エピローグ
よろしくお願いします。
年が開け、新年の賑わいも冷めやらぬグランエクスト帝国帝都ザシオーンの帝城エルドパレスを、突然他国から珍客が訪問した。
訪れたのはドルフ王国第1王子のシエード・アルノル・ドルフ。
訪問の理由は、現在2つの陣営に割れての内乱状態となっているドルフ王国、その陣営同士の仲立ちを要請するものだった。
ドルフ王国はそれまで、先の国王崩御に伴う王位の跡目争いにより国内が混乱し、第1王子派と第2王子派の貴族達がお互いに軍を出動させての睨み合いに発展。
本格的な軍事衝突の開始まで秒読み段階の様相を呈していた。
この要請を受けたグランエクスト帝国政府は、これに応じることを決定。
帝国第2王子であるイライジャ・オルドス・グランエクストを大使とし、シエード王子を擁した使節団として帝国軍の最精鋭たる魔獣騎士1500騎がドルフ王国へと急行した。
その後、ドルフ王国の王都バインスにてシエード王子とベルマ王子の会談が行われ、イライジャ王子を仲介人として、2つの陣営の和睦が成立。
合わせてシエード王子はこれを機として、王位継承権をはじめとした王族としての権限の全てをベルマ王子に譲渡することを宣言する。
また今回の内乱については自分に全ての責があるとして、自身の首と引き換えに陣営参加者の助命をベルマ王子に嘆願。
結果、シエード王子は死は赦されたものの、この後表舞台からは一切の身を引き、ドルフ王国北部のレリーバー山中へ追放刑となった。
この一件を以て、ドルフ王国第2王子であるベルマ・グレイード・ドルフは、自分が次期国王に即位することを布告。
1週間後、王都バインスにて簡略的に即位式が執り行われ、ベルマ・グレイード・ドルフは、ドルフ王国第42代国王となった。
そしてその3日後、ベルマ王は突如として、隣国アト王国への出兵を下令。
バインスの周辺に待機していた5万の軍をもって、アト王国ベリアン領へと侵攻した。
後の世に言う、『祟り戦役』の始まりである。
◇
「では侯爵閣下、手筈通りに」
「うむ、準備は完了しているな?」
「ハ、兵の招集、軍備並びに進軍路の用意等全て整っており、いつでも出られます。ドルフ王国軍が国境を越え次第我らも出陣しそのまま向こうに合流、ルシアン領への道案内を務めます。ベリアン侯爵家を虚仮にしたルシアン伯爵に、我らの恨み思い知らせてくれましょう」
お読みいただきありがとうございます。
また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。




