2. ほうしゅう の わけまえ
よろしくお願いします。
「まあドルフ王国とクロウ共和国は間に中央諸国連合を挟んでいるので、たとえ何か事件になってもすぐにどうこうというのは無いと思うんですが。ただ、これからドルフ王国に向かうという方には、念のため注意を呼びかけるようにしているんです」
「なるほど」
中央諸国連合というのは、ここクロウ共和国の西隣にある小国群。
4つの小さな国が、ドルフ王国やグランエクスト帝国からの侵略に対抗するという名目で軍事的な同盟を結んでいる。
「そんなわけで、皆さんは今後ドルフ王国に行かれる予定は無いですよね?」
「そっち方面に向かう予定は無いんですが、僕達、お願いしてある装備品が出来上がったらここを発とうと思ってて……」
「あぁ〜そういえば、そんなこと言われてましたね」
そう、僕達はいずれはここドーヴ市を出立して、南のグランエクスト帝国へと向かう予定。
現在ギルドに頼んである、ブラッドレクスとタイタニックアダーの素材の装備品が出来たら、数日慣らしをしてその後出発ということになるだろう。
僕達は残念がるソランさんをなだめつつ、先日の盗賊討伐依頼の完了証明書を提出して報酬をもらう。
ドーヴ市の西にある、ヤッヒルという村を襲撃した盗賊の討伐依頼で、ここクロウ共和国の政府要人の娘さんであるリリナお嬢さんの収容と盗賊の討伐と合わせて、僕達1人につき大金貨2枚、全部で大金貨6枚。
報酬を受け取った後に、僕達は受け取り証にサインして、報酬の入った袋を受け取った。
また大金が入ってきたな。
今日は特に依頼を受ける予定もないので、僕達はソランさんの「この度はお疲れ様でした」という声に送られて受付を後にする。
さて、それじゃあ報酬が入ってきたということで
「それじゃお金はどうしようか。もう単純に6等分とかにする?」
僕はギルドのホールのテーブルに座って僕達を待っていた『斬羽ガラス』に声をかけた。
今回の依頼の報酬と討伐した盗賊の賞金、加えて連れて帰ってきた戦利品の馬を売ったお金。
全額合わせれば相当な額だ。
僕の提案を聞いて、途端に慌て出すケイ達3人。
「へ?い、いやいやもらえないって!勉強させてもらうってことで無理に連れて行ってもらっただけなんだからさ!」
そう言ってケイは首を横に振るけど、かと言って彼女達も仕事はしたわけだし、報酬無しというわけにはいかないだろう。
ちなみにケイ達にも報酬を払うことについては、アリサとユーナも了承済みだ。
「勉強のためではあってもさ、ヤッヒルで情報集めもやってくれたし、見張りもしてくれたし、盗賊ともしっかり戦ったんだし」
「で……でも、私達は5級だから、本当なら盗賊討伐の依頼なんて受けられないんだよ?それなのにお金をもらうなんて……」
「現地でしっかりと働いたのは事実だろう。実際に盗賊の何人かも倒しているじゃないか。そこまでやっているのだから、その分の報酬を受け取る権利は当然あるぞ」
「働いたとはいっても、少しだけ皆さんのお手伝いをさせていただいた程度ですし、本当ならこちらが授業料をお支払いしなければならない立場なんですから……」
「補助だって立派な仕事だよ?キミ達の手伝いで私達もちゃんと助かってるんだから、タダ働きというわけにはいかないよ」
「それでも、最初に報酬は要らないって言ったんだから……!」
「たとえそうでも、仕事はちゃんとしたわけだから……!」
「ううううう」
「ゴロゴロゴロ(喉を鳴らす音)」
とまあそんな押し問答の末、結局彼女達には馬を売ったお金の中から、大金貨を1人につき1枚、計3枚を払うということで話が着いた。
僕がケイ達に大金貨3枚を差し出すと、3人は緊張した面持ちで1人1枚ずつ受け取る。
「この間からいただいてばかりで、申し訳ない限りです」
「アタシらも、早く自力でこれぐらい稼げるように頑張るよ」
「本当に今回は……いや、今回もだけど、お世話になりました。勉強になりました」
そろって頭を下げる3人。
彼女達はこの後、お金が入ったということで皆で装備品の調整に行くらしい。
そんな彼女達に別れを告げて、僕達もまた街へと繰り出すのだった。
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