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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ-  作者: じいま
長距離通信網その3 第13機密兵器研究所編
121/202

2回目

【前回までのあらすじ】


・空飛ぶ研究所が攻めてきた

・侵入するのに識別信号のデータが必要

・懐かしの冷凍施設に行ってみよう

「エド、ナナ、そろそろ行くよ。」


今回のメンバーはドラちゃん、エド、ナナ、そして俺とマキちゃんだ。なぜこのメンバーなのかといえば、ドラちゃんに乗れる人数の問題である。ドラちゃんには戦闘機らしくコックピットがあるが、その座席は前後に並んだ小さな席がふたつしかない。最初はウォーリーを連れて行こうとしたのだが、主にイリスさんとイチャイチャするのに忙しそうだったので諦め、ナナに声をかけた。すると当然エドもついてきたがるので、子どもたちふたりでひとつの座席を利用してもらうことになったのだ。



出発前。


「じゃあエドとナナ、ひとつの座席で仲良く座ってくれ。」


俺の言葉に、元気よく手を挙げるナナ。


「はーい!おとーさん!」


「ひとひとひとひとひとひとひとひとつのざざざざざざざ座席って・・・そんなのなのなのなのなの」


エドは、まだ乗ってもいないのに顔を真っ赤にしてプルプルしている。ナナとひとつの座席とか、エドには刺激が強すぎて命に関わるかもしれないな・・・やめとくか・・・。しかし、俺の心配をよそに、ナナはエドに近づくと悲しそうに目をうるませて言った。


「エド・・・わたしといっしょ、いやなの・・・?」


「謹んで座らせていただきます。」


薄々気づいていたが、うちの娘は魔性の女だ。



戦闘機の小さな座席に2人で座る。そのあまりの密着っぷりにエド(7歳)は色々とギリギリだったようだが、どうにか無事に到着することができた。本当に危なかったし、今もフラフラしている。


「エド、だいじょうぶ?」


「うんナナ、ちょっと不思議なことに鼻と耳から噴水みたいに血が吹き出したけど、もう平気だよ・・・。」


「耳血はマズいだろ、耳血は・・・。」


さて、冷凍施設は俺が目覚めた時と何も変わっていない。外観は半ば以上ジャングルの中に埋もれていて、ツタやコケでびっしりと覆われている。マキちゃんが移動ルートを記録していてくれなければ発見するのは難しかっただろう。脱出する時に重くて苦労した重厚な扉はナナが片手で軽々と開けてくれた。やはり中も以前と変わった様子もなく、真っ暗な廊下が伸びているのが見える。


「じゃあドラちゃん、留守番よろしく。」


「ここはお任せください。エド様、皆様、お気をつけて。」


ドラちゃんは大きすぎて施設に入れないので、入り口の前で留守番してもらう。俺は懐中電灯を持って先頭に立ち、暗い廊下を慎重に進んだ。目指すはM-NETに接続されていた機器である。


しばらく進むと、冷凍カプセルが並んだ部屋の前を通りかかった。30個ほどの冷凍カプセルがズラリと並び、そのうちの一つはフタが開いて空っぽだ。


「ん・・・これ、俺が入ってた冷凍カプセルじゃない?」


「はい、ご主人様と私がいくつもの夜を共にした寝室ですわね。」


「ちょっとマキちゃん、今回のメンバーはナナとエドだから・・・そういうの教育に良くないから・・・。」


カプセルの中を覗いてみると、乾いた血のようなものが飛び散っている。そういえば脱出した時に凍りついた腕が砕けたんだっけ・・・すぐ生えてきたけど。こんなカプセルに3500年も入ってたのかと感慨深く見ていると、開いたカプセルのフタに文字が表示されていることに気がついた。


// 未知のエラー //

// マニ歴999999年 不正な値を参照しています //


「ん・・・そういえば、なんで俺のカプセルだけが開いたんだろ?特に壊れてるわけじゃないし、他のカプセルはそのまま。電源も切れてないみたいなのに・・・?」


「私たちが目覚めた時は脱出することしか考えていなかったので、調べていませんわね。せっかくですからあとで調査してみましょうか。」


ナナとエドは、稼働中の他のカプセルを見て回っているようだ。キャッキャと笑いながらナナが走り回り、エドがそれを止めている。ふいにナナが質問してきた。


「おとーさん、このひとたちはおこしてあげないの?」


「ん・・・そうだね、まだ寝かせておいてあげよう。」


旧文明の人間がこの世界で目覚めるのは幸せだろうか?いや、たぶんジャングルを脱出できなくて地獄を見るだろう。そもそも(俺も含めて)みんなろくでもない犯罪者のはずだし、放っておくのが一番な気がする。いずれにせよ今は時間がないから、そのうちサリーにでも相談すればいいだろう。


俺たちはカプセルの部屋を出て、さらに進んだ。地下ネットワークの痕跡を見つけるのだから地下に向かうべきだろうと大雑把に考え、階段を発見して下りれるだけ下りた。なんの障害もなくすんなりと地下5階に到着する。少し進むと明らかに重要な施設を隠してるらしい大きくて重厚な金属製の扉があり、施錠されているようで開くことができない。


「ん・・・マキちゃん、お願い。」


「はい、もう解錠しましたわ。」


「早っ!」


俺はドアの横にある「開く」ボタンを押す。ここまでまっすぐ歩いてきただけ、ひとつでも俺にやることがあってよかった。今回もいつも通り、マキちゃんが優秀すぎて俺の出番は少なそうだ。


「ねぇマキちゃん、今回も楽勝な」


俺が言いかけた時、それは起きた。先ほどまでの緩んだ雰囲気が消え、緊張感をはらんだナナの声が響く。


「おとーさん、エド、あたまさげてっ!」


左右に開きかけたドアの隙間からすさまじい閃光が差し込み、重厚なドアが一瞬で融解する。いつの間にかナナが融けたドアの前に立ち、プラズマ防壁を展開していた。


「これは・・光学兵器?」


ビビりまくる俺をよそに、メガネの奥に冷静な瞳を光らせたエドがつぶやく。ナナの防壁は俺たちに向けて撃ち込まれる強烈なレーザーを拡散させ、破壊的な熱量を床や天井に散らす。高熱で焼けた壁材が赤熱し、あたりはすぐに焦げた匂いと煙で充満した。ほんの数秒、しかし永遠にも思えたレーザー照射が収束すると同時に、煙の中、溶けたドアの先に目を凝らす。


「げ、あいつは・・・」


ドアの向こう、長い通路の先にいた「あれ」を見た時、俺は全身に鳥肌が立つのを感じた。俺は「あれ」を知っている。「あれ」の恐ろしさをとてもよく知っている。


それは、天井からぶら下がる、人間の上半身のようなロボット。


ただしその身体は上半身だけで2メートル以上あり、極めて重厚な作りになっている。両腕には強力な銃火器、俺が知っているのと同じロボットであれば、レールガンと大型のレーザー砲を装備しているはずだ。頭部は四角く、中心に赤いアイカメラが付いているだけのシンプルなデザイン。ただし全身は豆腐のような白ではなく、暗闇に溶け込む真っ黒なボディ。そこだけが俺の知っているものと違う。


「あれは・・・ウォーリー・・・か!」


「いいえ、ご主人様。あれは拠点防衛兵器『グレートウォール』です。」

※注

「ウォーリー」・・・変態ロボット個人の名前(愛称)

「グレートウォール」・・・変態ロボットの元々の製品名

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勇者様はロボットが直撃して死にました
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