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第五話 「おまえの婆ちゃん,パンチ・ドランカー」

最近大気がジメジメとしてきてイライラします。部屋も段々汚くなってイライラ。イライライライラ,こんなんじゃ頭にきのこが生えてきちゃったのも納得できるよね。それでは第五話。

 魔道書は,天井のシミを眺めていた。時々人の形や,飛行機とか車とか電車とかケーキとかハンバーグ弁当とかに見える物があったりする。

 よくこうやって、色々な気持ちを紛らわせていたものだな、と彼は思う。入学式の時に咲いた美しい桜の花とか,夏のカンカン照りの午前十時に,せっかく田舎のおばあちゃんちに来たくせに,近所の友だちと海岸まで自転車を飛ばしたり,秋には山の葉っぱが真っ赤になって,手を引かれながら山道を歩いたりして,おばあちゃんは疲れているのか時々止まったりして,「早く早く」と急かすと辛いのにニッコリと笑って,「ごめんよう」といいながらついてきて,冬にはおばあちゃんぐったりして「これだからお年寄りは」と思ってこたつで気にせずゲームをして,でもおばあちゃんは少しでも永く,僕と話がしたいと思っていて…ちゃんと人間として生まれればこんなことを経験出来たかもしれない。沢山の本たちからそのような作り話は何度も聞かされたが,やはり,そこにはいつも大切な何かが欠けている。

 彼は外の世界について一生懸命勉強した。時々,勉強のし過ぎで自分がわからなくなることがあった。でも彼は止めなかった。くじけるたびに天井を見上げて,外の世界への希望の思いを馳せていた。

 そして,ついに魔道書は魔法少女の器となりうる存在に召喚され,図書館から外の世界へ旅立つ事ができる!!

 と思っていたら,当の魔法少女(?)はいきなり鼻水を噴出し,とうとう女言葉を使うのをやめ,敵を「貴様」と呼び出した。僕はなんて呼ばれてるかって?「エロ本」だぜ。ひどいだろう?

 そんでもって,ほんで,ぽんで,んでんでんで,どうやらその魔法少女さんのウルトラハイセンスなクソ奇策によって,僕は今薄汚い序盤のザコ敵の頭上に落下し,ダメージを与えたようだ。

 「おい,いつまでのびてんだよクソ本」

 もうボクやだ。

 「キィヨミちゃぁあん。ボクにわかりやすいようにそのウルトラスーパーライフハックなインテリジェンス奇策の仕組みを教えてくれよぉ」

 キヨミは大きくため息を吐きながら,胸ポケットに閉まっていたマイルドセブンを取り出そうとしたが,自分が女子中学生であることを思い出し,慌ててタスポを財布にしまった。

 「世間知らずのてめぇに教えてやろう。時計にはアナログとデジタルといって種類が2つあることは理解してるな?」

 「オウよ」魔道書はやけくそである。こいつ喫煙者かよ。

 「アナログは時間の”感覚”を素早く理解するという点では優れている。そのため公共の場で,”人間の目線よりも高く”設置されている事が多い」

 「そしてアナログ時計は基本的に秒針が動くたびに音がなる。だから図書館でカチ,カチという音が聞こえた時に朕は直感的に”今,アナログ時計が動いている”ということが分かった」

 「これらの情報を踏まえ,私は”この状況において,基本的に人間の目線よりも高い位置に置かれているアナログ時計が唯一この静寂のなかで動けている”ことに気づいた」

 「で,まあ後付け設定みたいな感じでアレなんだが朕は結構長身で,身長は170cm位ある。それに引き換えこのレオタードは身長おおよそ160cm。んでんで,能力は私が座りこんだのとほぼ同時と言っていいほどのタイミングで作用した。いや,正確に言うと私は,座り込まなければ”能力が作用できる範囲に収まる事ができなかった”もうここまで言えば分かるかな?」

 キヨミは近くにあった「ドキドキ!坊主めくり入門書」を手にとって読もうとしたが,表紙をめくったらカブトムシのゼリーが発酵したような臭がしてちょっと嫌な気分になった。

 「そう,こいつの能力は確かにものの動きをとめるだ。しかし,そいつには致命的な欠点があったそれが…」

 「”オレの目線より下の物体の動きしか止められない”ってことだろ?」

 男は怒りの表情を浮かべながら笑っていた。口を大きくひん曲げて。竹中直人さんみたいですね(小並感)

 「うぇぇぇ」キヨミの方へエスケープする魔道書。

 「やはり物理だけで貴様を破壊するのは不可能か」セリフに反して余裕そうなキヨミ。

 「当然!!ぃやぁはりお嬢ちゃんはオレには太刀打ち出来ないんだぜっぇ」

 手を使って立ち上がろうとする男だったが,そういえばそんなこと必要ないんだった。

 「お嬢ちゃんはどうやらオレが”悪霊”と呼ばれる類のものだと理解していたみてぇだなぁ!」

 ヴァサァァァっっ!!と扇子を広げるキヨミ。

 「貴様ほど愚かではないからな,知識は豊富だ」

 煽るねぇキヨミちゃん。

 「ならこいつについての知識はどうだ!?」

 男は両目から究極にどぎつい色の光線を放った!!

 ビビビビビ

 きよみ まどうしょ「「うわー」」

 おとこのこうせんのせいでとしょかんはぼろぼろになってしまいました。

 「たいへんだ。こんどこそまほうしょうじょにならなきゃ!きよみちゃん」

 「わかった!まどうしょ!えーいへんしん」

 どっかーん

第五話 完    どっ完





お腹痛いからお腹いっぱい食べた。食べて後悔して明日の晩ごはんを考える。

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