プロローグ
よろしくお願いします。
拝啓
いくぶん残暑も和らぎ、しのぎ良い日が多くなりました。
夏のお疲れなどは出ていらっしゃいませんでしょうか。
お伺い申し上げます。
僕達は現在も、クロウ共和国の首都ドーヴ市に滞在しています。
暇がある時などは町の様子を見物したりしているのですが、通り沿いに建ち並ぶお店の多さ、そして店頭に並ぶ商品の種類の豊富さなどは目を見張るばかりです。
山間部の都市ということもあってか野菜や果物を扱うお店がとても多く、祖国では見たことが無いようなものも度々目にすることがあり見飽きるということがありません。
一方で魚などについてはやはり流通が少なく、特に海産物となるとどうしても干物や乾物が中心になってしまう様です。
今のところかつぶしを発見出来てはいませんが、根気よく探していきたいと考えています。
他にはマジックバッグか何かで輸送するのでしょうか、「海鮮魚あり」という看板を見かけることもありますが、値段を訊くと非常に高額なものとなっており、とてもではないですが手が出せそうにないのが残念なところです。
話は変わりまして先日、クロウ共和国国防軍の方と共に行動する機会があったのですが、貴族や平民という身分の区別が無いこの国での軍隊の形について教えていただきました。
どのように上下関係が定まるのかと思ったのですが、なんでも任務での功績の他、定期的に試験や武術大会のようなものが開催されて、その成績と本人の希望などで階級が決まるのだそうです。
実力ある者が認められるのは素晴らしいことですが、一方で封建制に見られるような、主家に対する強固な忠誠心のようなものは育ちにくいのではないかという印象を受けました。
文が長くなってまいりましたので、ここで一度、筆を置かせていただきたいと思います。
皆様のますますのご健勝を、心よりお祈りいたしております。
敬具
追伸1 先日クロウ共和国軍と同行した際に、兵士用の携帯食料を分けていただいたのでお送りします。
ある程度の日数保存が利き、調理不要ですぐに口に入れられる、満腹感もそれなりにあるという画期的なものですので、何かの参考にでもなればと愚考する次第です。
ちなみに同梱されているクッキーなのですが「非常に不味いがよく燃える」が特徴なのだそうで、兵士の人達が燃やしてお茶などを沸かしている光景をよく目にしました。
お試しください。
追伸2 ゴブリンがいっぱい。
お読みいただきありがとうございます。
また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。
軍人の忠誠心のくだりですが、あくまでもこの世界で貴族に生まれて、封建制の方に慣れ親しんでいるコタロウの感覚ということで、ご了承ください。
現在の自衛隊や、外国の志願制や徴兵制(調べましたら意外とたくさんありました)の軍隊でも、国を守るために一生懸命頑張っている人達は大勢います。
本章では少々、後味の悪い展開を予定しております。
出来るだけ緩めるつもりではありますが、苦手な方はご注意ください。
小説初投稿ということで色々と挑戦してみたいと思っておりますので、出来ましたらお付き合いいただけると幸いです。
今度のコタロウは、助けてくれない。




