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4. ろじうら の ひめい

よろしくお願いします。

「……っ!!」



人混みが切れて、3人でほっと一息吐いた時、僕の耳にその声はかすかに飛び込んできた。


子供の悲鳴のように聞こえたその声にふと顔を上げた僕を見て、アリサとユーナが怪訝な表情を浮かべる。


「コタ、どうかした?」


「いや、今何か……」




声の出所を探して辺りを見回すと、すぐ側の家と家の間に狭くて、奥まで続く細い通路があった。


裏通りにでも通じているのだろうか。


声がしたとするならおそらくはここだろう。


僕はユーナとアリサに今の声のことを伝える。


「ユーナ、アリサ、多分ここからだと思うんだけど、今叫び声みたいなのが聞こえたんだ。何かあるといけないから、ちょっと見に行ってみても良いかな?」


「え?うん、良いけど……」


「叫び声か?あまり気持ちの良い話じゃないな」



2人の了承も得られたということで、僕達は薄暗い通路へと踏み込んだ。


いつでも武器を抜けるように構えて、通路の先を警戒しながら進む。


少し行くと、前方から「このガキ……!」「大人しく……!」なんていう複数の男の声が聞こえてきた。


どうやらこの先で子供が絡む事件が起きている。


聞こえてくる言葉から察するに誘拐の可能性あり。


僕は後ろから来ているアリサとユーナに小声で「この先で子供が襲われてる」と伝え、音を立てないようにして足を速めた。




通路をさらに少し進むと、その先には建物と建物の間に挟まれて、ちょっとした空き地のようになっている空間があった。


そしてそこにいたのは、おそらくは10代後半〜20代前半の男が3人。


そしてその男達に取り押さえられ、その腕から逃れようともがく5、6歳くらいの男の子だった。



薄暗い中ではあるのだけど、見た感じ男の子はかなり身なりが良い。


どこか身分の高い家か、お金持ちの家の子だろうか。


そして反対に男達の身なりは野卑、というかはっきり言ってチンピラそのもの。


そして彼らが男の子に吐いている乱暴な言葉からして、明らかに家人が家出したわんぱく坊主を連れ戻そうとしている場面ではない。


これは、犯罪の現場で確定だ。



僕はアリサとユーナと、顔を見合わせて頷き合う。


そしてアリサが男達に向け、思い切り怒声を放った。


「お前達何をしている!!」



彼女の軍隊で鍛えられた大声が路地裏に響き渡る。


その声に驚いてこちらを見る男達。


その内の1人がねじ伏せていた男の子を掴み上げ、その顔にナイフを突き付けた。


「近づくんじゃねえ!このガキ「目をつぶって!!」」


男に最後まで言わせず、僕はマジックバッグから黄色のラインが入ったボトルを取り出し着火、石畳の地面に叩きつけた。


ボトルの中身は少量の油と火属性の魔石の粉末、そして砕いた光属性の魔石。


油に着いた火が火の魔石に回り、活性化した火の魔力が光の魔石に流れ込み光の魔力が暴走。


ボトルを叩きつけた地面から凄まじい光の奔流が溢れ出し、薄暗い路地裏を真っ白に染め上げた。



固く目をつぶっていてもまだ眩しい。


そんな光を間近で見てしまった男達。


目を押さえ、悲鳴を上げて男の子を放り出す。


目を閉じ、顔を背けて光を避けたアリサがその隙を狙い男達に突進、たちまちのうちに3人全員を殴り倒してしまった。



投げ出された男の子にはユーナが駆け寄……ろうとしたその時、僕の猫聴覚が捉えた上から迫る風切り音。


「避けて!!」


僕の声に咄嗟に飛び退いたユーナのいた場所を、一瞬遅れて頭上から降ってきた斬撃の刃が掠めていく。


飛び下りてきたのは顔を覆面で隠し、短剣を構えた細身の、おそらくは男。



「ヒャハア!」


「!!」


次の瞬間、覆面の男は奇声を発しながら襲いかかってきた。

お読みいただきありがとうございます。

また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。


コタロウのボトルキープシリーズ

No.6:黄色ボトル

閃光弾。黄色い塗料でラインの入ったボトル。中身は少量の油と、極少量の火の魔石の粉末、そして砕いた光の魔石。強烈な閃光が発生。一方で殺傷力は無し。

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