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1. しゅうきょう に ついて

よろしくお願いします。

のっけからで申し訳無い限りなのですが、説明回になります。

人々が生活していく中で、決して切り離すことの出来ない要素『宗教』


今回僕達が遭遇した事件は、その宗教が少々関わってくるものになった。




この世界で最も大きな力を持つ宗教といえば、まずはノルト教。


この世に神は大勢いるけど、我々人間にとって最も重要なのは光であり、人は光の女神『ボウロア』こそを奉ずるべき、という考えの宗教。


簡単に言えば「人はボウロア神だけ拝めば良い。他の神はおまけ」という教え。


この大陸の西方にラネット神聖皇国という宗教国家を樹立し、また他の多くの国々にも国教と定められて、大陸全体に大きな影響を及ぼしている。


この大陸に住む人の半数以上が信仰しているといわれていて、僕の実家のあるアト王国もこのノルト教が国教だ。



こういう考えの宗教となると、崇める神様はその宗教の神様ただ一柱だけということで他の宗教とは折り合いが悪くなりがちなものだけれど、そこら辺は国ごとに調整している形になっている。


基本国内での他の宗教の信仰は認めないという国や、信仰してもいいけどその分税金多めに納めてねという国や、特に制限などは定めていないという国など様々。


また神は一柱でも、その教義をどう解釈するかの違いなどでけっこう派閥のようなものもあって、それらでいがみ合ったり喧嘩したりというのもあったりする。




ノルト教に次ぐ勢力を持つのがブレン教。


「光の女神ボウロアの他に、創世神エスクや様々な役割を持つ大勢の神々がいるのだから、どれでもその時その時で自分に都合の良い神様を拝めばいいじゃない」という考えの宗教で、大陸の東方を中心に大きな勢力を持つ。


こちらはその時その時とは言っても、例えば鍛冶屋だったら火の神鉄の神そして鍛冶の神、軍人だったら戦いの神、船乗りだったら海の神や水の神、呑兵衛だったら酒の神など、人によって主に拝む神様というのは分かれてくる。


どの神様をメインに信仰するかで教義がかなり変わったりするらしいので、ノルト教とはまた別の形で派閥が大量にあるのだそうな。


とはいえあくまでも大本はブレン教という意識があるのか、なんだかんだで折り合いを付けてそれぞれ付き合っているらしい。



以上がこの大陸での2大宗教だ。


ぶっちゃけ信仰している神様は一緒なのだけれど、光の女神ボウロア神を唯一絶対として見るか、あくまで大勢いる神様の1柱として見るかの違いになる。




そして他にもちょっとした国単位や地域単位で、色々小規模な宗教がたくさんある。


時期によってはそういった宗教同士が激しく対立して殺伐とした時代もあった様だけど、現在は特に国レベルで他の宗教に難癖吹っ掛けて戦争しかけるなんてことは起きていない。


ラネット神聖皇国についても、一応ノルト教以外は認めないという姿勢を取りつつ、他の宗教については黙認という状態。



こんな感じで、他の宗教については特に気にしない姿勢とはいっても、別にノルト教やこの世界の人達が寛容というわけではない。


昔からさんざっぱら宗教戦争を繰り返してきてその結果もういい加減やってられるかという話になり、現在は小康状態に落ち着いているというのが正確なところ。


とはいえ今でも「○○神の、我々が信じる教え以外は絶対に認めない許さない!」なんて人はいるし、たまに街頭で演説などしてるのを見かけたりもする。


他にもたくさんの宗教が歴史の中で生まれて、そして消えていった。


元は一部地域の土着宗教だったのが一気に勢力を拡大して国単位にまで大きくなったものや、逆に国などから激しい弾圧を受けて歴史から姿を消していった宗教もある。



まあそれは、前世の日本でも同じような感じだったんじゃないだろうか。


日本での個々の宗教については僕は詳しくは知らないのだけど、お寺や神社に行ったりお墓参りしたり、きれいに飾った木を置いてケーキを食べたり仮装してお祭り騒ぎしたりと、けっこう色々なことをやっていたのは覚えている。


テレビのニュースで見た話によれば、何でも色々な宗教の行事などを取り込んでいったら、いつの間にか記念日化したりお祭り化したりしていたものなんだそうで。


前世の猫気質もあって特に真面目に神様を信仰しているとはいえない罰当たりな僕だけど、それでも宗教なんてのはあれぐらいのスタンスが一番良いんじゃないかななんて思っていたりする。


おめでたい日や楽しい日というのは、たくさんあった方が良いに決まっているのだから。

お読みいただきありがとうございます。

また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。



本作に登場する宗教につきましては全て架空のものであり、実在の宗教とは一切の関係が無く、またモデルなども無いことをご報告いたします。


一方で、本章に登場するとある人物の言動につきましては、ホラー・推理小説の大家であらせられます、故・吉村達也大先生の著作より、一部参考をいただいております。

この場をお借りしまして、天国の吉村先生に御礼申し上げます。

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