6. しょうきゅう の けってい
よろしくお願いします。
武器屋を出た僕達は、その足で冒険者ギルドを訪ねた。
先日ギルドに、クワンナ市防衛戦での僕達の功績を証明する書類を提出しているので、その結果確認のためである。
3人で冒険者ギルドのカウンターに顔を出すと、書類提出の際に対応してくれた受付嬢さんに話しかけてどうなったかを問い合わせる。
受付嬢さんの名前はスカーレットさんというらしい。
確認すると言って一旦奥に行っていたスカーレットさん、10分程して戻って来ると笑顔で僕達に告げた。
「お待たせしました。ご提出いただきました、皆さんのクワンナ市での功績を当支部でも精査した結果、コタロウさんとアリサさんのお2方につきましては、2級冒険者として申し分無い実績をお持ちという判断となりました。従って、当支部より冒険者ギルド本部へお2方の2級昇格の申請を出させていただきます」
なんと、僕とアリサも2級に上がれると。
2級といえば名実共に1流冒険者の仲間入りだ。
ユーナは2級のまま据え置きだけど、それでも実績としてはしっかりとカウントされているらしい。
とはいえ今の僕達の実力が、はたして2級に相応しいと言えるのかどうか、そこら辺はちょっと悩みどころではある。
ユーナの2級昇格の際は他人事で喜んでいた僕だったけど、こうしていざ自分が2級にということになると、ちょっと気後れするな。
そんなことを考えながらふと隣のユーナに目をやると、「どうだ、あの時の私の気持ちがわかったか」という顔でこちらを見ている彼女と目が合った。
ユーナから目を逸らして、僕はスカーレットさんに尋ねてみる。
「あの、昇級の辞退なんていうのは……」
「辞退……ですか?もう既に手続きを進めていて、本部にも通達を送ってしまっているんですが……」
「でしたら大丈夫です。そのまま進めてください」
僕の言葉に怪訝な顔をするスカーレットさんに、僕の首根っこを掴んで脇に除けたアリサが首を振って続きを促した。
「は……はい。それでは、大体2ヶ月程でギルド本部から結果が返ってくると思いますので、そうしましたらまたご連絡いたします」
「了解しました。では、よろしくお願いします」
僕を放置してアリサがスカーレットさんに返事をし、昇級の話は終了。
他には特に用事は無く、今日は依頼なども受けないつもりだったので、その後何か進展があれば教えてくれるようスカーレットさんにお願いして、僕達はギルドを後にした。
僕達が冒険者ギルドにて昇級の話を受けてから数日。
2級昇格の結果が出るまで2ヶ月程かかるみたいなので、僕達は船旅の休養もかねて、しばらくの間この町に滞在することにしている。
せっかく港町にいるのだからと、僕は連日アリサとユーナと、たまに会うサテルさんに呆れ顔で見られながら、街の屋台や食堂の魚料理を食べ漁る日々。
こうして魚を食べ放題食べていると、この天国のようなイシャーク市を離れるのが嫌になってくる。
う〜ん、やっぱり旅はここで切り上げてこの町で魚を食べて暮らすというのも……
なんて思っていると、考えを読んだユーナとアリサから睨まれた。
そんな魚三昧の僕達に冒険者ギルドから呼び出しがかかったのは、そうした折のことだった。
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