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入学式②

田崎に手渡された紙に目を通したものの何を言わんとしているのかさっぱりわからなかった。こいつら幹部の言いなりなんだなと俺は思った。

高校生の頃ぼんやりと学生運動に憧れていた時期があった。家族で長野県白馬に旅行に行ったことがあった。両親と兄妹は八峰山に登山しにいったのだが、理由はもう思い出せないが一人ホテルに俺は残った。なんとなくテレビをつけて見ていたのだが、学生運動のドキュメンタリーが放送されていた。その内容にくいついていたのを覚えている。火炎瓶が東大の最上階から投げられている様子、機動隊が学生と対峙している様子。その時代のそれらの様子や学生の生き様みたいなものにとても興奮したのだった。それを八峰山から帰ってきた母に言ったら、父も学生の時学生運動のはしくれだったみたいわよと教えられたのだった。父はその日酒を飲み酔っぱらうと学生運動の話をしてくれた。新聞に載ったことがある、端の方だけどな。という話を話す父の嬉しそうな表情に、俺も大学に入ったらと、憧れに近いものを抱いたことがあった。

しかし、田崎の何か異質な固い真剣な表情と手渡された紙を見て、こいつら洗脳されているだけだなと思い一気にその憧れがなえていった。

適当にその二人を追い返し、指定された教室で配布物を受け取り大学を出た。ケイゴは買い物するから付き合わないかと俺を誘ったが、疲れたからといってその誘いを断り、一人で帰りの電車に乗った。

下北沢で乗り換えると、小田急線小田原行きは人身事故があったためか非常に混み合っていた。俺は貧血気味になり、腰を下ろし列車内の開閉扉にもたれた。駅に到着するごとにどちらの扉が開くか確認し、開けば一度立ちまた座り、開かなければそのまま扉にもたれていた。しかし、貧血がひどくなり相模大野で電車を降りた。プラットフォームのベンチに座り頭を下げて目をつぶった。

車両の走る轟音と、駅員のアナウンス、せわしなく歩く人たちの足音。貧血の頭の中を、そんな駅の雑音が回転していた。

だいたい30分くらいしただろうか。俺を呼ぶ声に目を覚ました。

「鈴木。鈴木だよね?」

顔をあげると、そこには坂元がいた。

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