表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第四章 予兆

ははは。漫画との両立って難しいね(⌒∇⌒)


 ふと、嫌な予感がした。

 それは、今日から四日前のこと。

 



 世界樹が_______叫びだした。




 古来から我々ソレイユ一族は神の血によって世界樹に愛され、そして守護する形をとっている。この国の王、「レヴィリオ」の王になることは、すなわち世界樹の守護者となり、世界の守護者となる。

 その力を受け、幾三百年。何百年前かに起きた世界樹の異変が。

 今、起きてしまっているのだ。

 これが何を意味するか。


 「...ユグドラシルよ」


 世界樹の中心。生命が生まれ、還る場所にて。私は世界樹の本体である「ユグドラシル」に会いに行った。

 ここに来られるのは無論、この国の王に限る。

 我が妻も、この国の王妃として、そして元大司教として国中を周り、神への祈祷をしていたところ、どの国に行っても私が感じた異変と同じものを感じ取ったという。

 そして神託が下りた。近々、世界を揺るがすほどの大災害が起きる、災厄が起きる。

 前回の戦争とは比較にならない、[過去最悪]の大戦争が起きると。

 あの悲劇がもう一度_________繰り返される。


 「今の状況はどうなっている」


 「......」


 フロアの中心で佇む少女に問う。最悪に違いないことは分かっているが、それでも状況次第でこちらがとる動きも変わってくる。

 彼女はゆっくり目を瞑り、そして再び開け、こう告げた。


 「思ったより...魔物達の動きが速いようです。もう既に、貴方が張った結界を八割壊し隙間から脱出しています。このままでは、少なくとも三日後にはこの国に進軍してくるでしょう」


 「八割...!?短期間でそこまで壊せる魔物なんて...」


 魔物達が住む場所は、人間や他の種族達が暮らす場所と分けられている。魔物達には理性がなく、人里に侵入し争いを起こさないためだ。

 そのためにこの国の王が代表して結界を張る。授けられた[創神の力]を使って。

 その結界が、たったの四日で八割壊されたのだ。その辺にいる魔物には壊すことは絶対に不可能。それこそ、伝説級のモンスター、神に等しいなにかでなければ壊すことはできない。

 一体何が...。必死に頭を巡らせ、犯人を推測した。...そして。私の中にはある者が思い浮かんだ。


 「もしかして...だが、...[バハムート]か...?」


 「えぇ。その推測で間違いないでしょう」


 前回の大戦争の黒幕。世界に破滅と終焉をもたらす災厄の魔獣。それが[バハムート]。

 何故そのような魔獣が出てきているのだろうか。前回...私がしっかりと封印したはずだが...。


 「どうやらバハムートの解放には、[竜王]が関わっているようです」


 「...あいつが......」


 魔物の王、竜族の中の王、それが竜王。やつとは長い付き合いだが、かなりの「愉快犯」だ。わざと問題を起こしては上から高笑いして笑っているようなやつだ。

 今回のバハムート解放にそいつが関わっているのは納得がいくが...いたずらにもほどがある。後で殴りにいくか......。


 「幸いなことに、竜族達の動きはバハムート解放以来ありません。今回の戦争には参加しないつもりでしょう。危険なのはバハムートのみのようです」


 「そうか...」


 バハムートを再び封印するにしても、ある程度衰弱しなければ妨害されてしまう。[創神の力]も未だに使いこなせていない部分もある。使いこなせれば魔物やら何やら一気清掃なんてことが可能になるのだろうが、そんなことできるほど私の体は「神に適した器」ではない。

 今回はカルミス達の助力も必要になるかもしれない。

 

 「...あの子達も、戦争へ介入させるおつもりですか」


 ふと、世界樹がそう言った。あの子達、カルミス達のことを言っているのだろう。

 まだ幼い、二桁にも満たない年齢の子を、本当に出すつもりなのかと。

 彼女はあの子達を出すことに反対しているようだ。

 しかし、遅かれ早かれ、あの子達は戦場に立つ日が来る。

 ならば仕方ない。

 私はぎこちなく、首を縦に振った。


 「...そう、ですか」


 彼女はそう言うと、それっきり何も言わなくなった。

 私だって、あの子達を危険な目に遭わせたくない。

 ...さて。そろそろ戻るとしよう...っと...一つ言い忘れていたことがあったな。


 「ユグドラシル」


 「何でしょうか」


 先程までの悲しげな顔はどこえやら、いつもの微笑みの顔で私のほうに振り返った。それに対して私は、自分の今から告げる言葉がユグドラシルにとって重要なことなので、笑いもせず、真剣な顔つきで告げた。


 「頼むから、[ここから出る]ことは絶対するんじゃないぞ」


 「...」


 それを言うと、少しユグドラシルの肩がピクリと反応した。

 やっぱり...ここから抜けようとしていたんだな。

 

 「...はい。分かり、ました...」


 「それでよし。私はそろそろ城に戻る。何か変化があれば、早急に伝えてくれ」

 

 私はそういって、世界樹の核心から出た。

 ...。...あの感じだと、また出てしまうかもしれない。

 また...あの悲劇を生み出す気か...ユグドラシル。

 そうブツブツと呟きながら、私は城に戻った。

次回更新予定:10月中

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ