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どうやらこの魔族とは話し合う必要があるようだ  作者: 森谷礼二
VS天界ランド
17/25

天界からの挑戦状

すみません短めです。

「美人どころを集めて、テレビで『ドキッ☆魔界美女だらけの水泳大会』なんてどうっスかね。全員もれなくポロリの水中騎馬戦とか、ハプニング続出の触手ぬるぬる障害物競争とか、種族対抗ブラ綱引き合戦とかをゴールデンでやれば、視聴率もうなぎ上りっスよ」


 秋空の中、僕たち雨宮家の三人は、いつものように和気あいあいと登校していた。


「今どきのチキンな民放地上波のゴールデンで、そんな番組が放送される訳ないだろ」

「わたくしはそのような品性下劣な行事はお断りですわ」

「はは~ん、さてはルキ、貧乳がバレるのが嫌なんっスね?」

「な……ちょっとリリス、聞き捨てならないですわよ!」


 すると突然、前方に一人の男が立ちはだかった。


「やあ魔界の諸君、無駄なあがきをいつもご苦労さん」

 金髪ロン毛、司祭っぽい白の法衣を着たその男は、口に一輪の赤いバラをくわえている。


「誰だこの昭和のイケメンは。知り合いか?」

「リリスはこんな変態、会ったこともないっス」

「わたくしもこのような痛ましい殿方は存じておりませんわ。これがいわゆる『悪質なキャッチセールス』というものですかしら?」


 僕たちが無視して通り過ぎようとすると、男が追いかけてきて僕たちの前に回り込んだ。


「ずいぶんとご挨拶じゃないですか、魔界のウジ虫の諸君」

 荒げた息を整え、男はくわえたバラを手に持ち替え、髪をさらっと反対側の手で流しながら言った。

 しゃべるのに邪魔なら、バラなんてくわえなきゃいいのに。


「あんた誰? これでも僕たち急いでるんだけど。『声をかけるなら通勤・通学途中よりも帰宅途中に』と、キャッチセールスの親玉に習わなかったのか?」

 僕たちが(いぶか)しげな目で男に問う。


「き、キャッチセールスなどではない! ――ふっふっふ、聞いて驚かないでくれたまえ」

 男はもったいぶった後、

「私は大天使ガブリエル!」

 と、高らかに名乗りを上げた。


「へぇ~、僕でも名前ぐらいは聞いたことがあるな」

「そ、そんな大物が、護衛もなしにどうしてこんなところにいるっスか!」

「くっ、さすが天使長というところかしら。霊力が半端ではございません……のかも

? 全くそうは感じませんけれど……」


 父親譲りの妙なクソ度胸があり、あまり事情を知らない僕は特に何とも思わなかったが、リリスとルキは目の前に降臨した大天使に戦慄しているようだ。


「――様の公設第二百十六秘書の助手、見習い天使アルメルスだ!」

 男が名乗りの続きを上げた。


「なんだ下っ端じゃん」

「雑魚っスね」

「魔界で言うと、ゴブリンかグールっていうところかしら」


 僕たちはクルッと音が聞こえそうなほど露骨に手の平を返し、目の前の見習い天使を冷めた目で一瞥した後、再び歩き出した。


「ええぃうるさい、魔族なんぞ、地面の下を這いずり回っておればよいのだ!」

 ぜぇぜぇと肩で息をしながら、ヒラ天使は僕たちの前に再び回り込んだ。


「いったい僕たちに何の用だよ」

 面倒くさい奴だ。


「ふふふ、諸君の目論見はもう露見しておるぞ。実は以前から天界ぐるみで恫喝(どうかつ)していた魔界の貴族が、人間界との親善大使が擁立(ようりつ)されると白状したのだよ」

「なんだかサラッとゲスいな、天界」

「そして私アルメルスは、この度、『親善大使の足を引っ張り、魔界に恥をかかせる係』という要職に就任し、人間界へ華麗に降臨したのである!」

 なんてストレートなネーミングの要職だ。


「あっそ。がんばれよ」

 いい加減こんな男につき合っていると遅刻してしまう僕たちは、再び歩き出した。


「ええい、逃げるか卑怯者! ウ●コたれ! バーカバーカ!」

 魔界もたいがいだが、天界にもロクな奴がいないのか?


「いったい何をどうしたいんだ?」

 僕がしぶしぶ振り返り言うと、

「我々と勝負してもらいたい」

 と、見習い天使アルメルスは僕たちに告げる。


「もしや男子限定の天津甘栗スピード皮むき対決、負けたほうが『この甘栗野郎』と呼ばれて強引かつ乱暴にむかれる勝負っスか? それとも男子限定こたつ内で電気アンマ合戦、負けたら『掘りごたつの刑』の勝負っスか? どちらにしても、サトル様と二階堂部長が受けて立つっスよ!」


 勝手に勝負内容と人選、罰ゲームまで決めてリリスがいきり立つ。こたつでホ●、まさに掘りごたつ……って誰がうまいこと言えと。


「な、なんですかその訳のわからない勝負は。違いますよ、天界と魔界、どちらが人間界と友好を深めるかの勝負です」


 するとルキが険しい顔でアルメルスに言った。

「そのような勝負は受諾できかねますわ。遺憾ながら、現状では天界のほうが有利に決まっているではないですの」


 確かにルキの言うとおりだ。人間の魔界を忌み嫌う感情は半端なものではない。


「ふふん、ではハンデをあげましょう。勝負の内容はそちらで決めてもらってもかまいませんよ。ただし、そちらが負ければ、諸君は人間界から手を引いてもらいます。これでどうですか?」

「ちょっと待てよ、こっちが勝てば、天界側はどうするつもりなんだ?」


 するとアルメルスは驚きの表情を浮かべ、そのあと高笑いをした。

「ハッハッハ、そういえばそうでした。我々が負けることなんて微塵も考えられないものですから、諸君が勝ったときに受けるペナルティの件はすっかり失念しておりました。いや失敬。では、諸君が勝てば、私が何でも言うことを聞きましょう。限りなく可能性はゼロに近いことですが」


 最初は少しイタい男だと思い、むしろ憐れんでいたぐらいなのだが、だんだん腹が立ってきた。

 リリスなど、今にも跳びかからんばかりに苛立っている。


「せっかくですから、規模の大きな、きっちり勝敗の決まる勝負をしましょう。そのほうが勝った時に私の評価が上がり……おっと、これはこっちの話です」

 なんで僕たちがこいつの出世欲に付き合わなけりゃならんのだ。


「でも、あまり大きな勝負では、人間界に協力者のいない魔界の諸君らは何もできないかもしれませんね。ハッハッハ」

 なんてあからさまな挑発だ。


 しかし、勝てばアルメルスへのペナルティはさておき、『天界に勝った』という実績ができる上に、人間界との友好が促進されるメリットはある。

だが、現状ではこんな勝負は避けるべきだ。


「ふふん、どうします? 逃げますか?」

 アルメルスは冷笑を浮かべてさらに挑発してくる。


「やってやるっス……」

 やばい、リリスが挑発に乗ってしまった。


「お、おい、リリス、こんな勝負は受けるべきじゃ……」

「リリスは売られた喧嘩と読みたいBL本は、喜んで買うっス!」


面白い、続きが気になる、抱いて(女性限定)、ぜひ私の世界に転生してハーレムの主に(女神様限定)、などと思われた方は、ブクマや評価をおねがいします(涙目)。

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