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16. なぞ の しょうげん

よろしくお願いします。

それから僕達はお互いの交流と情報交換も兼ねて、休憩毎に馬車に乗るメンバーを入れ替えながら、街道をブラウン村へと向かった。




2日程進んで、ケウラさんの実家があるリントンの町に着くと、そこで一晩泊まって食料品などの買い入れと情報収集をする。


リントンの町にはケウラさんの実家の商店があるということで、そちらで物資関係の調達については滞り無く済んだ。



そして僕は、皆が休憩している間にケウラさんの実家や商業ギルド、警備隊の屯所などへ行って、ブラウン村の現状について聞き込みをしてみた。


リントンの町には冒険者ギルドは無いので、情報収集となるとこういう所になる。




結果から言うと、特に有用な情報などは得られなかった。


警備隊の屯所で聞けたのは、2ヶ月程前に大勢の冒険者がブラウン村へ向かったということと、1ヶ月程前からブラウン村の住民が、この町に来ることが続いているということ。



ブラウン村の人達は別段一度に大勢で駆け込んで来たわけではなく、5人10人と普段買い出しに来る規模の少人数でリントンに訪れていたことから、警備隊では特に切羽詰まった事態が起きているとは捉えてはいなかった。


彼らはそのまま村には帰らずに、この町にある実家や親類知人の家に滞在している様子。


リントンに入る際、村人から魔物が出たという証言はあったものの、村からの一斉避難という様子でもなし。


またこのリントンに魔物が攻め寄せて来る気配も無し。


というわけで警備隊としては、テアレラの軍に簡単な報告を上げた後は様子見をしているところだとのこと。



魔物が出たという報告はテアレラのギルドでも聞いていたので、住民が避難をするというのは普通に考えられる話。


ただ聞いた限りでは村を挙げての避難ということではなく、村人それぞれが各自で自主避難しているという感じだ。


そこまで脅威的な魔物が出ているというわけではないのだろうか?


なんにせよ、特に目新しい情報というわけでもない。




商業ギルドにて聞くことが出来たのは、ブラウン村はそこまで大きな村というわけでもないし、食料品の買い出し等何か必要があれば村人がリントンに出向いて来ることも多いので、行商が行くのも数ヶ月に1度周期。


そして今現在ブラウン村に行っている人はいないとのこと。


ただ、つい先日隣国のイノン侯国から戻って来たという行商人から、1つ気になる話があった。



その行商人さんは、数日前にイノン侯国での仕事を終えてリントンの町に帰ってきたのだけど、少しでも早く帰りたかったということで正規の街道を通らずに、山の中の猟師道を通ってショートカットをしたのだそう。


ところが不正規の道ということで日測を間違えてしまい、山の中で一晩野宿をすることになった。


その際に護衛として雇っていた冒険者パーティのスカウトの人が、夜中に奇妙なことを言っていたらしい。


曰く「山の向こう辺りで、大勢の人が騒いでいる気配がする」と。


戦いが起きている様子ではない、またお祭りみたいな賑やかな感じでもない、ただ夜更けなのにかなりの数の人が動き回っている、そんな雰囲気があると、そのスカウトの人は言っていた。



ただその時は、行商人さん達の野営している地点へ気配が近付いて来る様子も無く、実際無事に朝を迎えることが出来たので、そのままリントンに帰ってきたとのこと。


ただ今考えてみると、あの野営をした場所から山を越えた所というと、ちょうどブラウン村がある辺りになるんじゃないだろうか、という話だった。



なんなら護衛してもらった冒険者パーティに確認してもらっても良いということだったので、その足で彼らが定宿にしているという宿屋に走ってはみたのだけど、彼らは既に別の依頼でこの町を離れており、話を聞くことは出来なかった。


なんだか話がさらに薄気味悪くなってきた。




また、この町にあるバラーズ商会の支店にも行って冒険者の身分を名乗り、商会の会頭であるアーニング氏の依頼を受けてブラウン村に向かうところである旨を話して、現状について尋ねてはみたのだけれど、当のアーニング氏は現在ブラウン村に行っていて不在。


対応してくれた受付の人は、現在のブラウン村の状況などについては、詳しいことは知らされていないとのことだった。


ただしブラウン村へは今回の遠征計画が始まってから、リントン支部から遠征隊の冒険者達のための大量の食料品や、その他物資を輸送する手筈になっており、支部の人達でその準備を整えてもいた。


ところが先日村にいるアーニング氏から連絡があって、計画は一時中止。


現在物資の輸送もストップとなっている状態なのだという。


受付の人は言葉を濁してはいたけれど、どうやらこの遠征計画は、会頭であるアーニング氏のワンマンで行われているような気配がある。




新たに得られた情報はこんなところだったので、僕は宿に戻って皆にこの話を報告する。


とはいえ如何せん話の内容も漠然としたものであるので、今の時点ではこれ以上何かをすることは実質無理。


後はもう現地へ行って確認するしかないという判断に落ち着いた。




その日は1晩リントンの町に泊まって、翌朝僕達はブラウン村に向けて出発。


特に魔物や盗賊の襲撃に遭うことなども無く順調に道程は進み、3日後の昼過ぎに、目的地であるブラウン村に到着したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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