爵への制裁は当然として、問題はアリサさん。


騎士団クビで手切れ金渡されてどっか行けならまだ良い方。


下手したら騎士の身分も剥奪されて身一つで放り出されるか、場合によっちゃ奴隷落ちとか。


最悪用済みということで消されるなんてことも考えられる。


まさかと思うかもしれないけど、これら全部過去の王室や有力貴族の家で実際にあったことなんだよ。


そして僕としては当然の話、好きなアリサさんにはそんなことになってほしくないし、彼女にはちゃんと自分で選んだ人と一緒になってほしい。




僕がそういったことを2人に訴えると、それでも2人はそろって渋い顔。


「そう言ってくれるのは嬉しいんだがな……」


「相手が男爵様ではね……」


「うう、ですよねえ……」


そう、ああだこうだ言ってはみたけど、結局のところは問題はそれに尽きる。


この国では身分制度があり、平民が貴族に逆らうなど常識的にありえないこと。


僕じゃないけど、たとえ目の前で婚約者を取り上げられても文句なんか言えない。


それが身分の差。


アリサさんは騎士の身分ではあるけど、それでも男爵という地位から見れば、平民とさほど変わらないくらいの差でしかない。


僕の実家は伯爵だから男爵より身分が上ではあるけど、いくら貴族同士だからといっても、他の家や領地のことに口を出す権利は基本無い。


何より我が儘言って家を出て来た僕が、今さら実家に泣きつくなんてことが出来るわけも無い。


早い話が……打つ手無し。



そんなことは僕なんかよりずっとよく分かっていたんだろう、暗い顔になるアリサさんとユーナさん。


どうすれば良いのかなあ。


さすがにこれには僕も良い考えが浮かばない。


前世の猫だった時は、家族の誰かが落ち込んでいたら側に行って、横でそっと寄り添っていたものだった。


猫だった僕には他に出来ることも無かったというのもあるけど、それでもしばらくそうしていたら、皆少しは元気になってくれてた気がする。


でも今の僕にはそんなこと出来るわけも無し。


猫の時は自慢だったふさふさ尻尾ももう無い。


今の僕が女性に顔こすり付けたりしたらただの変態になってしまう。




しばらく無言の状態が続いていた僕達だったけど、やがてアリサさんが顔を上げてパンと手を叩いた。


「とりあえずこの話はここまでにしよう。今ここで暗い顔して悩んでいても、良い考えは浮かばないだろうしな」


ユーナさんも笑顔に戻って頷く。


「そうだね。この件は私達も考えるから、コタロウも何か良い案が浮かんだら教えてよ。それじゃ、嫌な話はおしまい」



その通りだ。


ユーナさんはこんな話をしに来たわけじゃないんだし、今は楽しい話をしよう。


そしてこの件に関しては僕もちょっと考えよう。


どうにもならないかもしれないけど、でもなんとかしてあげられたらいいな。



と、ここで僕は夕食の時間が近づいていることに気付いて、支度のためにここで辞去することにした。


「キミがここの食事を作っているのかい?」と面白そうにしているユーナさんに挨拶をして、僕は部屋を後にしたのだった。



「ところでユーナ、あいつさっき私のことが好きだと言ってなかったか?」


「言っていたね。アリサ、これはちょっと話し合いが必要だと思うんだ」


「おいユーナ?なんだか目つきが怖いぞ」


「……そういうアリサは、なんだか嬉しそうだね?」

お読みいただきありがとうございます。


また評価、ブックマーク、ご感想等いただき誠にありがとうございます。



今回1日遅れたので次回は明後日、3月18日の20時に投稿いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ