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パーティー

【前回までのあらすじ】


・ウォーリー撃沈

「あらあら~どんなゴツいおじさんが助けてくれたのかと思ったら、こんなに若くてカワイイお兄さんだったのね~。」


今、俺の目の前には食べ切れないほどのご馳走や酒が並び、10~40歳まで幅広い年代の女性たちがせっせと世話を焼いてくれている。ここはファイヤーアントが誇る移動式拠点「アリノス」の内部、食堂区画である。あれから数日後、ファイヤーアントのミリィさんから助けてもらったお礼を兼ねたパーティーに招待されたのだ。


「さぁさぁ、遠慮しないでドンドン食べてね・・・なんなら、私を食べてもいいのよ・・・?」


「こらあんた!ドサクサにまぎれてなに言ってんのよ!あたしが先よ!」


両隣に座った若い女性たちが俺を巡って言い争いを始め、俺はどうすればいいのか分からず乾いた笑いを漏らす。こんな時ウォーリーだったらとてつもなく喜ぶと思うのだが、残念ながらここにはいない。たった1人の男性ゲストとして招かれた俺は、空前のモテ期に戸惑うばかりである。おまけに瞬きするたびに、瞼の裏にマキちゃんが黙ってニコニコ笑っている姿が視神経を通じて強制的に投影されるので、背中は冷や汗でびっしょりだ。俺はここで死ぬのかもしれない。


テーブルの向かいには、ナナがちょこんと座って夢中で料理を頬張っている。今回連れてきたのはナナだけ。エドには教育上よろしくない可能性があったし、ウォーリーは・・・まぁミリィさんがいるから参加できまい。ナナの可愛らしさの前に、ファイヤーアントの皆さんもメロメロだ。


「おいひいー!これおいひいよー!おかわりー!」


「ナナちゃん本当にカワイイわねぇ・・・ファイヤーアントのメンバーにならない?」


「おとーさんとおかーさんがいっしょならいいよー!」


「ナナちゃん、とっても大きなライフルを使ってるのね?ちょっと持ってみていいかしら?」


「いいよー!はい!」


「ありがと・・・うぉぉぉぉぉぉぉッ!重ッ!助けてッ!ああああっ!」


ナナの愛銃【ラッキーセブン】の重量はおよそ120キロ、ファイヤーアントのお姉さんが圧死しそうになるのも無理はない。みんなが大騒ぎしていると、ミリィさんが俺の横に座ってお酌をしてくれた。今日はいつもの戦闘服ではなく、ぴったりとして身体のラインがあらわになるドレスで着飾っている。シックなデザインが彼女の魅力を目一杯に際立たせていた。


「助けていただいて、本当にありがとうございました。あの時、大規模な狩りを終えた直後に襲われた私達は弾薬も尽きかけていて、自害する寸前まで追い詰められていたのです。」


「いやいや、お礼ならウォーリーに言ってやってください。ミリィさんのピンチを知って真っ先に飛び出したのはアイツですから(っていうか俺はトラックに乗ってただけでマジでなにもしてないし・・・)。」


「あの・・・ウォーリーは・・・その・・・どうですか?」


マキちゃんとともに荒野に消えたウォーリーが帰ってきたのは、戦闘が終わった翌朝だった。帰ってくるなり「マキちゃんサマと朝帰りでございマス」と言ってマキちゃんから烈火のごとく怒られていたので、少しは元気になったんだと思う。その後は何も変わった様子もなく、いつもどおり成人向け雑誌を読みながら店番をしている。


「元気ですよ。もう落ちついたとは思うんですけど・・・まぁ、まだ失恋ホヤホヤなので・・・。」


「そうですか・・・ちゃんとお礼も言いたいし、お話もしたいので・・・もう少し時間が経ったら会いに行きますね。」


「ええ、いつでも。アイツはほとんどランスさんの店にいますから、いつでも会いに来てやってください。」


「・・・はい!」


ミリィさんは優しく笑って、それからナナのところに行った。ミリィさんの周りにはいつもたくさんの人がいて、ときどき大きな笑い声が起きる。こんな素敵な人を好きになってしまったウォーリーがすぐに吹っ切れるとは思えないが、きっとふたりは良い関係になれるだろう。俺は根拠もなくそう思った。



アリノスを後にした俺とナナは、のんびりと歩いて家路につく。外はもうすっかり暗くなっていた。ナナは【ラッキーセブン】がよほどお気に入りらしく、いつも背中に背負って歩いている。パッと見ると、でかいライフルが歩いているように見えて微笑ましい。マキちゃんのホログラムが俺とナナの間に浮かび、三人でほのぼのしながら月夜の散歩を楽しんだ。


「ご主人様、最初に隣に座られたお胸が大きくて童顔な女性がお好みのようでしたわね。胸元ばかりご覧になっていましたわ。」


「えっ・・・いや、別にそんな・・・見てたっけ?いやいやそんな・・・。」


「ええ、累計で15分間はお胸に視線を向けていらっしゃいましたわ。正確には925秒ですわね。楽しかったですか?」


「えっいや、あの・・・その・・・」


「楽しかったですか?」


「ああ・・・あのはい・・・すみません。」


嘘だった。ほのぼのしてなかった。早く家に着いて欲しいと心から願った。

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勇者様はロボットが直撃して死にました
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