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才能

作者: Sato

「三上さん、陸上部入らない?」

「中学生のときすごかったんでしょ?」

「絶対インターハイ優勝目指せるよ!」

私が教室を出た途端、右隣にいる三上星菜に部活勧誘が押し寄せる。

「すみません、大丈夫です」

「あ、待ってよ星菜!」

先輩の山をくぐり抜けてさっさと歩いていく星菜を、私と左隣にいた谷口鈴花が追いかける。

「またダメか…」

先輩たちは肩を落とし、私と鈴花には一切声をかけずに去っていった。


「しかしまぁ、星菜はすごいよねぇ」

先輩から逃れ、校門を出たところで鈴花が賞賛とも嫉妬ともつかない顔で言う。

「そりゃね、陸上やってる人で星菜知らない人いないでしょ」

「大げさだよ」

私の言葉に笑って返す三上星菜は、スポーツの天才である。どんな運動でも軽々とこなしてしまう。中学生のとき3人で入っていた陸上部でも星菜は才能を発揮し、3年のとき大学生も参加する全国大会の決勝まで進み、6位という結果を残した。中学生で決勝へ行ったのは史上初だったらしく、かなり話題になった。

「ていうかさぁ、本当にこの高校でよかったの?強豪からも勧誘きてたんでしょ?」鈴花がポニーテールの先をいじりながら聞く。

「いいの。私はここに行きたかったんだから」

そう言って星菜は校門を振り返る。

桜岡高校。私たちが住んでいる地域で1番近い公立高校だ。中学時代に素晴らしい結果を残した星菜は私立の強豪校からかなり勧誘が来ていたらしいが、全て断って私たちと同じ高校に来たのだった。

「それに強豪校なんかに行ったら陸上しかできなくなるでしょ。私いろんなスポーツに挑戦したいの」

「それにしてもさ、星菜の頭ならもっと良いとこ行けたでしょ」

少し不満そうに言う鈴花の言う通り、星菜は頭も良い。神は星菜に何物与えたのか。「私は高校も鈴花と優里と通いたかったのよ」

「それは嬉しいけど…」

なぜかまだ不満そうにしていた鈴花は、今度は私に目を向けた。

「優里は?陸上続けるの?」

星菜も私に顔を向ける。

「ううん、私も陸上はもういいかな」

風を切って走るあの感じは大好きだけど、今も忘れられないけど、でもな…。

「そっかー。私はもうちょっと続けようかなぁ」

私の思考を遮るように鈴花が天を仰ぐ。

「私はテニスやってみようかなって思ってて」

星菜の言葉に私と鈴花が顔を見合わせる。

「テニス?また陸上とは全然違うスポーツだねぇ」

「まぁ、星菜なら何でもできるでしょ」

星菜は本当に何でもできるからな。小学生のときは水泳と体操で全国大会行ったらしいし。

「そんなの分かんないよ。ラケット系やったことないし」

「いや、星菜なら絶対できる」

すると鈴花がゆっくり言った。

「じゃあ私もテニスやろっかな」

「あれ、鈴花陸上続けるんじゃなかったの?」

「でも星菜がやるなら一緒にやりたいなって」

私の問いに鈴花は星菜を目を見ながら言う。

「じゃあまた一緒にできるね!優里もテニスやらない?」

星菜が誘ってくれるが私は首を横に振る。

「私は運動部はやめとくよ」

「じゃあ文化部?」

「文芸部とか興味あるんだよね」

「いいじゃん!優里文章書くの上手だもんね!」

星菜がそう言ってくれるとなんか心強い。私は横を歩いている星菜の横顔を眺める。かっこいいな。同い年なのに、ずいぶん年上のように感じる。少し茶色を含んだ癖毛の髪にくりくりした目。こうして見ると可愛い女の子だけど、スポーツをすると一気に輝くんだ。眩しすぎて劣等感を感じてしまうほどに。



「1年生のみなさん、ようこそ文芸部へ。私は部長の瀧下愛梨です」

3日後、私は星菜たちに言った通り文芸部に入部した。部員は新しく入った1年を含めて10人と少なめで、中学時代の陸上部のキビキビした感じと違ってゆったりしている。3年と2年の自己紹介が終わると、

「次、1年生自己紹介してくれる?」

と瀧下先輩に言われ、新入部員4人が立ち上がる。

「1年3組、藤川真也です。よろしくお願いします」

私は右隣にいた男子を見る。フワフワしていそうな髪の毛に小さめの瞳。どことなく子犬を連想させる。

「藤川くんね。じゃあ次、お願い」

「あ、はい」

藤川くんに続いて私は自己紹介を始める。

「1年5組、池内優里です。よろしくお願いします」

言い終えて座ると、藤川くんが話しかけてきた。

「池内って呼んでいい?」

「え?あ、うん」

初対面で馴れ馴れしいなと思いながらもうなずく。

「俺のことも藤川って呼んでくれな」

「うん」

「ところで池内、お前リカちゃん人形みたいだな」

「は?」

突拍子もないことを言われ、思わず変な声を出してしまった。気にせず藤川は続ける。「髪の毛が。リカちゃん人形そっくり」

確かに私の髪の毛はストレートで長いけども。サラサラだねってよく言われるけども。「よろしくな、リカ」

やばい人がいる部に入ってしまったと思ったがもう時すでに遅し。すでに全員が自己紹介を終え、瀧下先輩が活動の説明を始めていた。

「文芸部の活動は毎週火曜日で、木曜日と土曜日は自由参加です。主な活動は小説を書いたり同人誌を作ったり。コンクールに出したり文化祭で販売したりします」

説明が終わると今日は解散となった。


帰り際、テニスコートの横を通ると星菜と鈴花が見えた。

「1年生!実力を見たいから1人1球サーブ打ってみて!」

「はい!」

キビキビした返事が響く。1年が順番に打っていっているが、

「すごい…」

思わず声に出してしまうほど、星菜は上手かった。本当にテニス初めて?めちゃくちゃ綺麗に飛ぶじゃん。周りの先輩もざわざわしている。

「テニスやってたの?」

「いえ、初めてです」

「すごいね。陸上だけじゃないんだね」

先輩と星菜の会話を聞いていると、鈴花と一瞬目が合った。今までに見たことがないような、複雑な表情をしていた。

「鈴花…?」

声をかけようかと思ったが、

「じゃあ1年生、基礎教えていくからこっち来て!」

先輩が指示を出し、星菜も鈴花も行ってしまった。妙な胸騒ぎがしたが、私は校門を出て学校を後にした。



次の日、放課後に窓からテニスコートを覗いてから帰るのが日課になった。星菜は相変わらずめちゃくちゃ上手い。1年は筋トレもよくやっているが、星菜はそのメニューも軽々とこなしていく。すごいなぁ。憧れなどがいろいろ混ざった目で眺めていると、

「よぉ、リカ」

藤川に声をかけられた。

「リカって呼ばないでってば」

「いいだろ別に」

藤川は悪びれもなくそう言い、私の隣でテニスコートを覗きながらさらに続ける。

「お前小説コンクールに応募したらしいな」

「うん」

先生に進められて、私は応募してみたのだ。

「お前なら入賞できるんじゃねえ?」

「ないでしょそれは」

わかんねぇじゃん、と藤川はつぶやいてから話題を変えた。

「明日からのゴールデンウィーク、テニス部は合宿に行くらしいぜ」

「知ってる」

「サッカー部も行くんだって」

「へぇ」

「俺たちも合宿しねぇ?」

「は?」

思わず藤川の方を見てしまった。

「明日1年4人で俺ん家に泊まろうよ」

「…ただのお泊まり会じゃんそれ」

「文芸部の合宿だよ」

「はぁ」

「決まりな。明日朝8時に校門前集合な。他の2人にも言っとくから」

そう言うと藤川は階段を降りていった。



そうして次の日、合宿という名のお泊まり会が行なわれた。1年が4人とも8時に集合した。私と藤川、そしてもう1人の女子の市川凪紗と藤川の友達の岡井優斗。

「もう、高校生にもなってお泊まり会とかやんなっちゃう」

そう言いながらも凪紗は服装をバッチり決め、大きなスーツケースを持っていてけっこうやる気だ。

「お泊まり会じゃなくて合宿だよ。じゃあ行こうぜ」

藤川の後をつき到着した家は、

「すご…」

「豪邸じゃん」

「まぁな」

藤川はまんざらでもなさそうにして玄関のドアを開ける。

「すげえ」

「シャンデリアあるんだけど」

私たちが騒いでいると奥から藤川のお母さんがやってきた。

「ようこそ。ゆっくりしてってね」

ゆったりした声で言ってくれたお母さんは、いわゆる美人系ではないが、子犬を連想させる可愛いらしい顔は藤川とよく似ている。

「俺の部屋こっち」

キラキラした玄関を抜けて向かった藤川の部屋は意外とあっさりしていた。勉強机と椅子、テーブル、ベッドと小さめのタンスが静かにたたずんでいる。ただ、私の部屋の何倍も広く綺麗だ。ふと部屋の隅を見ると、青色のユニフォームが脱ぎ捨てたように置かれていた。

「あれは?」

「あぁ、俺中学のとき陸上やってたんだよ。そのときのユニフォーム」

「へぇ」

まさか藤川も陸上をやっていたとは。

「ところで優里ってさ、三上星菜さんと仲良いの?」

藤川のお母さんが出してくれたケーキをほおばりながら凪紗が聞く。

「え、三上星菜ってあの三上星菜?」

部屋を見渡していた岡井が反応した。

「うん、そうだよ。中学時代からの友達」

「すごーい!いいなぁ」

星菜ってそんな有名なんだ。私すごい人と友達だなと誇りに思うと共に、やっぱり少しの劣等感が胸の中で渦巻く。

「さぁ、合宿始めようぜ!」

藤川がそう声をかけるが、もちろん合宿らしい何かをすることもなく、ただただ藤川が大量に持っているゲームで遊んで、凪紗と夜更かしして恋バナをして1泊2日の名ばかり合宿は終わった。

その合宿の帰り道、

「久しぶりにあんなに遊んだかも」

と上機嫌で学校の校門の前を通り過ぎようとしたとき、1人で素振りをしている鈴花を見つけた。

「あ…」

鈴花、と声をかけようと前に出しかけた足が止まった。鈴花の瞳が濡れているように感じたのだ。

(泣いてる…?)

そういえばこの前テニスコートを覗いたときも様子がおかしかった。何か悩みでもあるんだろうか。話を聞きたかったが鼻をすすり始めた鈴花に声をかける勇気が出ず、私は校門をそっと離れた。



「最近鈴花の様子が変なんだけど…」

星菜からそう相談されたのは、ゴールデンウィークが明けて3日経った放課後、一緒に帰っているときだった。

「変って?」

合宿帰りのことを思い出しながらも、私は聞いた。

「なんかずっと上の空というか…。部活も休みがちなの。今日も来なかったし」

「そうなんだ…確かに何か変だよね鈴花」

「優里もそう思う?」

「うん…。この前たまたま鈴花見かけたんだけど、素振りしながら泣いてたんだよね」私はこの前のことを星菜に話した。

「そうなんだ…。心配だなぁ」

星菜が眉をひそめる。

「悩みとかあるなら話してほしいね…」

「ほんとに…」

そんな話をしながら家に帰った。


次の日、星菜は部活なので1人で家に帰っていると、少し前を鈴花が歩いていた。やはり部活には行っていないようだ。

「鈴花」

私が声をかけると、鈴花は弱々しく振り返った。目が充血しているように感じるのは気のせいだろうか。

「…鈴花、何か悩みでもあるの?」

鈴花の横を並んで歩きながら私は聞いた。鈴花はしばらく黙っていたが、

「なんかもう、嫌になっちゃった」

そう、静かに言った。

「部活が?」

「…違う」

鈴花は足を止めた。

「星菜と友達でいるのが」

「え…?」

拳を握りながら鈴花は続ける。

「…星菜、テニスもめちゃくちゃ上手いんだよ。高校で初めてやったのに。私とスタートラインは一緒のはずなのに。いや、私は小学生のときちょっとだけテニスやってたから、私の方が慣れてるはずなのに」

鈴花の声が震えていく。

「めちゃくちゃ上手いの。軽々とやるの。私、中学の陸上のときからずっと星菜に勝ちたかった。だからいっぱい練習した。毎日毎日頑張ったのに、全く追いつけなくて。辛かった」

ぽつりと雨が降ってきた。気にせず鈴花は話す。

「星菜が私立の強豪校から勧誘されてるって聞いて、ちょっとほっとしたんだ。もうこんな思いしなくて済むって。でも、星菜全部断ったでしょ?だから私もう星菜とは同じスポーツやらないつもりだったんだけど、星菜がテニス部に入るってなって、めちゃくちゃ頑張ればテニスなら星菜に勝てるかもって思っちゃって…」

どしゃ降りになっていく雨と比例するように、鈴花の瞳から涙がこぼれ落ちる。

「そんなわけないよね…。部活が終わっても、部活が休みの日も、1人で自主練して素振りして、そんなことしても、私が星菜に勝てるわけないよね…」

私は何も言えず、黙って今にも消えてなくなってしまいそうな鈴花の声を聞いていた。「私、どうしても星菜に勝ちたくて…せめて追いつきたくて…。でも、絶対に無理だよね…そう考えると、もう何もかも嫌になっちゃった。…ねぇ、優里は辛くないの?優里も中学のとき星菜と陸上やってたでしょ。星菜に勝ちたいって思わないの?苦しくないの?」

「私は…」

私は、星菜に勝ちたいと思ったことはなかった。勝てないとわかっていたから。どれだけ練習しても、風のように軽く速く走っていく星菜を見ていると、なんだか自分が下手になっていっているような気がした。戦おうという意欲もなくなってしまった。だから私は、陸上を、スポーツをやめた。

「…ごめんね。雨の中こんな話して。また明日」

鈴花はそう言って歩き出した。私はそんな鈴花の後ろ姿をじっと見つめていた。


「リカ?お前こんなとこで何してんだよ。風邪引くぞ」

しばらくして後ろから声をかけられた。振り返ると青色のユニフォームを着た藤川が立っていた。

「…藤川こそ何してんの」

「俺はランニングしてたら急に雨が降ってきたから今から帰るとこだよ」

「そっか。私も帰らないとね」

そう言った私を藤川が引き止める。

「うち寄ってくか?母さんがココアだしてくれるぞ」

「迷惑じゃないの?」

「大丈夫だよ。来いよ」

さっさと歩き出した藤川の後ろをついて、私は再び豪邸を訪れた。


びしょ濡れでやって来た2人を見て藤川のお母さんはかなり驚いていたが、タオルを持ってきてくれてお風呂にも入らせてくれた。

「急にお邪魔してすみません…」

「いいのよ。お風呂から上がったら私のだけどこの服着てね」

「ありがとうございます」

濡れた服を脱ぐと寒気が襲ってきた。ヤバい、風邪引くかも。


「よぉ、身体温まったか?」

「うん、おかげさまで」

お風呂から上がり、藤川の部屋でココアを一口飲むとだいぶ落ち着いてきた。

「ところでお前さっき何してたんだよ」

「…鈴花と話してた」

「何の話だよ」

「いろいろよ」

すると藤川はココアのカップをそっと机に置いた。

「俺この前中学のとき陸上やってたって言っただろ?」

「うん」

「お前と三上もやってたよな」

「…そうだけど」

さっきの鈴花の話を思い出してなんだか涙が溢れそうになる。

「俺中1のとき、秋季大会でお前と三上を見たんだよ」

「え?」

中1のときの陸上秋季大会。私たち1年にとって初めての大会だった。引退を控えた3年生とかもいっぱいいたから、1年は1回戦突破できればすごいと言われていた大会で、私と星菜と鈴花は100m女子に出場し、星菜は優勝した。

「1回戦のとき、午前が男子で午後が女子で、俺女子の試合も見てたんだけど、そのときお前と三上の走り見たよ」

藤川は当時を思い出すようにゆっくりと話す。

「三上すごかったよな。あのときから。同じブロックに2年や3年もいたのに、余裕で1位だった」

そうだ。そのとき私は自分と星菜の実力の差に絶望したんだ。こんなに頑張っても星菜とはこんなに離れているんだと知り、練習が嫌になっていったんだ。

「でもさ、俺お前の走りもすごいと思った」

「え…?」

「三上みたいに特別速いわけじゃなかったけどさ、めちゃくちゃフォーム綺麗だったよ。誰よりも」

そんなこと初めて言われた。いつもみんなが注目するのは星菜だったから。

「長い間練習したら絶対伸びるって思ってたのに、やめちゃったんだな、お前」

「…」

「俺中学私立だったからさ、高校もそのまま内部進学するつもりだったんだけど、三上が桜岡高校に行くって聞いて、三上の走りを近くで見たいと思って俺も受験したんだ。お前も行くかもしれなかったし」

結局2人とも陸上続けなかったけどな、と藤川は言った。そしてだいぶ冷めてきたココアを飲み干して私の目を見つめてきた。

「お前さ、三上に勝とうって思わないの?」

さっき鈴花に言われた言葉がよみがえる。

「いや、だって私、星菜みたいに才能ないし…」

「だからそれが良くないと思うんだよな~」

藤川はため息をついた。

「どういうこと?」

「自分に才能ないって決めつけるの、よくないよ」

「だって…」

ほんとに才能ないんだもん、も言いかけた私を藤川は制す。

「俺の考えなんだけどさ、人って誰でも他の人より優れた才能持ってると思うんだよ」私の目を見つめたまま藤川は話す。

「そりゃ、その才能の大きさとか、わかりやすく突出してるか隠れてるかは人それぞれだと思うけど」

でも、と藤川は続ける。

「絶対みんな持ってるんだよ。三上の場合はその才能が人よりすごくて突出してる。お前は突出はしてないけど、絶対陸上の才能あったと思う。じゃなきゃあんなフォームで走れない。俺の横で見てたコーチもお前見てそう言ってた」

え…

「三上は自分の才能に本人も周りも早く気づいたからどんどん伸びて行ったんだ。でも才能がそんなにすぐ見つかることは少ないから、自分で自分の才能を探していかないといけないんだ」

自分で自分の才能を探す…。

「俺もまだ自分の才能見つけてねえからわかんないけど、いろんなことに挑戦していくことが大事だと思うよ。いろんなことをやって、いろんな人と話して、自分を知っていくんだよ」

藤川は1言1言ゆっくりと話していく。

「でもそんなとき、三上は才能あるけど自分はないから、みたいなこと考えてたら才能見つからないんだよ。見つけたとしても輝かせていけないんだよ」

私は思わずうつむいた。

「お前は絶対才能あるんだから。陸上とかスポーツだけじゃないぞ。お前が文章書くの上手いのだって俺から見ればすげえ才能だぞ。それに自分で気づいて、磨いていくのが大事なんだよ」

そこまで話すと藤川は少し顔を赤らめた。

「俺、お前と一緒に才能見つけたいんだ。だからお前と同じ部に入ったんだからな」「え?」

「ほら、わかったらもう帰れよ。暗くなってきたぞ」

藤川はまだ半分以上残っている私のココアのカップをトレイに乗せて、私を部屋から追い出した。

「うん、ありがとう」

私は藤川のお母さんに、この服は洗濯してお返ししますと約束して、外へ出た。もうすっかり雨は止んでいた。うちに帰ろうと歩き出したが、

「鈴花と話したいな」

と足を逆方向に向けた。私、もしかしたら自分のことをちゃんと見てこなかったのかもしれない。いつも星菜がすごいすごいって言われて、自分を、知らない間に諦めていたんだ。でも、それって自分の才能を踏み潰していたんだな。今気づいた。私にだって、鈴花にだって、何かの才能がある。星菜のスポーツの才能よりすごいものがあるかもしれない。星菜に、勝とう。いつか、自分の才能を誇れるようになろう。



それから2ヶ月後、夏休み初日。私は押し入れから中学時代のユニフォームとスパイクを取り出した。

「ちょっとホコリ付いてるけど、いけるな」

この前藤川にされたあの話。今まで星菜と自分を比べて劣等感を感じてしまっていた私は、自分は自分らしく生きて、自分だけの才能を見つけた行こう、そしていつか星菜に勝とうと、少し思えるようになった。まだ私の才能が何なのかはわからないけど。

「よいしょっと」

久しぶりにユニフォームに袖を通すと、胸が高鳴ってきた。スパイクを履いて藤川と待ち合わせをしている校門前へ向かう。一緒にそれぞれの才能をみつけよう。そう約束した私たちは、その第1歩として夏休みの夕方ランニングを2人で始めることにした。ずっと離れていた陸上。走るのはもうやめようと思ってた。でも、私はやっぱり走るのが好きなんだ。星菜のように早く走れなくても。

「おまたせ」

ランニングのスタートラインに決めた校門前に行くと、藤川はもう私を待っていた。「おぅ、じゃあ行くか」

私たちはゆっくりと走り始める。懐かしい、この感覚。私は中学時代100mを専門としていたけど、体力をつけるために毎日2キロのランニングをしていた。3年になる頃にはほぼしていなかったが。

「谷口、まだずっと家にこもってるのか?」

藤川が話しかけてきた。

「うん…そうみたい」

2ヶ月前のあの日、藤川の家を出た私は鈴花の元へ向かい、自分の才能を見つけて行こうと話した。藤川みたいに上手く伝えられなかったかもしれないけど、鈴花はそうだねとうなずいてくれた。鈴花はその次の日からテニス部に行くようになり安心していたのだが、だんだんまた部活を休みがちになり、それどころ学校にも来なくなってしまった。何度か鈴花の家を訪ねたが、鈴花は会ってくれなかった。そのままズルズルと時間が過ぎ、夏休みに入ってしまった。

「どうしたんだろうな」

私の伝え方がまずかったのだろうか。何か鈴花を傷つけることを言ってしまったんだろうか。

「ほら、そんな顔するな。楽しく走ることが重要なんだから。スピード上げるぞ」

「あ、待って」

藤川に追いつけるように足を速める。後ろでは夕日がキラキラと輝いていた。



夏休みの文芸部は基本自由参加である。受験生の3年生は来ないが、2年や私たち1年はほぼ毎日顔を出していた。と言っても何か活動をするわけでもなく、ただダラダラと喋っているだけだ。顧問の先生もほとんど来ないので怒られることもない。

「見て見て優里、このシャーペン可愛くない?」

「ほんとだ、可愛い~!いいなぁ」

私と凪紗がそんな会話をしていると、藤川が割って入ってくる。

「よぉ、リカと市川」

「私もうリカじゃないんだけど。髪の毛切ったんだけど」

夏になるしランニングするとき邪魔になるから、思い切ってバッサリとショートカットにしたのだ。だからもうリカちゃん人形なんていじられることはないと思ってたのに。

「俺の中でお前はもうリカちゃん人形なんだよ」

「意味わかんない」

すると凪紗がニヤニヤと笑う。

「あんたたちめっちゃ仲良いじゃん。もしかしてカップル?」

「そんなわけないだろ!」

私たちが返事する前に、横からもう1人の1年の岡井の声が飛んできた。

「おいおい、何でお前が否定するんだよ」

藤川の文句に岡井は顔を赤くする。

「いや、だって…。まさか、ほんとに付き合ってるの?」

「付き合ってねぇよ」

ほっとした様子の岡井に凪紗がニヤニヤ顔のまま近づく。

「ひょっとしてあんた優里のこと好きなの?」

「え…いや…そんなこと…」

岡井の顔がさらに赤くなる。

「絶対好きじゃん!優里、付き合っちゃいなよ!」

「え!?」

文字通りわちゃわちゃ状態だった私たちの頭上に、2年の山下先輩の声が降りかかる。「こらこら、あんたたちちょっと静かに!一応部活中だよ」

「はーい」

すると藤川は声を小さくして言う。

「そんな俺たちの仲をさらに深めるために、第2回文芸部合宿をしようぜ」

「いいじゃん!前楽しかったもんね」

凪紗がシャーペンをカチカチさせながら言う。

「だろ?」

そういえば、中学のときは毎年夏休みに星菜と鈴花とお泊まり会をしていた。今年はできないだろうか。鈴花は今何してるんだろう。最近星菜ともあまり話せてない。テニス部が忙しいみたいだ。

「おい、リカ。お前も来いよ?」

「あ、うん。行くよ」

藤川に話しかけられて我に返る。

「そろそろ部活終わろっか!」

「はーい」

山下先輩の声に従って今日は解散になった。

「じゃあさっそく明日から1泊2日な」

そう藤川たちと約束して教室を出る。星菜がいるかなと窓からテニスコートを覗いたが、見えなかった。



「お邪魔しまーす」

次の日、私たちは藤川の家に訪れた。私にとってはもう3回目だ。ゴールデンウィークのときと同じように藤川の部屋に向かった。そしてやっぱり同じようにゲームにしたが、私はイマイチ集中できなかった。星菜と鈴花もゲームいっぱい持ってたな。お泊まり会のとき一緒にやったな。


夜になって、藤川のお母さんが作ってくれたご飯を食べ終えて部屋に戻ってゆっくりしていると凪紗が話しかけてきた。

「ねぇ優里、星菜さんがテニス部やめるってほんと?」

「え?」

何それ。そんなの聞いてない。

「友達にテニス部の子がいるんだけど、その子が言ってた。噂だからまだわかんないんだけど。優里知らない?」

「知らない…」

最近星菜と話せてないものの、この前1年生大会で優勝したと聞いた。やめるってなんで…。今からここを抜け出して確かめにいきたい。凪紗はさらに続ける。

「星菜さん、同じ部の子にいじめられてたらしいよ」

「え?何で?」

「わかんないけど、嫉妬じゃない?」

そんな…。

「私ちょっと星菜に会いに行ってくる」

「え?ちょっと優里!」

凪紗に引き止められるが構わず外へ出る。

「おい、リカどこ行くんだよ!」

後ろから聞こえる藤川の声も無視して、私は星菜の家へ走った。今は午後8時頃で、夏とはいえもう暗い。何度か転びそうになりながら星菜の家にたどり着き、チャイムを押す。

「優里、どうしたの?」

驚く星菜に、私は息を整えてから言った。

「星菜、部活やめるってほんと?」

「…うん」

星菜はうつむきながら答える。

「何で…?いじめられてたから?」

「それもあるけど…この前鈴花に言われたの」

「なんて?」

「星菜がいなければ私こんな思いしなくてよかったのにって」

鈴花がそんなことを…?確かにあの日そんなことを言っていたけど、星菜本人に言うなんて…。

「私知らない間に鈴花を傷つけてたのかなって」

「…」

「これ以上傷つけないように、辞めようと思ってる」

そんなの間違ってる。そんなのおかしい。星菜は昔から優しすぎるんだ。その優しさがずっと私を苦しめてきたんだ。星菜がせめて性格が悪かったら、私はこんなに劣等感を感じずに済んだんだ。めちゃくちゃ才能があってさらに本当にいい子で、そんな星菜の隣にいたら自分がだめな人間のような気がしてならないんだ。

「私鈴花のこと何も考えてなかったのかも」

もう喋らないで…。こんな星菜に私が勝てるわけがない。どんだけ探したって星菜を超える才能なんて見つかるわけない。一緒に才能を探そう。前私を救ってくれた藤川の言葉は、今は針となって私の心に刺さっていく。

「やめちゃダメだよ星菜…」

私はそれだけ言ってその場から離れた。フラフラと歩いていると後ろから腕を掴まれた。

「お前探したぞ!どこ行ってんだよこんな夜に!」

振り向くと藤川が息を切らして立っていた。

「何で泣いてんだよ」

「ほっといてよ!」

私は気づくと叫んでいた。

「私に才能なんてあるわけない!星菜よりすごい才能なんて見つかるわけない!」

「どうしたんだよ」

困惑する藤川を気にせず私はさらに叫ぶ。

「何で星菜が部活やめないといけないの!何で鈴花のためにやめてあげるの!意味わかんない!」

自分でも何を言っているのかわからない。私は藤川の腕を振りほどいて自分の家へ走った。夜に大泣きして帰ってきた私を見てお母さんはびっくりしてオロオロしていたが、私は自分の部屋へ直行しベッドに顔をうずめた。なぜか涙が止まらない。私は一晩中泣き続けた。


「優里、大丈夫?昨日はどうしたの」

気づくと朝になっていて、お母さんが心配そうに部屋にやってきた。

「大丈夫だよ。ちょっと体調悪くなっただけだから」

「そう?さっき藤川くんが来て荷物持って来てくれたわよ。お礼言っときなさいね」「うん」

お母さんが出ていくと、私は深呼吸をした。一晩たつとだいぶ落ち着いてきた。

「ちょっと走ろうかな」

昨日は夕方のランニングもしなかったし。ユニフォームを着てスパイクを持って玄関へ向かう。

「優里?体調大丈夫なの?」

「うん。もうよくなったから」

お母さんにそう返事して、外へ出る。朝日を浴びながら走っていく。

『鈴花をこれ以上傷つけないように、やめようと思ってる』

昨日の星菜の声が頭をこだまする。。同時に中学生のときの出来事を思い返していた。中3のときに出た全国大会。星菜は決勝まで行ったけど、私は1回戦落ちだった。初めて出た全国規模の大会だったし、大学生とかもいたわけだから、私の結果が特別悪いわけではなかったんだろう。でも、ずっと練習してきたのに本番で力を出し切れなかったのが悔しくて、私はめちゃくちゃ泣いた。それにずっと一緒に練習してきたのに星菜だけが決勝へ行ったことも悲しかった。私は星菜を祝ってあげられなかった。ずっと泣いていた。そしてそのとき、星菜は言った。

『優里がそんなに泣いてるとこみたくないよ。優里が悲しむなら私陸上やめる』

って。星菜が陸上やめたのは私のせいなんだ。私のためにやめたんだ。私が悲しまずにちゃんと祝ってあげていたら星菜は陸上を続けていたんだ。星菜をやめさせたのに、私が呑気にランニングなんかしていていいんだろうか。気づくと私の足は止まっていた。

「優里?」

久しぶりに聞くその声に振り返ると、鈴花が立っていた。

「鈴花…」

「優里と話したくて家に行ったんだけど、ランニングに行ってるって言われたから探しに来たの」

さらに続けようとする鈴花を私は遮って聞いた。

「星菜がテニス部やめるって言ってるの知ってる?」

思ったよりも強い口調になってしまった。

「え…?」

「鈴花に、星菜がいなければこんな思いしなくてよかったのにって言われたって。鈴花のために星菜はテニスやめようとしてるんだよ?」

涙がこぼれないように私は強い口調のまま喋り続ける。

「なんとも思わないの?何で星菜にそんなこと言ったの?」

鈴花は小さな声で話し始めた。

「私、星菜にどれだけ頑張っても勝てなくて、本当に悔しくて、昔から才能があって何をやっても結果を残す星菜を、ちょっと傷つけたいって思っちゃったの…」

「…」

「…最低だってわかってるけど、星菜のラケットをこっそり隠したり、ユニフォームを破ったりした…。一度やったら止められなくて…」

鈴花のやせ細った身体が震える。

「…そんなとき、優里に一緒に才能を探していこうって言われて…優里はこんなに前向きに生きてるのに、私何やってるんだって思って…星菜にも優里にも合わせる顔がなくて…ほんとに苦しくて…悪いのは完全に私なのに…」

私はショックを隠せなかった。私は鈴花をさらに苦しめていたの…?

「…1週間くらい前、星菜がうちに来てくれて、何か悩みでもあるの?って心配してくれて…何でこの子は私なんかと友達なんだって思って、思わず星菜がいなければこんな思いしなくてよかったのにってって言っちゃって…」

鈴花はそこまで言うと泣き崩れた。鈴花を怒鳴りたかった。でも、私に怒鳴る資格はないと思った。私だって心のどこかで思っていたことなのではないか。言わなかっただけで、ずっと思っていたのではないか。

「でも、めちゃくちゃ後悔してる…星菜にテニス続けてほしい…」

私は鈴花の手を取って立たせた。

「星菜のとこに行こう」


「鈴花、優里…どうしたの?」

チャイ厶を押すとすぐに出てきた星菜に、鈴花は泣きながら言った。

「星菜、テニス部やめないで…!」

「鈴花…」

「本当にごめん…私、ずっと星菜に勝てなくて、それが悔しくて、あんなひどいこと言っちゃって…ラケット隠したりしたのも私なの…ごめんなさい…でも、星菜にテニス続けてほしい!私のせいでやめないで!」

すると星菜がゆっくりと話し出した。

「私ね、小さい頃からスポーツが人よりちょっとできて、いろんな大会に出た。優勝とかもした。嬉しかったよ。でも、だんだん周りからのプレッシャーが大きくなっていったの。1回優勝したら、次も優勝を求められる。ずっと気を張っていないといけなくて辛かった」

初めて聞いた星菜の苦悩。私と鈴花は黙って聞いていた。

「中3のときの全国大会の決勝の後、母親に言われたんだ。次は優勝できるように頑張ってねって。決勝に行ったことは褒めてくれなかった。私もう十分頑張ったのに。もうやめたくなった。どんだけ頑張ってもさらに頑張ってって言われるなら、もうやめたかった」

星菜はひと息ついて私の方を見た。

「あのとき優里が泣いてて、それも辛かった。どれだけやっても親は褒めてくれないし友達は悲しむ。私何のために陸上やってるんだって思った」

だから陸上やめたんだよ、と星菜は続けた。

「ごめん…」

謝った私に星菜は首を振る。

「優里のせいじゃない。優里のせいでやめたとかじゃない。ただ、私が陸上を続ける意味をなくしただけ」

星菜は今度は鈴花に向けて話す。

「だからテニス部も、鈴花のせいでやめるんじゃないの。スポーツは続けろって親に言われたからなんとなくテニス部に入ったけど、陸上やってたとき以上の結果を求められるし、もう嫌なの。昨日優里に、鈴花を傷つけないようにするためにやめるっていったけど、ほんとは違う。無理やり理由を作っただけなの。じゃないと、周りはきっとやめさせてくれないから。鈴花の言葉を利用したんだ。本当にごめん」

星菜は涙を隠すように頭を下げた。そして、私はもうどうすればいいのかな、とつぶやいた。

「それなら…」

鈴花が口を開いた。

「私のために、テニス部続けてよ」

「え?」

星菜が顔を上げる。

「私、星菜のスマッシュ大好きなの。めちゃくちゃきれいで、私もあんな風にしたいってずっと思ってた。練習しても全然できないのは悔しいけど、もっと見ていたいよ。星菜のスマッシュ」

鈴花は笑って言う。久しぶりに見たな、鈴花の笑顔。そして私も星菜に言った。

「私も星菜のスマッシュ大好き。あとサーブもすごいなって思ってる。部活帰りによく窓からテニスコート覗くけど、星菜のサーブめちゃくちゃ飛ぶよね」

私、こんな風に星菜を褒めたの初めてかもしれない。いつも眺めているだけだった。「大会とか順位のためじゃなくて、私たちのためにテニス続けてよ」

鈴花の言葉に、星菜はうなずいた。

「うん。わかった」

私たちは本当に久しぶりに、心から笑い合った。



次の日、文芸部の教室へ行くと、藤川たちがかけよってきた。

「おい、一昨日はどうしたんだよ」

「心配したんだからね!」

ごめん、と言って私は席につく。

「ちょっといろいろあって。もう大丈夫だから」

「とにかく無事ならよかったよかった!」

岡井がほっとした顔で言う。

「未来の彼女だもんね」

とからかう凪紗。赤い顔で言い返す岡井の傍をすり抜け、藤川が小さい声で言ってきた。

「谷口、部活来てるな」

「うん」

私は窓の方を見る。

「ねぇ藤川。私星菜に勝つんじゃなくて、星菜に誇れる才能を見つける。そのために頑張る」

「ふぅん」

優里のこれが好きなんだ、優里のこれを見たいんだっていわれるようなものが、私にもきっとあるよね。



「カンパーイ」

その数日後、私は星菜と鈴花とカフェにいた。今年は2人のテニス部が忙しいからお泊まり会はできないけど、こうやって出かけることにしたのだ。

「おめでとう優里!」

そして、これは私のお祝いパーティでもあった。

「小説コンクールで入賞するなんてほんとすごい」

「ありがとう」

ゴールデンウィーク前に応募した私の小説が、優秀賞に選ばれたのだ。星菜も鈴花も喜んでくれて、お祝いを計画してくれた。

「今日は私たちのおごりだからどんどん注文してよ?」

そう言って鈴花が私にメニューを渡す。

「うん!」

パラパラとメニューをめくる私に星菜が言った。

「優里って本当に文章書くの上手いよね」

この前藤川にも、お前が文章書くの上手いのも才能だって言われたな。私はこれを誇っていいのかな。

「これが優里の才能だよね」

鈴花も言ってくれる。その帰り道、鈴花が

「私バンド組もうと思ってるんだよね」

と言い出した。

「バンド?」

「うん。知り合いに軽音やってる子がいてさ、ボーカルやってくれないかって頼まれたの。私昔から歌うの好きだし、ちょっとやってみようかなって。もちろんテニスも続けるけど」

「へぇ~いいじゃん!」

鈴花も新しいことに挑戦していくんだな。いつかお互いがお互いを誇りに思えるような才能がそれぞれ見つかるといいな。

「応援してるよ!」

星菜も嬉しそうに言って、輝く太陽の下で、3人で微笑み合った。

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