出る
マディンゴさんと、男の人は部屋をあとにすると、回れ右をして、紫のカーペットの上で真っ直ぐ直進しました。ここは、出入り口につながるカーペットのようです。
しかし、なぜ紫なのでしょう?ここは赤のカーペットではないでしょうか?
ただ、その問いかけの答えさえも教えてくれません。
ここはきっと「紫が好きだから」とか単純な答えなのでしょう。
あれ以降、マディンゴさんと男の人は私に話しかけません。
そして、マディンゴさんと男の人で話もしません。
・・・・・・沈黙の時が流れました。
この二人はなんでこんなにもしゃべらないのでしょうか?
本当に冷たい態度です。
もう、私はただただ悲しいだけでした。
と、出入り口を出て、入っていた施設を見て、かなり驚きました。
こんなに骨組みのがっちりとした、そして、天井が高すぎて、上の布に当たっています。
・・・・そもそもなぜ私はテントの中にいたのでしょう?
そして、テントの中に施設が入るものなのでしょうか?
今現在、私はもう基準というものが分からなくなっています。さっきの記憶の他、それより前の記憶が残っていないのです。
ふいに、マディンゴさんが腕につけている時計を、ちらりと見ました。
「・・・え?」
いいえ・・、見ていませんでした。
なにがどうしてそうなったのか、全く分かりませんが、時計から青い光が出ていました。
そして、マディンゴさんは時計に何かを打った直後、辺りはその光と同じ青に包まれていました。
「うわあっ」
ただ、それは一瞬の出来事でした。
すぐ、青い景色ではない、全く知らないところに私は立っていたのでした。
そして、マディンゴさんと男の人は何もなかったかのように、前に進み始めました。
もちろん、無言で。
どうして、何をするにも、この人たちはしゃべらないのでしょう。
この女の人と男の人は、喧嘩をしているのでしょうか?
もう、なぜ私がここにいるのかも分からないです。