入学式夜②
つぼ八を出てタケウチの言われるまま歓楽街の路地を何本か曲がるとピンク色のネオンの怪しげな店の前に着いた。その店につくまでにタケウチはニヤニヤしながら語った。
「俺今仕事してんだけど、そこの先輩に変態がいて。顔はイケてるんだけど、すげー変態でさぁ。この前その先輩と飲み行ったんだけど、その後連れてかれてさぁ、この店。坂元、お前特攻隊長な。」
ほらお前先入れとタケウチは坂元に指図した。
「え!俺~?イサムは?イサムは?」
いつのまにかイサムは姿を消していた。
「鈴木~、一緒に~。」
と坂元は嫌がっていたが、タケウチが坂元の背中を蹴り坂元はその押された勢いで店の中に入ってしまった。
しばらく店の中から出てこない坂元を心配して、タケウチと俺も店内に入った。
薄暗い室内は至る所がカーテンで仕切られていた。受付らしきカウンターがあり、その隣に何枚か写真がはってあり、写真は女の顔写真だった。そのとなりの通路はカーテンで仕切られていた。坂元はそこにはいなかった。タケウチが受付らしき男に、
「連れがはいったんだけど。」
と言った。男は丸刈りにした頭をなでながら
「えー、いつでしょう?」
と言った。俺は少し不安になり、
「だいしょぶか?あいつ。」
と言ったが、タケウチはお前は黙ってろと言い、
「なぁおっさんよぉ、さっき連れが入ったんだよ。しらねーか?」
と語気を強め念を押して聞いた。男は少し固い表情をゆるめながら
「さきほど入られましたお客様がおられましたが、その方のことでしょうか?」
と言った。あいつひとりで入りやがったとタケウチはつぶやき
「わりいなおっさん、その連れ外でまってるから終わったら言っといて。」
といい俺の肘のあたりをつかみタケウチは俺を引っ張り店の外へ出た。
30分くらい店の向かいの公園のベンチでタバコを吸ったりしてタケウチと待っていた。俺は心配でタケウチに何度も大丈夫かと聞いたが、タケウチは心配いらないと一言言うだけだった。しばらくすると店の中から元気な声が聞こえてきた。
「ありがとうごさいました。」
さっきの男の声のようだった。そして店の中からでできたのは坂元だった。最初キョロキョロしていたが、公園にいる俺とタケウチに気付いておーいと手を振った。
「ちっ、あいつバカだな。」
と言ってタケウチは公園のベンチからたちあがり坂元に近付くと蹴りを入れて
「お前ひとりだけかよ、良い思いしやがって。」
と言うと、坂元は
「だって、二人来ないから。」
と言いながらいつになく元気な顔をしていた。
「で、どうだった?」
とタケウチが聞くと坂元は
「つーか俺、童貞捨てれた~。」
と嬉しそうに言うから、俺も
「お前バカか。お店でだぞ。」
と言ったら、坂元は真顔になって
「ヤバい、捨てちまった。」
と小声で言った。
タケウチと坂元は小田急線で藤沢まで帰ると言い相模大野駅の改札で別れた。急行小田原行きの電車は終電のためかすいていた。まどろみの中、俺は眠りに落ちた。




