六日目 残金0バーツ。
さて、どうしてこうなったか説明しよう。
まず初日、私たち二人はバンコクの空港に着いたとき、
私はタイ滞在中に使う予定だった全てのお金(三万円)をバーツに変えたが、
友人H氏は一部しか(一万円程度、彼はタイの滞在で使うお金を一万五千円~二万円程度と考えていた)換金しなかった。
理由はレートが悪いからという話だったが、その後も彼はずっと換金しなかった。
結果、四日目ぐらいでH氏はお金を完全に使い切ってしまった。
この日から私は彼の代わりにすべてのお金――ホテル代、食費、バイク代等――を払うことになったわけだが、後で日本円ないしバーツで返してもらえると思って貸していた。(H氏は私との旅行の後、マレーシアで別の友達と合流してそのままシンガポールに行くことになっていたので、その分のお金は別に持っていたわけである)
六日目は私が次の日に日本に帰るので、そのために空港近くのホテルに泊まることが決まっていた。
朝水族館に行って二人分の入場料を払い、二人分の空港までのバス代を払い、二人分の食費を払い、そして最後空港近くの宿の金二人分を払ったときにそれは発生した。
ホテル代:七百バーツ
私の残金:六百九十九バーツ
一バーツ足りない。
冗談みたいなシチュエーションである。
私の残金がいくらなのか知らずにじゃんじゃんお金を使い続けたので、当然ながら二人とも金が尽きたのだった。
キレた。
大体なんで俺の金使って乗り切ろうとするんだよ!!!!!!!!!!!
おかしいだろ!
自分金持ってるのにどうして俺に全部払わせるんだよ!
三万円は俺一人をまかなうにはあまるぐらい十分でも、二人分のお金なんぞ払えるわけがないだろ!
ただでさえ金なくてキツキツで旅行に来てるのに!
……まあ、私も今回の旅行で過失があったのであまり彼ばかり責められないが、最終日の夜の食事がすごく小っちゃい肉まん一個(セブンで買った九バーツの肉まん、しかもそれを二人で半分こ)というのはヒドイ。
ホテルもお情けで六百九十バーツで泊めてもらえたのだったが、もしあれで金が足りないからダメだと言われたら我々はどうなっていたのだろう。
海外旅行で残金がなくなるなどという体験はもう二度としたくない。