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11. じょうけん の かくにん

よろしくお願いします。

「あの、報酬については……?」


「まず前金として1人につき金貨1枚、娘を連れ帰ってくれれば成功報酬として1人につき大金貨を1枚だ。討伐までこなしてくれれば、加えてもう1枚支払おう」


大金貨が追加で出た。


これは大きいな。


とはいえ危険さを考えると……



ここは一旦持ち帰って検討の上で後日返事を、というのも難しそうなので「少し相談させてください」と言い置いて、3人で部屋の隅で円陣を組んで額を付き合わせる。


「どうしよう?」


「助けては……やりたいな。盗賊共にしても放置するわけにはいかん」


「問題は盗賊の規模だよね。5人10人では絶対ないし……。救出はともかく殲滅は厳しいよ。何とかしてはあげたいけど」


「数が多ければ守りも固いだろうし、下手をすれば救出も難しいだろうからな」


「それなんだけど、やりようによっては多少数がいてもやれなくはないかなあと……」


「また何か変なこと思い付いたわけ?」


「ほらあの、こないだ作った新作の……」


「新作って……もしかして、街道を大騒ぎにして、警備隊からこっぴどく叱られたあれ!?」

 

「ま、まあどうしても難しければ、偵察だけに留めるというのもありだろうが……」


「じゃあ、それでいってみようか。最低限盗賊の拠点の特定と、潜入が可能であれば拐われた人達の収容、さらに可能であれば盗賊の殲滅と」


首肯した2人ともう2、3話を詰めて、僕達は席に戻った。



「お待たせして申し訳ありません。まずはこの依頼の件、お引き受けさせていただこうと思います」


僕の返答に、頷くレンダイ先生とほっとした表情を浮かべるロウダイさん。


そこに「ただし」と僕が話を続ける。


「まずはこの盗賊ですが、戦力的に僕達の手に余る可能性があります。なのでこれ以上は危険と判断した場合は、申し訳ないのですがその時点で依頼遂行を中止して撤退します。その場合について、前金の返却等責任は問わないでいただきたく願います。ただ、敵の情報は可能な限り集めますし、最善を尽くすことはお約束します」


僕の言葉に先程の表情から一転、複雑な顔になる2人。


でもレンダイ先生が「わかった、それでかまわん」と頷いたことで了解を得られた。



「次に、冒険者ギルドからは依頼内容についての報告を求められているのですが、どの程度まででしたら伝えても大丈夫でしょうか?」


「ギルドへの報告であれば、そのまま伝えてくれてかまわない。ただ、くれぐれも秘密厳守を求めるということも合わせて伝えてもらいたい」


「それから、先程も申し上げましたが僕達3人だけでは手が足りない可能性が高いので、知人の冒険者パーティに補助をお願いしようと思っています。ランクはまだ5級ですが、女性のみの3人パーティで信頼出来る人達です。かまわないでしょうか?」


『斬羽ガラス』のケイ達3人のことである。


連れて行くかどうかの判断はこれからになるけど、一応確認は取っておく。



この申し出にもレンダイ先生とロウダイさんは了承。


ただし他言無用ということについては再度念を押される。


『斬羽ガラス』の彼女達への報酬については必要経費扱いということで、僕達がもらう中から出すということで話が決まった。


ただ働き次第では、僕達とは別に報酬を出すことも検討してくれるらしい。



「こちらからも1つ条件を出したい。盗賊を討伐した際、証拠として首か、それに準ずる物を持ってこれるかね?もし可能であれば生け捕りなどを」


「わかりました。判別が可能な物があれば、お持ちします」


僕がそう答えると、レンダイ先生は皮肉げに笑う。


「判別が可能であれば、か。野盗共を粉微塵にでもしてくれるということかね」


「粉微塵はさすがに無理と考えますが、火をかけて丸焦げにというのは想定しています」


「……なるほど」


僕の回答に軽く言葉に詰まった後、ひきつった顔で頷くレンダイ先生。


証拠品以外で討伐の際に何か入手した物があれば、それは僕達が引き取ってかまわないとのこと。



あと確認しておくことは何かあるかな。


ああ、そうだ。


「差し支えなければで結構なのですが、先程の騒動がどういうものだったのか教えていただいてもよろしいでしょうか?」


僕が尋ねると、レンダイ先生とロウダイさんは表情を険しくした。


「それは……興味での質問かね?」


先生の固い声での問いに、僕は首を横に振る。


「先程僕に聞こえてきた話では、どうもお嬢様が拐われた時の状況についてのお話の様でしたので、当時のことや盗賊について何かしら少しでも情報が得られればと思った次第です。もちろん他言はいたしませんし、問題があるようでしたらお話いただかなくてもかまいません」


僕の言葉に、レンダイ先生とロウダイさんは顔を見合せて少しの間迷っていたけれど、やがて先生がひとつ頷いて、ロウダイさんが語り始めた。

お読みいただきありがとうございます。

また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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