七日目 帰国
金の話でさんざんもめた上に、一つのベッドで二人で寝たために満足に眠ることもできず朝を迎えた。
朝四時にホテルを出発して空港に着いてから、私は頭を冷やしたかったので一人になりたかったのだが、そのことでまたもめたりして私たち二人は散々な別れ方をした。
そういえば我々二人が食事がなくてあまりにもひもじそうにしていた時、隣にたまたま座っていたデンマーク人の老夫婦が食事を分けてくれたっけ。
あの時は彼らが天使に思えた。
あまりに腹が減っていた私は、目の前にさし出されたサンドイッチに正常な判断を失い、H氏の分までたいらげて逃げた。
そのまま私はプーケット国際空港からマレーシア行の飛行機に乗り、クアラルンプールへ向かった。
そして仕方なく残金(日本に帰ってから別の用事に使う予定だったお金)を切り崩してマレーシアリンギットに換えて食事を買い、そして飛行機を乗り換えて日本に到着したのは夜の十時半のことだった。
ここからが大変だった。
まず羽田についてから全速力でWi-Fiルーター貸出窓口に向かってWi-Fiルーターを返し、さらにそこから電車に乗って埼玉に住む後輩宅へ向かった。
乗った電車が全て終電という奇跡的な幸運と、道中人生で初めてなぜか酔っ払いに絡まれるという奇跡的な不運を同時に経験し、十二時には後輩の家に辿り着くことができた。
一応完結。