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20. ぐん の ふくたいちょう

よろしくお願いします。

アリサから村人にドーヴで討伐隊の準備が進められていることが伝えられ、少し気が軽くなった風の彼らとまた出発。


しばらく歩いたところで町の城壁が見え、村人達から安堵の声が上がる。


さらに少し町に近づくと、僕達に気づいた衛兵さんが数人こちらに走って来るのが見えた。



衛兵さん達は近くまで来ると、前に出た僕達にそれぞれ敬礼をして、内の1人が代表で話しかけてきた。


「避難の者達だな?話は聞いている。ゴブリンが大量発生したそうだな。軍の施設の一部を避難所として解放しているので、後は我々がそちらに誘導する。お前達はここまででいいから、この後は冒険者ギルドに行って、そこで指示を仰いでくれ」


僕とアリサとユーナの3人でわかりましたと頷くと、衛兵さん達は僕達に対して姿勢を正した。


「あわただしくてすまなかったが、緊急の事態をいち早く発見してくれたこと、こうして村人達を無事にここまで連れてきてくれたこと、警備隊一同心から感謝する」


そう言って、そろって僕達に再度敬礼をする衛兵さん達。


そんな彼らに後のことをお願いして、最後にアリサが村人達に声をかけた。


「皆ここまでご苦労だった!後はこの衛兵の人達が指示してくれる!この先色々と不安もあるとは思うが、今は町でゆっくり休んで村に戻れる日を待っていてくれ!」


アリサの言葉に村長さんをはじめとして、村人の何人かが深く頭を下げてきた。


彼らが出来るだけ早く自宅に帰れるように、僕達も頑張ろう。




僕達はそんな彼らに手を振って、後を衛兵さん達に任せて冒険者ギルドに向かう。


ドーヴの町に入り、急いでギルドへ向かい建物の中に入ると、そこではちょうど奥からキサイギルドマスターと、男性が1人出て来るところだった。


男性は大柄な体格で年は30歳くらい、短く刈った銀髪に髭を生やした軍人風の人。


受付のカウンターに近付くと2人はこちらに気づいて、2言3言交わしてから僕達に声をかけてきた。



「ご苦労様。無事戻ってくれて何よりね。疲れてるところ悪いけど、まずは少し話を聞かせてもらえるかしら?それからこちらは……」


ギルドマスターの言葉を受けて、隣にいた男性が進み出る。


「私はクロウ共和国国防軍のコーガ・エーベルという。今回のゴブリン討伐隊の副隊長を拝命することになった。話は聞かせてもらったが、いち早いゴブリンの群れの発見と通報に感謝する。それから、付近の村の住民の避難誘導もやってくれたと聞いたが、ご苦労だった」


「はじめまして、3級冒険者のコタロウと申します。村の住民123名、先程無事にドーヴに到着しました。東門の警備隊の方にお願いしたので、よろしくお願いいたします。それから軍から避難所を提供してくださるそうで、こちらからもお礼申し上げます」



僕に続いて「アリサです」「ユーナです」と自己紹介をして、3人そろって頭を下げる。


それに頷くコーガ副隊長。


「何、国民を守る軍として当然のことだ。君達こそ、異常事態の通報や避難を促してくれる冒険者はいても、住民の避難誘導までしてくれる冒険者というのはそうはいない。おかげで助かったぞ」


「良ければ軍に入らんか?」と冗談めかして尋ねてくる副隊長に「すみません、この仕事が性に合っているようで」と返していると、ギルドマスターが横から話しかけてきた。


「それで現在は、軍と冒険者ギルドが協力して討伐隊の準備に当たっているところです。アークさんからも報告は受けたのだけれど、ゴブリンの戦力などについてあなた達からも詳しい話を聞かせてちょうだい」



ギルドマスターからの要請にアリサは「アークさんとほぼ同じ内容と思いますが」と前置きした上で、僕が出した地図を示しながら報告を始める。


彼女は軍務の経験があるので、一番こういう報告などには慣れているのだ。


「ドーヴから東に向かう街道の途中、道から逸れて少し山の中に入った先にある廃村跡で、ゴブリンの大規模な群れを発見しました。数は廃村跡で確認出来た限りでは大体500超。ただし偵察や食料の調達に出ているものもいるはずなので、それらも合わせて600から700、最大で1000前後程いるのではないかと見込んでいます」


「やはりそれぐらいはいるんだな」


副隊長の呟きに、アリサは軽く頷いて報告を続ける。


「廃村跡にいたゴブリン達は、大半が武装しているのを確認しています。それから我々は10匹程の偵察と交戦しましたが、率いているのはホブゴブリンでした。偵察にホブを配置しているということは、本隊にはおそらく相当数の上位種がいると思われます。ナイトにアーチャーにメイジ、群れの規模からして率いているのはおそらくジェネラル。場合によってはキングがいる可能性も」


「こちらも手練れを用意する必要があるか。それは私から軍に報告する」



「あと他には何か?」という副隊長とギルドマスターに、手を上げたのはユーナ。


「私達が戦った偵察なんですけど、鹿を狩って食べているところでした。群れからそう離れていない場所に獣がいたってことは、ゴブリンは多分あそこに住み着いてからまだ間もないんじゃないかって思います」


ユーナの言葉に、ギルドマスターが探る様な視線を向けてきた。


「スタンピード……だと思う?」

お読みいただきありがとうございます。


また評価、ブックマーク等いただき誠にありがとうございます。

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