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大統領 対 森蘭丸

 フォレスト……もとい森蘭丸は薄気味悪い笑みを浮かべながら大統領の前まで歩み寄る。その背後では寝所がゴウゴウと地獄の業火の如く燃え盛っている。


「お初にお目にかかります。森蘭丸と申します。あなたのことは御館様から聞いておりました」

「ほう、それは興味深い。織田信長は私を知っているのか」

「えぇ、よおくご存知ですよっ!」


 不意に森蘭丸が頭を突き出す。すんでのところで大統領は右にステップしてそれを躱した。

 森蘭丸はそのまま大統領の後ろにいた明智軍の兵士に衝突する。森蘭丸の頭の森が兵士に触れた瞬間、その兵士の骨という骨は砕け、血液等の水分は一瞬にして蒸発してしまい、さらに干物へと加工してしまった。


「その森、ただのヘアスタイルかと思いきや、髪の毛を改造して干物を製造するマシンにしているのか!」

「ましんがなにかはわかりませんが、概ねその通りです。さあ! あなたも栄養満点の干物になりなさい!」

「断る!」


 再び森蘭丸は頭の森を大統領へと向けて突撃する。大統領はそれを避けずに右拳を突き出して受け止めた。

 森に触れた拳は干物へと……ならなかった。


「何故干物にならないのです!」

「干物とは、水分を抜きつつ表面に膜をつくり、干すことによって灰白質が分解されて旨みがでるもの! 私の好物だ!」

「あなたの好みは聞いていない!何故干物にならない!」

「いーや、干物になったさ。皮膚の一部がな……だがその下の筋肉は干物にはならない! 何故なら筋肉は筋膜に守られているからだっ!!」

「な、なにぃぃぃ!」


 筋膜とは脊椎動物の筋肉や内蔵を覆う膜であり、更に組織間の結合をも担っている大変優れた結合組織なのだ。

 先程の兵士は直前の戦で負傷でもしたのだろう、身を守る筋膜の力が足りなかったに違いない。


「貴様の干物攻撃など筋肉には通じん! ふんっ!」


 大統領は拳を開いて森蘭丸の頭の『森』、その一番上の『木』を掴む、そしてそれをそのまま豪快にむしり取った。


「ああああ私の森が!」

「否! 貴様は最早森蘭丸ではない! 『林』蘭丸だあああ」

「なんですってええええ!! おのれよくも私を林にしてくれたな!」


 怒りにかられた森蘭丸改め、林蘭丸は頭の『林』で大統領へ殴りかかる。しかし薄皮をいくらか痛めつけはしてもそこから先を傷つけることあたわず。

 大統領は、林蘭丸が疲れてよろめいた隙をついて残った林を両手で掴み、頭から強引に引きちぎった。

 ブチブチと軽快な音と「ぎゃあああ」という林蘭丸の断末魔の叫びを聞きながら大統領は林蘭丸を蹴り飛ばして本能寺の外壁へと叩きつけた。

 頭の森どころか髪の毛すら失った蘭丸に生気はあらず、そのまま短い生涯を閉じたのだった。


「戻ったらダンベルを供えておこう」


 そして大統領は先程まで蘭丸の頭にあった『林』を、蘭丸の遺体の傍に植えた。


 植林である。




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