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16. はじめて の ぎるど

よろしくお願いします。

宿も確保出来たし、それでは僕は次にエメリヒさんに教えてもらった冒険者ギルドへ。


ギルドは宿から20分程歩いた所にある、2階建てのけっこう大きな建物だ。




中に入るとまず正面に広いホールがあって、奥に大きな受付のカウンター。


壁にはたくさんの依頼状が貼り付けられた掲示板。


ホールにはいくつもの椅子とテーブルが並べられてて、これは冒険者が集まって作るチーム、いわゆるパーティの打ち合わせなどに使う。


実際今でも、数組の冒険者パーティが座って話をしている。


ホールの一角には売店もあって、冒険に役立つちょっとした小物や、お茶やお酒などの飲み物、軽食などを販売している。


今は昼を少し回った時間なのでわりかし空いているけど、これが朝は依頼の受注、夕方は依頼の完了報告で受付の前には行列が出来るのだそう。




早速カウンターの前に行くと、僕が言うより早く受付の女の人が笑顔で話しかけてきた。


「こんにちは!依頼の完了報告ですか?それとも新規の受注で?」


「いえ、冒険者登録したいんです」


「新規登録ですね。それではこちらの用紙に記入をお願いします。代筆は必要ですか?」


「いえ、大丈夫です」


僕は受け取った用紙にペンを走らせる。


記入の内容は名前・年齢・得意とする武器や戦い方など。


出身地や家族などを書く欄もあるけど、これは書いても良いし書かなくても良い。


地元出身で、今後もずっとその地で活動する予定だったら書いたりもするらしいけど、僕はこの町に留まるつもりは無いから特に書く必要もないだろう。




書き終えた用紙を受付嬢さんに渡すと彼女は一読して、


「コタロウさんですね。使用武器は剣で、魔法は生活魔法のみ、と。軽戦士ということでよろしいですか?」


「戦い方的には、シーフとかスカウトの方が近いと思います」


「前衛よりも支援向きということでしょうか。わかりました、それではこれからギルド証を発行しますので少々お時間をいただきます。もしよろしければお待ちの間、冒険者ギルドについてご説明いたしましょうか?」


僕も多少知ってはいるけど、これはもちろん聞いておくべきこと。


「お願いします」




受付嬢さんの説明を聞いている内に、5分程でギルド証が出来てきたので受け取る。


それ自体は単純な物で、手の平サイズのカードに僕の名前と冒険者であることの証明と、現在のランクが書いてあるという物。


僕は新規登録なので1番下の7級。


月1回のランクアップ試験はつい先日行われたばかりなので、次回の試験は1ヶ月後になるとのこと。


これはまあいいや、別にランクアップを急いでるわけでもないし。




一通り説明も聞いて、無事冒険者登録も出来たので早速依頼を受けることにする。


とはいえ、7級で受けられる依頼は町のごく近くでの薬草採集くらい。


傷薬やポーションの材料になる薬草や、魔導具の動力になる魔石の採集依頼は常に出されていて、これは常時依頼とも呼ばれている。


1番簡単な物で期限は受注から3日間。


依頼受注の方法は、壁に貼ってある依頼状を剥がして、受付に持って行って手続きをしてもらうことで受注完了。


ただし薬草採集など常に依頼が出されている常時依頼に限っては、依頼状に書かれている番号を受付に言えばそれで受注となる。



とりあえずは、別々の種類の薬草の採集依頼を3件受けてみることにした。


ただ今からだと半端な時間になるので採集は明日から行くことにして、今日は採りに行く薬草がどんな物なのかを確認することにする。



受付で薬草の図鑑か何かあれば見せてほしいと頼んだら、受付嬢さんに驚かれた。


何故に?


「いえ、大抵の人は簡単な特徴だけ聞いてすぐに採りに行ってしまうもので、図鑑が見たいと言われるのは珍しいので」


「あ、そういうことですか……大丈夫なんですかそれ?」


「最初はやっぱり皆さんよく間違われますね。パーティを組んで薬草に詳しいメンバーに教えてもらったり、先輩の方に教えてもらったりしながら覚えていく人が多いです。はい、これ図鑑です。貸出しは無料ですけど持ち出しは禁止なので気をつけて下さいね」


「書き写すのはいいですか?」


「それなら大丈夫です。紙と筆はお持ちですか?」


「手帳があるので大丈夫です。ありがとう」




僕は図鑑を受け取って、ホールのテーブルに座ってコピー作業を始めた。


せっかくなので、依頼の物ではない他の薬草の情報も書き留めておくことにする。


初心者の採集向けの薬草でも、根っこまで必要とか逆に根っこは取ってはいけないとか、採る際に刃物で切ってはいけないとか、色々注意することが多くてややこしい。


そうしなきゃ薬にならないってんだから仕方ないけど。



ついでなので、図鑑に一緒に載ってた毒草の情報も手帳に書き写していく。


ちょっとやりたいことがあるので、余裕があったらこっちも集めよう。


そういえば前世でも外に出たらよく草を噛ってたな。


思い返すとあの食感が懐かしい。


久しぶりにあの草探してみようかな。


いやいや、今の僕は人間なんだからそこは野菜を食べようよ。




あらかた写し終えてふと気がつくと、もういい時間になっていたので今日は切り上げることにした。


受付に図鑑を返してギルドの外に出る。


時刻はもうそろそろ夕方に差し掛かろうというところだけど、まだ日の色は赤くはなっていない。



ちょっとお腹も空いたな。


そういえば、町に着いてから宿探すのを優先して、昼ご飯を後回しにしてたんだったな。


宿の夕食の時間にはまだ早いし、屋台で何か買って食べようか。


市場の方にでも行ってみれば、多分何かしら食べ物があるだろう。


……っと、そういえばもうひとつ寄りたい所があったんだ。


えーと、エメリヒさんに教えてもらった武器屋はどこだったかな?

お読みいただきありがとうございます。


また、評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 元ニャンコ頑張れ! 更新ありがとうございます^_^
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