プロローグ
よろしくお願いします。
拝啓
日増しに秋が深まり、朝晩は肌寒さを感じることも多くなりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
ただいま僕達は中央諸国連合の一国、スカール公国南方のテアレラという町に来ています。
アト王国よりもずっと南にあるスカール公国は、山の中の国だったルフス公国とは違い平地の国で気候も温暖で、山や森の木々なども、北の方では目にしない形の物が多く見受けられます。
温暖な気候の関係でしょうか、市街のお店に並ぶ野菜や果物などもまた、見たことの無い形の物が増えてきています。
またその種類も非常に多彩で、色とりどりのたくさんの野菜や果物が店頭に並んでいる様は、見ているだけでも楽しいものがあります。
また主食についても、南に下るにつれてパンだけではなく、お米の割合が増えてきており、妻達と一緒に珍しがっているところです。
とはいえ季節はもう晩秋であり、朝晩などはやはり冷え込む時もありますので、体調の変化には注意をしながら過ごす日々です。
そちらでは本格的な冬も次第に近くなり、肌寒い日も増えてきていると拝察いたしますが、皆様の御身体の調子はいかがでしょうか。
季節の変わり目となりますので、何卒体調にはお気を付けてお過ごしください。
それではまた、機会がありましたらお手紙いたします。
ルシアン伯爵様のご活躍と、ご家族の皆様のご健康を心よりお祈りいたします。
敬具
追伸1 僕達が先日まで滞在しておりましたルフス公国の公都エレストアにて、政変が勃発いたしました。それまでの政治指導者であったヴィクトリア政務大臣様は国外への脱出に成功しましたが、ルフス公国の方は今後の混乱が予想されます。何卒ご注意の程、よろしくお願いいたします。
追伸2 こちらで入手いたしました珍しい果物を1つ、お送りいたします。ちょっとしたキャベツ程もある大きな果物です。表面がトゲトゲしていて持つと少し痛いのですが、こちらでは『果物の王様』などと呼ばれている価値のある果物なのだそうです。まだ少し若い物をお送りしますので、そちらに着く頃にはおおよそ食べ頃になっているのではないかと拝察します。御賞味ください。
お読みいただきありがとうございます。
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