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メインクーン・ダンス〜異世界しっぽ冒険記〜  作者: オー
デナエクスト家の一族
403/453

64. やかた の そうさく

よろしくお願いします。

長ゼリフがあります。

外仕事にある程度目処をつけた僕達は、続いて館の中の本格的な探索にかかった。


艦隊の建造やそれに伴う兵力の招集、さらにはゴッドワルドが言っていた、貴族の大半が参加するという大規模な反乱計画の詳細について、調べられることは調べておく必要がある。



まずは館の中や敷地内にあった、騎士達の死体を集めて森の中に埋めて簡単な塚を建てる。


騎士達が着ていたマグラナン鋼の装備品は、もったいないので剥がして館の倉庫に収める。


その際に、ディーンさんの了承を得て剣を何本か頂戴している。


アリサは大剣を失ってしまったし、僕もククリを1本残して全部壊されてしまっている。


マグラナン鋼という、リシルド鋼に次ぐとまで言われるレア金属。


上手くすればどこかでこの剣を打ち直しか何かして、僕のククリやアリサの大剣を作ってもらうことは出来ないだろうかと、そういう目論見だ。



続いてはザファーラン先代公爵様の執務室で、残された書類や資料などを片っ端から調べて反乱計画の概要を探る、も……


「なんも無いんですけど……」


そう、無かった。


例の秘匿艦隊建造に関する書類はあった。


主に船の建造にかかる費用についてや、船首に取り付ける戦士像の彫刻を依頼する代金の書類など。


クイイユ市でタダツ親方が言っていた、数年前の大規模な彫刻依頼というのはこのことだった様だ。


しかしそれ以外の書類がまるで無い。


別の場所に集めて待機させているという兵員についてや、1番重要な反乱に加担する帝国内の貴族についての書類というか痕跡が、一切見つからないのである。


棚の後ろの隠し金庫や、執務机の引き出しの二重底まで疑って部屋をひっくり返したのだけれど、それでも見つからない。


グレイシャーシルクの商談取引関係の書類だったら大量に出てきているのだけれど。




「はあ……やっぱり無いねえ。あ、ありがとうございます」


さすがに疲れて一休みしている僕達に、プレセアさんが飲み物を持ってきてくれる。


そんな彼女からグラスを受け取りつつ、ユーナが軽く息を吐いて言った。


「もう全部、捨てたなんてことない?危ない書類なんだし、もう使った端から燃やしちゃったとか」


「いやまさか。反乱の打ち合わせの書類なんて、参加する貴族の弱みそのものだよ。それをまとめて握ってるんだ、捨てるわけがない」


「てことは……もしかしてさ……」


「……やっぱり、ユーナもそう思う……?」



ユーナと僕がこそこそと囁き合っている横では、ディーンさんとアリサが困り顔を見合わせている。


「本当に……何も無いですね。父上は、何を考えていたのか……」


「……少し気になっていたのですがディーンさん。あんな大量の軍船を造ったは良いのですけど、隠し方がやけに杜撰じゃありませんか?」


「杜撰……ですか?」


「造った船を洞窟に隠すというのはまだわかります。ただ、隠し場所への抜け道のようなものを作るならまだしも、艦隊を隠した洞窟へ行く道をこれ見よがしに警備して、夜には火まで焚いて……あんなもの、他所からきた人が見れば一目で怪しいとわかります。大金をかけて艦隊を造っておきながら、それを帝国に隠そうとする様子が見受けられない。それに船だけ造って、船員も水兵も集めている様子が無い。やっぱり、おかしいと思います」



アリサの言葉を黙って聞いていたディーンさんが、そこで顔を上げた。


「そうだ、あそこなら何かあるかもしれません。父の寝室にある、商売や経済関係の本を入れた本棚です。ゴッドワルド達はそういうのに一切興味が無かったので、もしかしたら見られたくない物を隠したりしているかも」


「見てみましょう。日記でもあればしめたものです」


そうして僕達はザファーラン先代の寝室に行き、部屋の隅にあった本棚から本を引っ張り出して皆で調べ出した。

お読みいただきありがとうございます。

また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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