一日目 私のスカートは短くないもん!!
こんなタイトルで始めるとまるで私に女装癖があるようで誤解を招きそうだが、断じて私の話ではない。
初日、私たちはエアアジア(マレーシアの航空会社)でクアラルンプールを経由してバンコクはドーンムアン空港へ降り立った。
そして幸い、現地についてから私たちには非常に心強い味方がいた。
タイ人の友人、モッドさんが出迎えてくれたのだ。
僕ちんのゴミのようなタイ語では満足にタイ人とコミュニケーションをとることはおろか、バンコクの町を自由に歩き回ることも到底不可能であろうと思ったのでバンコク在住の彼女に案内を頼んだのだ。
彼女はイサーン地方(ラオスに近いタイの東北地方)出身の大学院生で、多少日本語が喋れる。彼女がいなければBTSやMRTといった電車の乗り方が分からなかっただろうし、あれだけスムーズに移動して観光地を巡れなかっただろう。感謝感謝。
つーかマジ苦情いいすか?
MRTの入り口にある金属探知センサーつきのゲートって何の意味があるんですかね?
傘もってるだけでブーブーとか音鳴って引っかかるし、イチイチ係員のおっさんにカバンの中身見せないといけないって何なんですかね??(モッドさん曰く、意味はない)
……市街地についてからすぐにイサーン料理のガイヤーン(ไก่ย่าง 焼き鳥)をたらふく食った後、私たち三人はチャオプラヤ川附近ワットアルン(วัดอรุณ ワットは寺、アルンは朝の意。本当はもっとながったらしい名前がついてる)にやってきた。
ワットアルンは勾配がやたら急な危険な階段――絶対過去に死人が出てるだろうと思われる――が伸びる塔が有名な寺で、落っこちそうになりながら一生懸命頂上まで登った。
で、この寺が問題なのである。
バンコクの有名なタイの寺は大体なぜか入り口に服の貸し出しコーナーがある。
タイは敬虔な仏教徒の多いお国柄、寺に入る時はあまり肌を露出してはならない(女性は特に)という決まりがあるためだ。
私は来る前に知識として一応知っていたので、長ズボンと靴を履いてきたおかげで何も言われなかった。だが同伴した友人と彼女が服装チェックにひっかかり、強制的に着替えさせられた。
ちなみに男性なら長ズボン、女性なら腰巻の布みたいのを貸し出される。
そんな訳でタイの寺を歩いていると白人だろうが何人だろうが女性はみんな腰巻をしていてる。
しかしモッドさんは入り口で「スカートが短い」と言われたとき自分もタイ人なのに納得できなかったようで、後で何度も「私のスカートは短くないよ!」とマジギレしていた。
その日はワットポー(วัดโพธิ์)や王宮(พระบรมมหาราชวัง)も巡り、自分の誕生日が何曜日なのかによって祈る対象が違う仏様にテキトーに祈った後、カオサン通りの安宿に泊まった。