聞く
最初は意味不明ですが、どうぞ楽しんでください・・・。
「ん・・・・!」
気が付くとここは砂漠。
砂しかない。誰もいない。
砂嵐はピューピュー吹くし。
・・・・・・・ここは・・・・どこ・・・・?!
・・・・・・それに・・・・・私は・・・誰?!
私が丁寧語の記憶を収集しても状況は変わりません。
誰もいないどこか分からない砂漠。
自分が誰か分からない地獄・・・。
思い出そうとすると、頭の中に電気ウナギがいて電気を発し、邪魔をするのです。
(これはあくまでもたとえ。)
しかし歩かなければ・・・・。
私は立ち上がって歩き出しました。
ここには本当に何もいない、誰もいません。
ピューピューいう音だけが聞こえます。
砂漠だというのにサボテンもピラミッドもありません。それぐらいあってもいいというのに。
「はあ、呆れちゃう。」
一人で話しても返事はなし。
ちゃんと私が進んでいるのか心配になってしまいます。
「ピュウウウウウっピュー!」
「うわっ!」
なぜだか急に砂嵐が激しさを増します。
そして目には大量の砂。
全く自然というのは意地悪なものです。
砂嵐のせいで目が見えなくなり、足を止めるしか手はなくなってしまいました。
「ふう。」
やっと目の砂が取れた時、目を疑いました。
そこには膨大なオアシスが広がっていました。
何なんでしょう、能天気に横にはヤシの木が並べられているのですが。
これなら水には困りません。
ふいに続々と人が現れてきました。
おかしいです。
「あの・・・・!」
「はい?」
私は聞き込みを開始しました。
「あの・・・・あなたの名前は・・・?」
(ああ!もう!なんで!)
私が聞きたかったのはこの先の道です。
能天気に名前を聞いてる場合じゃないです。
「私の名前・・・・ですか・・・・?」
「は、はい・・・。」
なぜでしょう、その人はポリポリと頭を掻き、困惑したようです。
「名前・・・、ああ!ごめんなさい・・・忘れました・・・!」
「忘れたん・・・ですか・・・?」
(私と同じ・・)
いいえ、それで意気投合している場合じゃないです。
心の中で自分にビンタを食らわせると、去ろうとしたその人にまた話しかけました。
「あの・・・この先って・・・どうなってるんですか?そもそもここどこですか・・・?」
「それはね・・。」
その人は自分の名前は忘れていたのに、この土地のことは知っていたのです。
「アリエンタ様?」
「そう、アリエンタ様は偉大なお方っ!神といっても過言ではない!」
(いや言い過ぎだって。)
その人は大げさに手を空に向けました。
私はおかしなミュージカルを見ているのでしょうか?
しかし他の人に聞いても答えは同じでした。
みんな自分の名前を知らないのに、口をそろえてアリエンタのことを言っていたのです。
私はこの先の道を知りたいのですが・・・・。